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しっかりと抱きとめていたはずなのに、君はいつの間にか私の横にいる。
今度こそ守るんだって決めていたはずなのに、気付いたら置いていかれている。
私の後ろにいて欲しい。私にも、君を守らせて欲しい。
何度そう願ったのか、既に忘れてしまった。
君は光を散らしながらも、私を助けてくれたというのに。私の為に、あんなにも苦しんでいたというのに。
私は、抱きしめることすらままならない。
「なのは」
君は、どうして頑張るの? そんなにも、頑張ってしまうの?
君は、どこへ行こうとしているのかな? そんなに急いで、どこを目指しているの?
真直ぐに前を見て、何にも負けない翼で飛び続ける君。
そんな君の隣に、私はいても良いの? 迷惑になったりしないかな?
君はどこまでも真直ぐで、諦めることを知らなくて。とても眩しいんだ。
温かくて、優しくて。
「太陽みたいに眩しい」
ずっと傍にいたくて、けど近寄りすぎたら溶けてしまいそうで。どうしたら良いのか、私には分からない。
君の傍にいたほうが良いのかな? それとも、君の陰に隠れていれば良いのかな?
私が選ぶべき道はどっちなんだろう?
「私では、敵わないよ」
昔の話だけれど、出会った頃は私は強いんだって、そう思い込んでいた。君よりも強くて、負けるはずないって信じてた。
事実、魔法の技術的なもので言えば、私の方がちょっとだけ勝っていた。魔法に出会ったばかりの君よりも、上にいたんだ。
だけど、心の強さでは逆だった。私なんかでは、きみの足元にも及ばなかったの。
母さんの言葉と、それに伴う痛み。何よりも、偽りの過去にすがっているだけの私が、君に勝ち続けられるわけなかったんだよ。
気持ちのこもっていない魔法では、君を倒すことなんて出来ない。君の成長に、太刀打ちできるわけがない。
「少しは、変われたんだけどな」
あの頃から比べて、私は成長したのかな? なのはの傍にいて、少しでも成長できたのかな?
優しくされることを教わり、優しくすることを覚えた。
少しずつだけど、笑顔も増えたきた気がする。
守ってもらうことを教わり、誰かを守ることを覚えた。
私の力でも、何かを守れるんだって実感できた。
君の近くにいるだけで、大切な物がどんどんと増えていく。大切なものなんだって、気付くことが出来る。
友達や家族、それに何気なく過ごせている毎日。それこそが大切な物なんだって、私に教えてくれる。
だけど、大切な物はもろくて、ちょっと押すだけで壊れてしまうようなものばかり。
それなのに、私の心を支えてくれた。私の心が折れないようにって、強さをくれた。
辛さから、私を守ってくれているんだ。
だから、今度は私の番なんだよ。次こそは、私が頑張る番なんだ。
「私が、なのはを守るんだ」
手が届かないのなら、近づけば良い。見えないのなら、見えるところまで移動すれば良い。
声が聞こえないのなら、届くまで叫び続ける。
私はここにいる。君の隣にいたいから、君を守り続けたいから。
私は今、ここにいるんだ。
――だって、この手の魔法は守る為にあるのだから。