テーマ；挨拶

ぽぽぽぽ～ん

いや、言ってみたかっただけです

（・ｗ・）　挨拶は気持ちのいいものさー


エイラーニャ　テーマ；挨拶
彼女が挨拶をする理由は、果たして何でしょうか？

「おはよう、サーニャ」
「おはよう、エイラ」
挨拶とともに始まる、私の１日。その相手は決まってエイラで、突き合わせている感じが少し申し訳ない。
彼女自身にとってみればなんでもないことかもしれないけど、私が目覚めた時にいてくれるのは、とても大変なことでしょ？
そんな、無理をしなくても良いのよ？　エイラは、私だけに構い過ぎなんだから。
「どうしたんだ？　ぼーっとして、まだ眠いのか？」
「ううん、違うわ」
多少の眠気はあるけれど、朝食を食べ終わる頃には覚めているはずだから。気にしなくても大丈夫よ。
ただ、今の気持ちをどうやってエイラに伝えればいいのか、それを考えていただけだから。
「サーニャ、また難しいこと考えてないか？」
「……そんなことないわ」
口に出さなくても伝わってしまう思い。私から、エイラへと伝えてしまう思い。
冷たかったり、重かったり、そんな気持ちに負けることはないけれど。どうせなら、優しい気持ちが伝われば、２人共幸せになれるのにな。
エイラに伝わりやすいのは、暗い気持ちばっかり。どうすればいいのかな？
「だから、悩むなって。私は別に迷惑じゃないって、前に伝えただろ？」
「うん。だけど、やっぱり悪いから」
エイラがそう言ってくれていても、それが事実とは限らない。
実際、私はエイラの時間を奪い、私の傍に縛り付けているのだから。彼女が自由に使える時間を奪っているのだから。
「良いか？　私はサーニャの傍にいたいから、いるんだよ。誰かに命令されたわけでもなければ、お願いされたわけでもない。私の意思でここにいるんだ」
「エイラ、それは前にも聞いたわ」
「ふん。サーニャが分かってくれないからだろ？」
そうなのかな？
納得してしまって良いのかな？
「私はサーニャの寝顔が見たいんだ。サーニャの寝顔を見ていれば、幸せになれるんだよ。だから、サーニャが目覚める前にここにきているんだ」
「そう、なの？」
「も、勿論、それだけじゃないぞ？　これだけの人数がいるのにさ、サーニャが目覚めた時に誰もいないなんて、寂しいだろ？　だから、私が傍にいれば寂しくないかなーって」
エイラは、エイラの意思の元に私の傍にいてくれているの？
それは本当で、私に気を遣っての発言ではないの？
「あー、もう。良いだろ？　私がそうしたいからしているんだよ。サーニャが気にすることじゃない」
エイラは優しいから、私の為に言ってくれているの？
それとも、本当にエイラがそうしたいから伝えてくれているの？
真っ赤になってまで、私の為の言葉を紡いでくれているの？
「それに、挨拶は基本だろ？　目覚めて最初に言われたら気持ち良いだろ？」
「うん」
「だから、それだけなんだよ。私が、１番最初に挨拶したいだけなんだ」
……エイラ、なんかおかしいよ？
真っ赤になっているところは、いつもと変わらないけれど。少し素直過ぎる。
自分の気持ちをちゃんと伝えられて、私の気持ちも伝わりすぎている。
何かがおかしい――

　　　　　◇

「サーニャ、おはよう。朝だぞ」
「おはよう、エイラ」
再び私のまぶたを焼く光。目を開けると、目の前には柔らかく笑っているエイラがいる。
もしかして、さっきのは夢だったのかしら？
それとも、今私がいるところが夢？
「エイラ、どうしたの？」
「べ、別に。ただ、挨拶にきているだけだろ？」
私の質問に、冷静を装いきれずに答えるエイラ。
うん、こっちが現実で間違いなさそう。素直になりきれていない、可愛いエイラが見れるんだもの。
夢から覚めても、夢と同じくらいに幸せな毎日が待っている。
基地での生活にどんどんと色がつき、私の世界を彩ってくれる。

――おはよう。今日も頑張りましょ