テーマ：ココロ（エイラ.ver

「サーニャは、私のことをどう思ってんだろうな」
最近、１人になる度に頭をよぎる、大きな問題。私と、彼女の大きな問題。
私はサーニャが好きだ。心の底から好きだ。
友達としても、仲間としても。１人の人間としても大好きだ。
女の子同士であることなんて、関係ない。私が好きになったのは、サーニャなんだ。
同姓であることも気にしない。それはただの結果であり、私の気持ちには関係ないから。
「けど、それは私の考えだ」
好きだから気にしない。大好きなら気にならない。
それは私の考えであり、サーニャの考えではない。
「サーニャが好きだ」
それでも、この気持ちが変わることはないのだから。いつか、伝えたい。
いや、伝えてはいるんだけどな。ラジオだったり、放送だったり、結構色んな方法では伝えてきた。
「けど、サーニャを目の前にして伝えたことはないんだよ」
情けないことに、サーニャを前にすると緊張してしまい、何も言えなくなってしまう。
会話は普通に出来るのに、いざ告白しようとするとアガってしまうんだ。
どうやって切り出せば良いのか。どうやれば、伝えることが出来るのか。それが分からない。
どれだけ情報を集めても、どれだけ本を読み漁っても、私の知りたい答えは見当たらない。
それに、サーニャの目の前ではないにしろ、散々好きだって言っているから、ただ伝えるだけでは、今までと何も変わらない。変わることが出来ないんだ。
「卑怯だよな」
きちんと伝えることはなく、返事をもらうこともなく、一方的に気持ちを押し付けて。
言い訳をして、逃げ回って。それなのに、サーニャに応えて貰うこと望むなんて。
サーニャの気持ちが知りたいなんて、ただの我侭なんだよ――

　　　　　◇

「サーニャ、大好きだ」
それでも、例え卑怯だったとしても、この気持ちだけは本当なんだ。私がサーニャに恋をしているのは、真実なんだ。
伝えなきゃいけない。告白しなきゃいけない。
この胸の想いを、届けなければ気がすまない。
「サーニャ、好きだ。大好きなんだ……」
けど、どうすれば良いんだ？
今まで通りの、この練習では効果はなかった。いや、少しはあったのかもしれないけど、私の望む結果までは辿り着けていない。
折角、宮藤が教えてくれたのにな。私の相談に乗ってくれて、アドバイスをくれたのに活かせていない。
どうすれば良い？　どうすれば気持ちを伝える勇気が出る？
「今まで通りの練習では、成果が出ていない」
そう、今まで通りの練習では、現状が精一杯なんだ。今まで通りなら。
それなら、今までとは違う練習をすれば良いんじゃないのか？　そうすれば、別の成果を得られるだろ？
「けどなー、簡単に良い方法が見つかるわけないんだよ」
そもそも、私はこう言ったことには向いてないのだろう。色恋沙汰には、縁遠い存在なのだ。
意識して以降、サーニャとの相性占いだけ出来なくなってしまった。
自分の気持ちに気付いたら、サーニャとの未来を見るのが怖くなってしまった。
けど、怖がって逃げていたんじゃ、何も変えられない。
「なら、今以上に厳しい練習が必要だよな？」
現状で得られない結果なら、より上位の練習を行えば良い。更なる結果を求めるなら、もっと厳しい練習が必要だ。
今よりも厳しい練習。告白よりも難しい、伝えるのに勇気がいること。
「プロポーズかな？」
好きですと告白するよりも、結婚して下さいとプロポーズする方が難しいはずだ。
恋人よりも、夫婦になる方が難しいよな！
「よ、よし、方針は決まった」
つまり、私は告白ではなくプロポーズをすれば良い。
好きです、付き合って下さい。それでは、既に意味がないんだ。
愛してます、結婚して下さい。これこそが、意味のある練習だ。
「結婚してくれなんて、本番で言えるわけないしな。練習で言えるようになれば、告白だって夢じゃなくなる」
それに、サーニャならきちんとした手順を踏みたがるはずだから。まずは恋人にならないと、いけないな。
恥ずかしがるな！　私はサーニャに告白するんだ。
大きく息を吸って、一気に言い切れば平気だ。
「サーニャ、愛してる。サーニャ、結婚してくれ」
――やれば、出来るじゃないか。この調子で、続ければいつかは成功するはずだ。
「結婚して下さい、サーニャ。愛してるんだ！」
声は大きく、ちゃんと伝わるように。口の中で潰してしまわないようにする。
視線は真直ぐ、サーニャを意識して。心に届けるように、伝えるんだ。
「サーニャ、結婚してくれ。大好きだー！」
私の心の熱さを吐き出せ。燃える位に熱い思いを、吐き出すんだ。
伝えるんだ。この想いを伝えるんだ。