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こんなものしか書けない らさです。
けど、私もこの2人、大好きです。
みゅー、原案では結構良い感じだった筈なんですが
ど・う・し・て・こ・う・な・っ・た!
なのフェイ で テーマ ハグ です
抱きしめるとかのハグです
(・w・) 意外と難しかったのかな?
トントントンと、リズミカルな音を刻み続ける包丁。
それと共に私の胸を膨らませてくれる期待感。
「絵になるなぁ」
ただ、料理をしているだけなのに。彼女なら、絵になってしまう。
惜しむべきは、私に絵の才能がないこと。それさえあれば、この時を永遠の物として書き残すことが出来たろう。
「ん? すぐ作るから、もう少しだけ待っててね」
「のんびりで良いよー。ここから眺めてるのも、楽しいから」
バリアジャケットでもなく、制服でもない。ピンクのエプロンと、黒色のワンピース。
色合いはいつも通りかもしれないけど、なんだか久しぶりな気がするよ。
「楽しいことなんてあるの?」
「ふふふー。フェイトちゃんの後姿。それを眺めていられるだけでも、幸せになれるよ」
私の大好きな人が、今日は傍にいてくれる。
私の大好きな人が、私の為に料理を作ってくれる。
それは、幸せを現在進行形で味わえている、とても贅沢な時間。
「こんなふうに、のんびりした時間は久しぶりだから。今日は、めいいっぱいフェイトちゃんを堪能します」
「あはは……期待に添えるよう、頑張るよ」
「ぶー、頑張っちゃだめだよ」
もう、フェイトちゃんは意外と分かってないなぁ。
普段はやり手の執務官として有名なのに、恋愛に関しては鈍いんだから。
「フェイトちゃんは、なのはを堪能するの。寂しかった分を埋めて、明日からまた頑張る為にね」
私が寂しいなら、フェイトちゃんだって寂しかったはずだ。
それなのに、私だけが幸せになるのは不公平。ちゃんと、フェイトちゃんにも幸せを感じてもらわないとね。
「だから、頑張るのは禁止です。今日は1日、のんびり過ごすの」
だらだらと、怠惰に任せる休日。他の人から見れば、勿体無いのかもしれない。
けど、フェイトちゃんの傍にさえいられるのなら、これだって幸せなんだよ?
「分かったよ。なら、私もなのはを堪能させてもらいます」
「どうぞ、どうぞ。なのはの愛をいーっぱいあげるから、期待しててね」
今日1日は、フェイトちゃんの為だけに使う。
フェイトちゃんの傍にいて、彼女に幸せをあげることだけに使う。
「少しは手加減してね? なのはに全力で愛されると、明日辛いから」
「んー、それは難しいよ」
フェイトちゃんに幸せをあげれば、私も幸せになれてしまう。
だから、私が幸せになる為には、全力でフェイトちゃんを愛せば良い。
それを手加減するのは――難しいと言うか、無理。絶対に無理。
「フェイトちゃんが可愛いのが、いけないんだからね。なのはは、何も悪くないもん」
反応が可愛くて、抱きしめて離したくない。ずっとずっと、抱きしめていたい。
フェイトちゃんが可愛いから、私だって愛しちゃうんだもん。
「それに、フェイトちゃんが傍にいてくれて、愛し放題なのに我慢するなんて無理」
「えーと、程々にね?」
こちらを振り向いて、お願いしてくるフェイトちゃん。
ちょっとだけ、すごーくちょっとだけ、寂しいけど。フェイトちゃんのお願いは断れないから。
「ちょっと、だけだよ?」
結局、全力全開では愛せないのです。
◇
「それにしても、フェイトちゃん何があったの?」
「……何もないよ?」
美味しい食事が終わり、実のところ私は幸せを充填出来た。
けど、フェイトちゃんは違う。
昨日から感じている、暗いオーラが抜けていない。
「嘘だよ。仕事で何かあったんでしょ?」
私が常に傍にいれば、悲しい出来事からフェイトちゃんを守れる。
私が常に傍にいられるなら、辛い出来事からフェイトちゃんを守れる。
けど、現実はそんなに甘くはない。
「話せないことなら聞かないよ。聞いちゃいけないことなら、耳を塞ぐよ」
仕事の性質上、機密情報は沢山ある。
いくら恋人とは言え、それを全部聞こうとするのはいけないこと。
寂しくても、これだけは仕方のないことだから。
「けどね、フェイトちゃんが辛いのに、私だけ笑う事は出来ないよ?」
どれだけ幸せを感じても、心の底から笑う事なんて出来ない。
どれだけの愛を注がれたとしても、笑顔でいる事なんて出来ないよ。
「私では力になれないかもしれない。私が解決してあげるなんてことは言えない」
フェイトちゃんにはフェイトちゃんの。私には私の。
それぞれの領分があって、手を出してはいけないこともある。
悔しいし、悲しいけど、それが現実だから。
「それでも、一緒に悩む事は出来るよ。フェイトちゃんの辛さを、受け止めてあげる事は出来るんだよ」
フェイトちゃんが求めてさえくれれば、助けてって言ってくれるなら。受け止めてあげる。
「――ありがとう、なのは。そう言ってくれて、嬉しいよ」
「私とフェイトちゃんの仲だよ? 今更、遠慮なんてしないでよ。知らされない方が、悲しいよ」
フェイトちゃんが苦しんでいるのに、私は何も知らない。
フェイトちゃんが悩んでいるのに、私は何も気づけない。
そんな悲しいやり方、間違っている。
「まだ話すことはできないんだけど、なのはがそう言ってくれて元気が出たよ」
「そう、我侭を言ってみて良かった」
フェイトちゃんは、何でも1人でやろうとする。全部抱えて、1人で苦しんでしまう。
そんなやり方続けてたら、いつか潰れちゃうよ?
「そして、もう少しだけフェイトちゃんに元気をあげるよ」
「……ありがとう」
寂しい時、悲しい時、辛い時。誰かに傍にいて欲しかった。
寂しい時、悲しい時、辛い時。誰かに抱きしめて欲しかった。
何も聞いてくれなくても良い。
何も言ってくれなくても良い。
ただ、一緒にいて欲しかった。
「笑ってなんて言えないよ。幸せを感じて欲しいなんて言わないよ」
その悲しさを、私も知っている。温もりを求めている心を、私も持っている。
だから、壊れないようにそっと、抱きしめてあげる。
「けど、涙をぬぐうことはさせて欲しいな。傍にいて、抱きしめさせて欲しいな」
安心してくれるように。泣き止んでくれるように。
ずっと、抱きしめていたい。
「うん……」
私の気持ちで、少しでもフェイトちゃんを癒したい。
私の想いで、少しでもフェイトちゃんを楽にしてあげたい。
だから、今だけは我慢しなくても良いんだよ。格好をつけなくても良いんだよ。
「弱いフェイトちゃんも、強いフェイトちゃんも。みんな愛してるよ。全部大好きだよ」
愛の力で人を変えられるのなら、涙ぐらい止められるはず。
私の愛で、フェイトちゃんの涙を止められるはず。
「このまま、抱きしめてて貰っても良いかな?」
「うん。フェイトちゃんの涙が止まるまで、ずっと抱きしめているよ」
「ありがとう、なのは」
フェイトちゃんが安心出来るなら、いつでも、いつまででも抱きしめてあげる。
私の愛しい人が苦しまないように。私に出来ることは、全部してあげたい。
――お疲れ様、フェイトちゃん