幸せに向かって　２ - 雨の降る日に

話しかけても何かぼ～っとしてるし、私とは目を合わせないようにするし、何だか避けられてる感じがする。
何か悩んでいるなら話してほしい、一緒になって解決してあげたい。
でも、フェイトちゃんは頑固者だから話してくれない。何度聞いても「なんでもないよ」って言われるだけ･･･。
「私嫌われちゃったのかなぁ。はぁ･･･」
新しいお友達も増えて楽しそうなフェイトちゃん。笑ってるのは嬉しいけど、隣にいられないのはちょっと寂しい。
今私の心の中ではフェイトちゃんにみんなと笑っていてほしい気持ち、フェイトちゃんを誰にも取られたくない気持ちがある。
私どうすればいいのかなぁ･･･。

◇

「フェイトちゃん、一緒に帰ろうよ」
「ご、ごめんなのは。私ちょっと用事があるから先に帰っててくれる？」
「え？･･･うん分かった」
「ごめんね･･･」
今日もダメだったなぁ。フェイトちゃんを見送りながら私はそっとため息をついた
「なによアレ。最近フェイト付き合い悪くない？」
「仕方ないよアリサちゃん、フェイトちゃん用事があるって言ってたし」
「にゃはは･･･今日もふられちゃったねぇ」
怒るアリサちゃんになだめるすずかちゃん、苦笑するしかない私。
だから、話し込んでいた私達ははやてちゃんが笑っていたのに気づかなかった―――。

◇

夜、真っ暗な部屋の中で私は起きていた。
寝ないと明日の学校が辛いと分かっていても眠れない。
「フェイトちゃん･･･」
心に浮かぶのはは金髪の彼女。
私は彼女の泣き顔も、笑顔も知っている。
私は彼女の恥ずかしがる顔も、照れている顔も知っている。
でも、もっと･･･もっと仲良くなりたいよ。もっと一緒にいたいよぉ。
私はあふれる涙を止められない。
嫌われたのかもしれない。そう思うだけで胸が潰れそうなぐらい痛い。
「フェイトちゃん･･･」
「なのは」
え？フェイトちゃん？あわてて探すといるはずのない彼女が立っていた。
「ごめん。ごめんね、なのは」
泣きそうな顔で謝罪を繰り返す彼女。助けなきゃ･･･私がフェイトちゃんを助けなきゃ。
「フェイトちゃ･･･っ！」
体が動かない――なぜ？
私が困惑している間にも彼女の謝罪は続く。
すぐに抱きしめてあげたいのに･･･。体が凄く重たい。それでも必死に腕を伸ばし彼女を求める。
彼女に届きそうになったところで私は光に飲み込まれた･･･。

ドスン･･･。
「いたたた･･･。あれ？」
周りを見渡すと私の部屋だ。当然彼女はいない。
夢だったのだ。でも･･･
「フェイトちゃん、寂しそうだった」
口に出してみて確信する。そう、彼女は何か寂しさを感じているのだ。そして、それに押しつぶされそうになっている。助けなきゃいけない。
でも、どうやって？多分私一人では彼女を助けられない。彼女の悲しみを消してあげることはできない。
そう･･･私一人ではむりなのだ。でも、私は一人じゃない。沢山の友達がいるんだ。
決意を固めた私は学校へ向かう準備を始めた。
「待っててねフェイトちゃん」
まさか原因が自分だとは知らずに―――。

◇

「ふぅん、なるほどなぁ。話は分かったで」
そんな訳で私ははやてちゃんに相談中だったりします。本当はアリサちゃんやすずかちゃんもいてほしいけど塾だから仕方が無いよね。フェイトちゃんは本局に呼び出されてる。
「つまりなのはちゃんは最近フェイトちゃんがおかしいのは自分のせいかもしれへん思うとるんやな？」
一つづつ整理するように話すはやてちゃん。
「ついでに最近のフェイトちゃんの反応が素っ気無から、なのはちゃんはもっと可愛い返事が欲しいと思とった」
か、可愛いって･･･無愛想でもフェイトちゃんは可愛いもん。
「で、きわめつけは今日の昼のアレやな？確かにアレはショックやわなぁ」
そう、今日またあったのだ。それはお昼休みのこと、みんなでお弁当を食べた後だった。

◇

フェイトちゃんがこっちを見ているからドキドキしながらフェイトちゃんを見つめていたら何だか顔が赤かった。もしかしたら体調を崩して熱でもあるのかもしれない。そう思った私は自然にフェイトちゃんのおでこに触ろうとした。きっとソレがいけなかったんだ
「フェイトちゃん、大丈夫？」

パンッ！

「え？」
今何が起きたの？
フェイトちゃんが熱があるかもしれないから触れようとしたんだ。そうしたら、突然フェイトちゃんに手を払われた･･･嘘だよね？。
何事かと注目が集まるのを感じたけど動けなかった。
フェイトちゃんが何か言って教室を出て行ったけど追うことも出来なかった。

　　　　　　◇

「私嫌われちゃったのかなぁ･･･」
アレはきっとフェイトちゃんが私を拒絶しただけなんだ。そう、私だからダメだったんだ。
くやしさや悲しみ、他の色々な感情が混じってどうしていいか分からなくなった。
「フェイトちゃん･･･ぐすっ･･･フェイトちゃん･･･」
もうダメだった。大好きな人に嫌われて拒絶されることは耐えれない。必死に耐えようとしたけど涙は止まることはない。
浮かんでは消えていく笑顔、いつまでも隣で見ていたかった。でも、嫌われちゃったらもう無理だよね･･･。どんどん沈んでいく気持ち、ここが図書館であることすら忘れて泣いてしまった。辛かった、悲しかった･･･。
「え？」
突然のことにまた身動きが取れなくなった。暖かい―――はやてちゃんだ。
「なのはちゃん、泣かんでええよ。フェイトちゃんはなのはちゃんが嫌いになったんと違う」
え？私フェイトちゃんに嫌われてないの？本当に？
「フェイトちゃんはな、なのはちゃんが嫌いであんな態度取ってるわけやない。恥ずかしいだけなんや」
フェイトちゃんが恥ずかしい？
抱きしめたままはやてちゃんは語りかける。
「フェイトちゃんはどうしていいかがわからんのや。だから今日みたいな行動を取ってしまう」
その言葉が分からなくて、知りたくて私は次の言葉をじっと待つ。
「ん～、本当はな私の口から言ってええことやないんやけど･･･多分フェイトちゃん、なのはちゃんが好きなんや」
一瞬はやてちゃんが何を言ってるのか理解できなかった。フェイトちゃんが私を好き？
「フェイトちゃんには内緒やで？ちょおお節介やし、本人まだ気づいてないみたいやから･･･」
そう前置きをしてはやてちゃんはゆっくりと話してくれた。

あのな結構前からなんやけど、フェイトちゃんがなのはちゃんを見てる目がちょお変わってきてな、気になっとたんや。
授業中でもお弁当食べるときでもいつも、なのはちゃんの事を追ってて、とっても幸せそうだったんや。なのはちゃんも覚えがないか？いつもフェイトちゃんは見とったんやで。
で、目つきが更に変わりだしたのが最近や。ちょうどなのはちゃんを避けるようになった頃かな？フェイトちゃんがなのはちゃんを見る･･･いや、見つめる時の目の色は間違いなく恋する乙女やった。本人はあまり気づいてないようやったけど。文学少女を騙せる思たら間違いや。すずかちゃんも気づいていたようやし、うちの目は誤魔化せへん。
で、本題はここからや。なぜフェイトちゃんはなのはちゃんを避けるようになってしもうたか？それはズバリ恥ずかしかったからや。まったくまだまだお子様やね。自分の気持ちが分からずにどうしたらええのか悩んどんのや。それで今日恥ずかしさがピークに達してあんなことをしてしもうたんや。
なのはちゃん、手叩かれたとき誰が一番驚いた顔しとったと思う？叩いた本人･･･つまりはフェイトちゃんや。フェイトちゃんはなぜ自分がやってしもうたんか分からなかったんや。まぁ、教室を出て行くとき泣いとったしな。

はやてちゃんの話を聞き終わった私は驚いていた。確かにちょっと友達を超えたスキンシップはあったけど、まさかフェイトちゃんが･･･。フェイトちゃんが私を好きでいてくれたなんて。どうしよう、せっかく止まった涙がまた溢れてきちゃう。さっきとは違う暖かい涙が･･･。

それから暫くたって私達は図書館を出た。入った時とは違って晴れやかな気持ちで

◇

あの後はやてちゃんから厳重に口止めをされた。私の勘違いかもしれないし、最終的に決めるのはなのはちゃんやと。
私は今は幸せに暮らせているのだと思う。フェイトちゃんのちょっとした変化にも気づけるようになったし、私自身の気持ちにも整理がついた。
だから今日、本局から戻ったら私はフェイトちゃんに告白をする。
もう夕方だけど晩には会える。そして、会って私の気持ちを伝えるんだ。

貴女が好きですって―――

続けてUPできた～ｗ内容はお察しください
実は告白シーンを書くかどうかは未定です(ｵｲ
マシなSSをかけるように数を書こうと模索中～

１月４日加筆修正