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ずっと傍にいたはずなのに、未だに掴みきれていないもの。ずっと一緒にいたとしても、全てを分かってあげることが出来ないもの。
「どうして、こう。失敗するのかしら」
アタシはすずかが好きだ。愛している。
それなのに、ずっと傍にいたいと願っているのに、ケンカしてしまった。
何が原因だったのかはいまいち思い出せないけど、多分アタシが悪いのよ。
すずかはいつだって一生懸命で、アタシのことを1番に考えてくれていて、傷つくことだって恐れなくて――見ているだけは辛かったから。アタシだって頑張れるんだって、見て欲しかっただけなのに。
どうしてこんなふうになっちゃったのかしら。
「それが分かれば、苦労なんてしないのよ」
一緒にいられれば嬉しくて、傍にいるだけで幸せになれて。そんな関係だったとしても、時にはすれ違う。
こんな時が唐突にくることくらい、アタシ達は分かっていたはずなのに。避けることが出来なかった。
アタシはすずかの傍にいたい。どんな時でも、傷つくことが分かっていても、2人で一緒にいれば耐えられるはずだから。
寂しい風も、冷たい夜も、焼け付くような陽の中でさえ、傍にいたい。
けど、すずかは許してくれなかった。お姫様だからって、大切だからって、アタシを遠避けようとした。
すずかの気持ちが分からないわけではない。彼女の優しさを感じていないわけでもない。我侭でもいいから、怒られてもいいから、傍にいたかった。
「どうして、喧嘩になるのかしら?」
アタシ達の思いがすれ違ったのは確かで、気持ちが衝突したのも偽りのない真実。
ただ、それは互いを想っているからこそのもの。大切にしたいからこそ、ぶつかったのに。いつものように溶けて交じり合うことはなく、反発しあって。分かれてしまった。
「アタシは、傍にいたいのよ」
すずかの傍にこそ、アタシの幸せがある。すずかが傍にいるから、幸せになれる。
理屈でも、感覚でもなく、これこそがアタシの真実。
好きな人の傍にいられること、好きな人と一緒にいられること。気持ちが離れることなく、傍で支え続けること。
それが叶ってこそ、幸せになる為の道を歩めるの。心を偽ることも、言葉で飾る必要もなく、自分のままで幸せになれる。
だけど、すずかが目指している先はちょっとだけ違う。前々から感じてはいたけれど、あの子はちょっと過保護なのよ。
アタシが傷つくことを、絶対的なまでに許さない。何があっても、どんなことからでも、私を守ろうと奮闘し続ける。
そういった立場に憧れがないわけでもない。白馬の王子様を夢見たことはないなんて、嘘をつくことは出来ない。
守られること、大切にしてもらっていること。それ自体は、感謝しているのよ。
「だけど、そんなのおかしいわ」
2人で幸せになるんでしょ? 2人だから、幸せになれるんでしょ?
そう言ってくれたのに、どうして1人だけ傷つこうとするのよ。
どうして、傷まみれの心を隠そうとするの?
どうして、アタシに相談すらしてくれないの?
アタシはすずかの恋人なのよ。愛し、愛される仲なのよ。すずかの全てを受け止めるべき者よ?
何故、隠すの? アタシはずすかの力になれないって言うのかしら?
何故、相談してくれないの? アタシでは、力不足だって言うのかしら?
すずかを想う気持ちなら、誰にも負けない、負けられないアタシにそう告げるの?
すずかとは言えども、それは認めるわけにはいかないわね。認識を改めてもらわないと困るわ。
アタシは弱くて、頼りにならないのかもしれないけど。この気持ちは本当なのだから。
どこまでも追いかけて、離してあげないんだから。
――すぐに追いつくから、待ってなさい