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むしろ、熱くてもいい
ドロリととけたいです
なのフェイ テーマ;お風呂 を追加
ちょっと天然ボケなフェイトさんです☆
麗らかな昼下がり。午後の教練までの僅かな時間が、私の心に活力をもたらしてくれる。
更に、今日はフェイトちゃんとの通信付。
時間が短いのは残念だけど、幸せだなぁ。
「なのは、質問があるんだけど、良いかな?」
「良いよ。フェイトちゃんからのお話は、いつでも受け付けるよー」
私の顔は、彼女に見せられないくらい緩んでいることだろう。そのまま溶けてしまいそうなほど、ゆるゆるに違いない。
だけど、フェイトちゃんはそうもいかないみたいだね。
この短い時間にまで質問してくるってことは、フェイトちゃん1人では解決できないことだよね?
……浮かれた頭に理性を注ぎ込み、急速冷却しなくちゃ。
「あのね、なのはに前に教わった方法なんだけど」
「えーと、どれのことかな?」
フェイトちゃんに教えたこと。フェイトちゃんと一緒に学んだこと。
数が多すぎて、すぐには分からない。
「仲良くなるには、裸の付き合いがいいよって、お勧めされた方法なんだけどね」
「うん。地球にある言葉だよ」
本当は日本の言葉だけどね。フェイトちゃんとしては、同じような物だから。
お互いが分かっていれば、それで良いよね?
「服を着たままだと、隠し事をしちゃうから。お互い裸になって、相手のことを理解しましょう。何も隠さずに、嘘をつかずに話しましょうってことだよ」
服を着ることにより、心を隠してしまう。身を守る物があるから、容易に心を隠せるようになる。
便利だと思うか、不便だと思うか、それは人それぞれだと思うけど、ちょっと寂しいよね。
「うん。私も昔、なのはにしてもらったから。凄い効果があるのは知っているんだよ?」
仲良く離れたけど、まだフェイトちゃんが余所余所しかった頃、お風呂に誘った事がある。
お風呂でなら開放的な気持ちになれるし、隠し事はし辛いんだよね。
「だけど、あれって危なくないのかな?」
「危ない? 何かあったの?」
一緒にお風呂に入るだけ。それなのに、危ないことあったかな?
怪我をするようなことはないはずだけど?
「その、ね。なのはが教えてくれた方法だし、きっと私が何かを間違えているんだと思うけど」
「にゃはは、そんなこと気にしなくて良いよ。それよりも、フェイトちゃんの困っていることを、2人で解決しちゃお」
「ありがとう、なのは」
気にし過ぎだよ。私が教えた方法が絶対あっているなんて、そんなことはありえない。
それに、もしも間違えているのなら、教えて欲しいな。
「実はね、この前保護をして引き取った子に実践してみたの」
フェイトちゃんが保護した子供か……。
その殆どの子は辛い目にあって、心を閉ざしていたりする。だから、会話をするのだって大変。
そんな感じなのを聞いているけど。
――そっか、フェイトちゃん頑張っているんだね。
「詳しくは話せないんだけど。あまり幸せな生活を送れていない子で、ある施設から引き取ったの。自虐的で、感情が爆発しやすくて、いつも何かに怯えている様子だった」
全てのことが、どうでも良くなる。自分を傷付けることにすら、躊躇しない。
周りから見れば危険な行動でも、その子にとっては、自分を保つ為に必要だったのかな?
「それに、色々なことを合わせて、自分と重ねてしまうところもある子で。幸せになって欲しいなって、そう思える子なんだ」
色々なこと、か。きっと、そのことは教えられないんだよね?
大丈夫だよ。フェイトちゃんが話せないって判断したなら、それに従うから。
「それでね、心を閉ざしたままだと会話も難しいから、一緒にお風呂に入ることにしたの」
うーん、今現在の話だと、怪我をする要素はないよね?
フェイトちゃんが頑張っている様子が目に浮かぶようで、少し寂しいけど何だか嬉しいよ。
「私がなのはにして貰った通りに進めて、2人共裸になって」
会話を続けて、緊張をほぐして。少しでもリラックスしてもらえるようにする。
そうすれば、心の殻から出てきてくれるはずだから。
「そうしたらね、突然鼻血を出して倒れちゃった」
えーと、そのタイミングだとお風呂にまだは入れてないよね?
湯船に使っていないよね?
「私はただ、体を洗ってあげただけなんだよ?」
フェイトちゃんと一緒にお風呂か。良いなぁ。
それど頃ではないと理解していても、羨ましく思ってしまう。
「どうしてなのかな?」
どっちにしても、困っているフェイトちゃんを放ってはおけないよ。
◇
「えーとね、少し整理しても良いかな?」
「うん、私に分かる範囲でなら、答えられるよ」
フェイトちゃんの説明だけでは、断片的過ぎて全てを理解するには至らない。
もう少し、私の知りたい情報を提供してもらわないと。
「鼻血が出たのは、どこかにぶつかったから? それとも、自然に出てきたものなの?」
壁にぶつかったり、頭をぶつけてみたり。意外なことでも鼻血は出る。
体温の上昇する風呂場であれば、尚更。
「うーん、体の傷を確認するのに集中してたから、確実とはいえないんだけど」
身体の傷を確認する。そんなことをしないといけない子なんだね。
立ち直って、明るくなってくれればいいけど。
「多分、ぶつかってはいないよ。ぶつかる物も特にないし」
そんな子供達を減らす為、少しでも幸せを知って貰う為にフェイトちゃんは、活動している。
そんな彼女を助けられるのなら、私は喜んで力でも、知恵でも貸すよ。
「なら、鼻血を出す前。何か変わった物を食べた? それか、ちょっと変わった様子はなかった?」
「……食べ物は特に思い当たらないよ。血圧が急上昇しそうなものは、何も食べていないしね」
これも、外れか。
血圧の急上昇する食べ物。出血しやすくなってしまう食べ物。
他にもアレルギーなど、本人だけの症状も存在する。
「様子といえば、緊張はしていたかな?」
緊張かぁ。それ自体は、別に珍しくはないよね。
「ちょっと前まで知らない人だったし、これは当然だよね?」
「そっか、フェイトちゃんも随分緊張していたし。そうかもしれないね」
知らない人のくれる親切。この前までは存在しなかった環境。
そこにすがり、それがなくなる事を恐れてしまう。
「その子、鼻血が出やすい体質だったりしない?」
「んー、そんなことはないと思うけどな。エリオに関する書類は一通り読んだし。だからこそ、共通点を見つけたから」
もしくは、個人的な事情かと思ったけど。気のせいかな、私の考えと一部ずれてない?
「フェイトちゃん、今更の質問なんだけど」
「うん、何かな?」
「エリオってことは、男の子なの?」
エリオちゃん? エリオ君?
普通に考えるなら、エリオ君だよね?
「うん、エリオ・モンデアル君。ちょっと影はあるけれど、素直で良い子だよ。もう少し慣れてくれれば、我侭も言ってくれるかな?」
そっか。男の子なら、仕方がないよ。
「えーとね、それを聞いて原因は分かったよ」
「そうなの? 流石はなのはだね」
通信の向こうで、彼女が喜んでいる様子が目に浮かぶ。ただ、それとは正反対に、私の心は穏やかではいられない。
まったく、少しは自分自身のことも心配して欲しいな。
「原因は、ずばりフェイトちゃんです」
「そっか、やっぱり失敗しちゃったんだね」
ちょっと恥ずかしい内容だけど、相談を受けている以上伝えないわけにはいかないよね。
「フェイトちゃん、一緒にお風呂に入ったんだよね?」
今一度確認。私が勘違いしていないことを確認しないと。
「当然、裸で。バスタオルも水着もなしで」
「うん、その通りだよ」
やっぱり、そうなんだね。
「あのね、前にも言ったけど少しは自覚して欲しいな。フェイトちゃんの悩殺ボディーを見たら、行動は2つに絞られるんだよ?」
自意識過剰になれとは言わないけど、最低限の自覚はして欲しい。
そうしないと、この先どんな事になるか分からないよ?
「理性が飛ぶか、鼻血を吹くしかないの」
男女関係なく、この2つだけに絞られてしまうはず。
私の場合は選ぶまもなく前者なんだけど。全く、自覚がないもの困ったものだね。
「もー、その子が純情だったから良いけど、成長期の子は気をつけなきゃダメだよ?」
少しだけ、ほんの少しだけお仕置きしたい気分だし。可能なら、非殺傷設定の外れちゃったディバインバスターを、エリオ君に打ち込みたい気分だけど、ここは我慢我慢。
そんなことしたら、フェイトちゃんが悲しむもんね。
「とりあえず、男の子と一緒にお風呂に入ってはいけません」
「けど、エリオはまだ子供だよ? 直接的な触れ合いが必要だと思うの」
エリオ君が子供なのは分かったよ? 保護した立場としては、母親みたいな気分になっているのも分かるよ?
だけど、勘違いはいけないよ。
「確かに、触れ合う事は大切だよ? だけど、それはお風呂以外でも実現出来る事なの」
お風呂以外でも、分かり合う方法はいくらでもあるはずだよ。
ただ1つの方法に全てをかけるのは、良くないよ。
「料理を作ってあげたり、掃除をしてあげたり。そうしていれば、フェイトちゃんの優しさは伝わるよ」
それに、裸のお付き合いは、ある程度仲の良い者同士でやるの。
拒絶されているような、拒まれているような状態で実践しても、期待しているような効果は得られないよ。
「ね? 少し時間がかかるかもしれないけど、焦らずに仲良くなれば良いんだよ」
少しでも早く楽にしてあげたい。素直に笑えるようにしてあげたい。
そんな優しさは、エリオ君にだって伝わっているよ。
「そっか、少し焦りすぎていたのかもしれないね」
「うん。時間はあるから、ゆっくりやればいいんだよ」
何事も、時間が必要なの。初めから完璧なんて目指してはいけないの。
少しずつ、毎日積み重ねるものは強いんだよ?
――少しは力になれたかな?