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ただ、それだけなんです
意外なほどに数がかけますね♪
エイラ×サーニャ テーマ:2人
今回は、エイラ視点です
いまさらながら、秘め歌聴いてます
どんどん、侵食されています☆
「エイラ、お疲れ様」
「サーニャもお疲れ様」
昼間の長距離哨戒任務。今回は私とサーニャが担当した。
本来であれば、長距離の哨戒任務なんてないんだけど、今回は特別。
「しっかし、あんなところにもネウロイがいるんだな」
「そうだね、ちょっと驚いた」
それにどちらかと言えば、偵察が主だったしな。
偵察目標とされたのはのは、巨大な積乱雲。ずっとそこに浮かんでいて、時々赤色の光が見えていたらしい。
各国のレーダーでもいまいち中の様子が分からず、不気味だということもあり偵察が決定された。
「私とサーニャだから良かったけどさ。他のウィッチにあれは無理だぞ?」
ネウロイの要塞と化していた積乱雲。近づくだけで、ビームが雨のように降ってきた。
その1発の威力も中々のもので、最初に撃たれた時は少しだけ危なかった。
「そんなことはないと思うけど……私達が1番相性が良かったかもね」
雲の中に隠れ、姿を見せることなく射撃を続けるネウロイ。射撃のタイミングも、狙いも全く見ることが出来ない。
とどめとばかりに、小型のネウロイのみで構成されていて、殲滅するのにも時間がかかってしまった。
まぁ、私の未来予知と、サーニャの魔力針がなければ、こちらが落とされていただろう。
「それにしても、エイラ怖くなかったの?」
「ん? さっきの雲のことか?」
サーニャは怖かったのだろうか?
唐突に飛んでくる攻撃。攻撃を当てても、中々減らないネウロイの数。
……いや、考えてみれば結構怖い状況だったんだな。
だけど、サーニャの前で怖かったなんて、白状したくない。
嘘でも良いから、怖くなかったと突き通さなきゃな。
「うん。シールドを張ることもなく、避け続けるなんて」
私の心の葛藤は置き去りで、サーニャの会話は続いている。
それにしても、さっきのはシールドを張る方が危ないな。シールドで攻撃を受け止めれば足が止まり、集中砲火されてしまう。
そんな状況になれば、急激に魔力を消耗し、シールドが破られてしまうだろう。勿論、破れたからのことは考えるまでもない。
「私にとってはいつもの通りだからなー」
ただ、私にとっては攻撃が激しかっただけで、いつもと何も変わらない。いつもより、少しだけ慎重に探っていれば大丈夫だって、そんな地震があった。
それに、サーニャが傍にいるのにミスなんてできないからな。
「それに、私としてはサーニャの方が心配だったぞ?」
「え……私が心配だったの?」
「あはは、サーニャのレーダーのことじゃないさ」
サーニャの魔力針の精度に関しては、全然心配していない。
夜間哨戒での活躍等を考えれば、ちょっと数が増えたぐらいなら平気だろ?
私が心配だったのは、そんなことじゃない。
「サーニャ、私に避けるのを全部任せてくれただろ?」
心配だったのは、私に回避を任せてくれたこと。
確かに、私は自分の未来予知に自信がある。自信があるからこそ、シールドを使わずに戦ってきた。
けど、サーニャは違う。
他のウィッチと同じようにシールドを張り、ネウロイのレーザーを防いできたんだ。避けるのではなく、防ぐことで生き残ってきたんだ。
「うん、エイラなら大丈夫だと思ったから」
怖くないはず、ないんだけどな。不安になるのが、普通だと思うんだけどな。
勿論、戦場である以上サーニャを守り続けることは難しいけど、それなりの覚悟もしていたのに。
私が抱きかかえて、サーニャも一緒に回避する。そんな芸当に付き合ってくれた。
「ちょっとぐらい怖がっても良かったんだぞ? それなのに、サーニャが全部任せてくれるから、こっちが緊張したよ」
「そうなの?」
いつもならギリギリで避ける攻撃も、余裕がある内に移動した。
撃墜することで防いでいる攻撃も、今回に限っては回避を優先した。
それでも傍をビームが通り抜ける感覚は、慣れていないサーニャにかなりの負担をかけたはずなんだ。
シールドで防ぐことを前提としていないから、当たれば無事では済まない。
撃墜ではなく、その場で命を落とす可能性すらあった。
「けど、エイラがいてくれたから」
そんな危険な状態でも、サーニャは私を信頼してくれた。
それが嬉しい反面、とても危うく感じられたんだ。
予知は所詮予知であり、絶対ではないから。少しぐらいは、疑っても良いんだぞ?
私としても、安心してくれるように努力はしたさ。余裕がある限り話かけて、強がって見せて。
私がいれば絶対大丈夫なんて、そんな台詞だって言ったなぁ。
「エイラと一緒なら、この腕に抱かれていれば安全なんだって。信じさせてくれたから」
うぅ、それを真っ直ぐに信じてくれたサーニャ。そんな透き通った瞳で、私を見ないで欲しい。
許してくれ、サーニャを安心させる為とはいえ、ちょっとだけ嘘も言ったんだ。
サーニャの為なんて言い訳して、嘘を言っていたのだから。
「そ、そうなのか? 私が抱きしめていれば、サーニャは怖くないのか?」
それでも、嬉しいものは嬉しい。
私がサーニャの助けになれているのなら、なんだって良いや。
「うん。エイラの温かさが、私を安心させてくれるから」
「そうなんだ。あはは……」
こんな時、どう反応すれば良いのだろう?
この場で抱き締めれば良いのか? それとも、謙虚に対応した方が良いのだろうか?
「どうかしたの、エイラ?」
分からない。何がベストの選択肢なのか、私には分からない。
タロットで占えば、良い未来を掴み取れるのかもしれないけど。流石にこの場では無理だな。
「その、あれだ。もし、サーニャが良ければの話なんだけどさ」
この場で私に出来るのは、自分の心に素直になるだけ。
占いに頼ることもなく、何かで飾ることもなく。ただ、自分の心にある言葉を、口にするだけ。
「今度また、怖いことがあったりしたら、抱きしめてみようかなーなんて。も、勿論、サーニャが良ければの話だけど」
「今度……抱きしめる……?」
私が抱きしめて、サーニャが安心出来るのなら。私がサーニャを安心させてあげられるのなら。
今度と言わずに今すぐにでも、実行したい。
◇
「ど、どうかな?」
ほんの数秒のはずなのに、永遠にも感じられる。
そんな無言の時を破ったのは、可愛らしい返答だった。
「――嬉しい」
うわっ。どおして、そんなに赤くなって答えるんだよ。恥ずかしくて、正面から見れないだろ?
ただでさえサーニャは可愛いのに、そんな笑顔を向けられたら、どうして良いのか分からない。
「エイラ、ありがとう」
私はただ、サーニャを安心させてあげたかっただけ。力になりたかっただけなんだ。
それに笑顔で応えてくれるのは嬉しいけど、私自身がどうすれば良いのか、分からなくなってしまう。
「き、気にしなくて良いさ。その、私はサーニャが好きなんだから。ちょっとでも力になりたいんだ」
どもってしまったけれど、私は頑張った。
荒れ狂いまとまる様子のない心に比べれば、冷静に対応出来たはずだ。
私がサーニャを好きなのは当然だし、サーニャも私に好意を寄せてくれているみたいだから。
中々口に出すことが出来ないけど、こんな時くらい良いよな?
「私も、エイラの力になれるかな?」
好きだと伝えられた。それだけでも嬉しいのに。
サーニャが言ってくれた言葉は、私に幸せをくれるものだった。
「どう、かな?」
サーニャが私の力になってくれる?
サーニャが私を助けてくれる?
それは、傍にいて力を貸してくれるってことだよな?
ずっとずっと、サーニャと一緒にいても良いってことだよな。
「そっか、ありがとうサーニャ。嬉しいよ」
「う、うん」
サーニャが傍にいてくれるなら、一緒にいてくれるなら、私はもっと頑張れる。
苦手なことだって、逃げていたことにだって、真正面からぶつかって行ける。
「サーニャが助けてくれるなら、私はもっと強くなれるさ」
「あんまり、無理はしないでね?」
目の前で、嬉しそうに微笑む彼女を守りたい。
誰かに頼るのではなく、私自身の手でこの笑顔を守り続けたい。
サーニャは、私が守るんだ!
「大丈夫、大丈夫。私に任せとけって」
今の私になら、何でも出来るはずだ。出来ないことなんて、ないはずだから。
サーニャがいてくれるなら、私は無敵なんだ。
――サーニャ、大好きだ