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なのフェイSSUP~ なのですが・・・実は今まで書いていたのとは時系列?が違います。
そこで・・・
今までのなのフェイ(続き物)を カテゴリ「幸せに向かって」に
これからのなのフェイ(短編)は カテゴリ「なのは×フェイトSS」に
それぞれ分けました。
今まで読んでいてくれた方々には分かりにくくなってしまい申し訳ないのですが、パラレル的な感じになってしまっているのでご了承ください。
2日前に大きな事件が起きて私、フェイト・T・ハラオウンと高町なのはは本局へと詰めていた。
強盗犯によるロストロギアの不法所持と、民間人への魔法攻撃。幸い大怪我をおった人はいなかったけど許せる事ではない。それに事件自体は解決したものの、他の捜査チームが追っている密輸組織との繋がりがあるらしく、ずっと取調べが行われていた。勿論現場で犯人と対峙し、逮捕を行った私達も調書を取られていたので学校へ行けなかった。
「あ・・・フェイトちゃ~ん」
大きく手を振りながら私を呼ぶ人影。影になって顔は見えないが間違えるはずも無い。
「なのは、お疲れ様」
私とは別の場所で調書を取られていたなのはだ。広くは無い本局の廊下を駆けて来る姿にも幾分か疲れている様子が見受けられた。
「フェイトちゃんもお疲れ様。・・・はぁ、調書を取られるのって大変なんだね~」
にゃははは・・・と力なく笑っている様子から察すると、相当応えたみたいだ。
「そうでもないかな・・・」
「えっ、フェイトちゃんは平気だったの?私なんて何だか怒られているみたいで、ちょっとね・・・」
いつも明るいなのはから笑顔を奪ってしまったのは許せるものでは無いが、今回は事情が事情だ。心の整理をつけ、怒りの矛先は犯人とその一味に向けなくてはいけない。
・・・担当の捜査官だってなのはをいじめようとした訳では無いだろうし。
「私は、その、前に裁判もあったし・・・ね」
先のPT事件では重要参考人としても、容疑者としても取調べと裁判を受けた。あれに比べれば調書ぐらい何とも無いと感じてしまう自分自身がちょっと嫌になるけど、仕方が無い事だ。
それに今はこの強さを持って、なのはを笑顔に変えないといけない。
「辛い思いもいっぱいしたもんね・・・ごめんね思い出させちゃって」
ふわりと抱きしめられたのは分かったけど、それはなのはが気にする事では無い。
「でも、なのは・・・かけがえの無い大切なものを手に入れたよ?それに、今はなのはの隣で笑っていられるから、どんな事が起きても大丈夫なんだ」
1人では無理でも2人なら、恋人と一緒なら大丈夫。だって、想いは力に変わるから・・・。
そうだ・・・
「ねぇ、なのは唐突なんだけど、一緒に植物園に行かない?」
「植物園?そんな所が管理局にあったの?」
正確には『植物生態科学研究施設兼飼育園』という施設。
魔法技術が進んだといえども人が摂取できるのは有機物のみに限られる。戦争や紛争が起きている世界では慢性的な飢饉状態に陥ってる事も珍しくはないし、違法な魔法実験などで環境が荒らされている事もある。そういった事に対応する為にも植物事態の研究・開発が重要項目となっている。
災害対策関係の部署が管理をしているのだけど、局員なら出入りは自由でいつでも利用していいと教えてくれたのはエイミィで、案内してくれたのは母さん。
「うん、ちょっと歩くんだけどね・・・最近地球の植物を植えているらしいんだ」
梅やイチョウに桜。樹木がメインとなっているのは管理の都合からだろうけど、時期的に今なら桜が綺麗に咲いているはずだ。
「へ~、そうなんだ・・・」
「地球の季節に合わせて咲くらしいから、今ならきっとお花見が出来るよ」
満開になるのがいつかは知らないけど、咲き誇る桜、舞い落ちるピンクの花びら、きっと笑顔を見せてくれるよね。
「お花見かぁ・・・ん~、お弁当は無いけどお菓子とジュースで良いよね」
どうやらなのはも乗り気になってくれたらしく、ウキウキとした様子が伺える。
「きっと楽しいよ。だからなのは、わ、私と―――」
「フェイトちゃん、植物園にデートに行こ」
また先に言われちゃったよ。今回こそは私から誘えると思ったのになぁ。
「綺麗なお花にお菓子とジュース。あぁ・・・楽しみぃ、ね?フェイトちゃん良いよね?」
でも、笑ってくれたから良いかな?
「うん、行こうなのは」
次こそは私からデートに誘ってみせると心に誓い、返事をする。
難しい事は考えちゃダメだ。なのはとのデートだ。全力で楽しまないと―――
◇
植物園の一角にソレはありました。地球から試験的に移植されてきたうちの1株。春を告げ、出会いと別れを象徴する存在といわれる樹、桜。
桜にもいろんな種類があるらしいけど・・・あいにくと私は詳しく無いので種類までは分からない。
「綺麗だね・・・」
「そう・・・だね」
でも、なのはと同じように綺麗なものは綺麗だと、素直に感じる事は出来る。それに、近くに寄ると木独特の力強い印象を感じる。
環境調整の為に送風をしているらしくざぁざぁと葉が揺れ、花びらが舞い落ちてくる。昔習った、水墨画みたいなシメージがするなぁ・・・。
「・・・お菓子食べよっか」
「そうだね・・・」
情緒に浸るのはこれまでにしよう。たまにはしんみりとしているのも良いかもしれないけど、今はなのはとデートの真っ最中だ。
いつも一緒に居る時も楽しいけど、デートはデートで楽しむ。それが私となのはのスタイル。
「フェイトちゃん、あ~んして」
「あ~ん♪」
私はもう前とは違う。これぐらいなら恥ずかしくないし、デート中は周りに振り撒くぐらいの勢いでラブラブになっているはずだ。
も、勿論夜の方も頑張ってるけど・・・なのはの攻めは日に日に激しくなっていくし、ズルイぐらいに元気だから・・・ね。
「な、なのはもあ~んして」
昨夜の事を思い出しそうになった私は無理にでも忘れようと別のことを考えることにした。
今回の事件は非常に厄介なものだった。幸いにしてロストロギア自体を使用される事無く逮捕には至ったが、自立型と思われるアンノウンの敵が複数確認されている。丸みを帯びていて薬のカプセルを巨大化させたようなフォルム、そして何より魔法の効果を著しく低下させる何かを持っていた。手ごわい相手だったし、複数体出てきたところから考えると今後も接触する可能性は高そうだ。
恋人を落とさせる事も、私自身が落ちる事も防ぐために、後ではやてにでも聞いてみよう。何か知っているかもしれない。
「ふふふ・・・楽しいね」
とても楽しそうで輝くような笑顔を見せてくれるなのは。つられて笑う私の心は幸せでいっぱいで事件の事さえ忘れてしまいそうになる。
今後の為にもしっかりと調査して、対策を立てないといけないのに・・・。それに追っている事件はそれだけではないし、どれも迅速かつ安全に解決しないといけないし・・・
「フェイトちゃん?」
「ふぁい・・・?」
え~と、これはどういった状況なのかな?
いつものように事件の事を考えていたらなのはに鼻をつままれてしまった。別にそれが嫌って訳ではないけど・・・変な声になってしまって恥ずかしかった。それに結構痛いよ?
「また難しいことを考えている顔をして・・・私の話聞いてなかったでしょ?」
え、え~と確か・・・
「そ、そんな事ないよ。・・・桜も綺麗だし、お菓子も美味しいね」
あれ?なのはが笑顔のままで詰め寄ってくるって事は、もしかして
「違うよ・・・。もう、やっぱり聞いて無いじゃん」
「あぅ・・・」
ハズレだったみたいだ。
「ごめんね。その、つい・・・」
「ついじゃないよ・・・折角デートしてるのに・・・」
「ごめんなさい―――」
また、なのはを悲しませてしまった。守り抜くって誓ったのに・・・。
「そ、そんなに深刻な顔をしなくていいよ。私がフェイトちゃんの笑顔を見たかっただけだし・・・」
そう言っていじけるなのはがとても可愛い。そう、とても可愛いからこそ・・・
「ごめんね・・・私ちょっと別の事考えちゃってたんだ」
「え?何か大切な事だったの?」
「うん・・・。私にはなのはっていう勿体無いくらいの素敵な恋人がいて幸せなんだけど、世界には楽しい事を知らなくて、苦しい事や悲しい事に潰されそうになっている人達がいるんだ」
私自身、プロジェクトFの産物で、失敗作と呼ばれていたから良く分かる。
幸せはちっともやってこないのに、苦しみと悲しみだけはいつでも押し寄せて来るんだ。
「執務官になって、そんな事をいっぱい見ていくうちに私だけ幸せになっていいのかなって思う時があるの・・・」
何だかズルい事をしているみたいで、なのはとのデートよりもその人達を助けるのが先決じゃないのかなって思うことがある。
「―――私だけなのはの隣で笑っていても、幸せでいても良いのかなって」
「フェイトちゃん・・・」
気づいた時にはなのはに抱きしめられていて、あまりにも温かすぎて逃げようとした。でも、逆にぎゅっと抱きしめられてしまった。
「悲しんじゃダメ、後悔をしちゃダメとは言わないよ?でもね、下を向いて立ち止まるのはダメだよ」
そう囁いたなのはの言葉はとても優しかった。
「下を見ても何も変わらないし、立ち止まっても何も変えられない。フェイトちゃんのお仕事は辛い思いをいっぱいしちゃうけど、沢山の人を助けているお仕事なんだよ」
そう、私は1人でも多くの人に笑っていて欲しいから、執務官になろうと思ったんだ。
でも、クロノ達みたいに上手くやる自信が無くなってきちゃったよ・・・
「それにね、前にフェイトちゃんが教えてくれたけど『1人じゃない』よ?」
「え?なのは・・・もしかして・・・」
「私がフェイトちゃんの傍にいるよ。苦しい時も悲しい時も、勿論楽しい時だって。絶対に・・・絶対フェイトちゃんを1人になんかしてあげないよ?だから1人で悩まないで、私がいるから、いつでも隣にいるから。だから・・・ね?」
それ・・・前に私が言ったセリフだよ。覚えててくれたんだね・・・。
「うっ・・・ぐす・・・」
なのは・・・なのは・・・。その優しさに両目から零れ落ちる涙さえぬぐう事ができず、ただなのはに抱きついていた・・・。
常に誰かに心の拠所を求めて彷徨っていた私。なのはと恋人同士になれてからは大分薄らいでいたけど、それでも1人になるとどうしようもなくて、寂しくて温もりを求めていた。
多分心から一緒に居たいと願っても叶わない事を知っているから、どんなに頑張っても報われない想いがある事を知ってしまっているから・・・。
みんなプレシア母さんが悪いと言うけれど、結局は私の心が弱いのが原因だった。
誰かに傍にいて欲しかった、誰かの傍にあり続けたかった。なのはなら分かってくれるかもしれないけど・・・だからこそ今まで話したことは無い。
「―――私は悩んでいるフェイトちゃんも、困っているフェイトちゃんも好きだよ?でも、やっぱり笑顔でいて欲しいな」
「で、でも・・・私はずっと笑顔でいられる自信が無いよ」
弱気になっている私の背中を、あやすようにしてポンポンと叩いてくれるなのは。
「大丈夫だよ?私はありのままでそのままのフェイトちゃんが大好きだから、無理をしないで欲しいな。一緒に悩んで、一緒に悲しんで・・・でも、最後にはとびっきりの笑顔で一緒に飛ぼう」
「なのは・・・私・・・わた・・・し」
最後まで喋る事はできなかった。ただ優しくて、ただ嬉しくて・・・私は声をあげて泣いてしまった。
◇
どれだけの間泣き続けていたかも分からない。それでもなのははずっと私を抱いてくれていた。ちょっと甘え過ぎたもしれない。
「ご、ごめんねなのは。その・・・急に泣いちゃったりして」
「気にしなくて良いよ。それに私といる時は我慢しないで欲しいな」
そう語るなのはが優しすぎて、私は離れられなくなってしまう。
「そ、それでね・・・泣き止んだばっかりのところ悪いんだけど。その・・・何といいますか」
今までゆっくりと撫でていてくれた手が離れ、なのはが真剣な表情で私を見つめていた。
「じ、実はなのはからフェイトちゃんにお願いがあるんです・・・」
「お願い?何かな、なのは」
お互い恥ずかしいところも、弱いところも見せ合ってる仲だ。何を言うにしても口ごもる必要なんてないのに・・・。
「え~とね、なのは達はまだ子供だし・・・その話が早すぎるのは分かっているんだけど・・・」
そこでチラリと私をみるなのはの目は不安に溢れていた。
どうしたのだろう?さっきまで元気だったのに・・・
「その、先行予約と言いますか・・・将来の約束と言いますか・・・」
非常にじれったいけど、私はなのはの言葉を待ち続ける。
「え~とですね・・・ゴホン」
深呼吸をして咳払い・・・なのは一体何をお願いするつもりなのかな?
「フェイト・テスタロッサ・ハラオウンさん!」
「は、はい」
・・・あまりの剣幕に驚いた私は、思わず返事をしてしまった。
「私、高町なのはは貴女と共にあり、貴女を守り抜き、貴女を幸せにすると誓います。だ、だから・・・」
えっと・・・もしかして・・・
「私と結婚して下さい」
「・・・っ!」
プロポーズだ!
あまりの衝撃に叫びそうになり、口を手で覆った状態の私―――
告白した時のまま、じっと動けずにいるなのは―――
そのまま時が止まってしまったかと思った。
け、結婚!?今、結婚って言ったよね!?
え~と、私となのはが結婚って事は・・・その、夫婦になるってことで・・・ずっと一緒にいるって事で・・・
嬉しい―――
「そ、その・・・返事は別に今すぐじゃなくてもいいから。その内聞かせてくれれば良いよ。色々と悩むこともあるだろうし」
悩むことなんて何も無いよ?
「そ、その・・・つ、謹んでお受けいたします―――
あの後、2人とも泣いてしまった。ただ、それは嬉しさが涙に姿を変え、溢れただけの事だろう。
この先どういった事が待ち受けているかは分からない。
それでも2人一緒なら・・・全ての壁を越えて行ける気がする。
新しい生活へ Take Of
なんていうか・・・その色々とごめんなさい!