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つまり、姫初めなわけですね!
把握しているイベントで、書きやすく、かつエロいのはコレだけ
すなわち、私的にはかなりがんばるべき日なわけです(SS的な意味に限定するけどね
3月8月と長文を書くお題が待っているので、がんばろうとは思ったわけですよ
しかしながら、まぁ、所詮は私ですね
すずアリ 姫初め UPです
後日談的な感じになっちゃっています
世の中には、姫初めと呼ばれるイベントが存在するようだ。
具体的にどんなのもかは教えてもらえないし、すずかに聞いてもはぐらかされるだけ。
大人になれば分かるよなんて言われたけど、すずかだって子供でしょ?
それなのに、どうしてアタシは知らないのだろう?
すずかが知っていることは、アタシも知っておくべきだし。何よりも、目の前で回答を引っ込められるのは納得がいかない。
そんなわけで、図書室で少し古い資料を漁っていたのだけど――
「これは、教えてくれないわね」
姫初めが何を表すのか、何をするものなのかを知っていれば、教えるのを躊躇うのは当然のことだと言える。
10数分前まで必死になって探していた自分が、凄くバカらしく思えてくる。確かに、大人になれば自然と知ってしまうことだろう。
わざわざ、そんなものに名前をつけ、記念日として記してあること事態がバカらしく感じられる。昔の偉い人たちって、こんな事しか考えていなかったのかしら?
金持ちの道楽とはよく言ったものだけど、これは酷い。
なににしてもあれだけ騒いで調べていたのだから、何も分かりませんでしたと大人しくしているわけにはいかないだろう。
それに、すずかなら丁度調べ終わったくらいでアクションを起こしそうだし。どうやって、逃げようかしら。
「イヤとは言えないんだけどね」
すずかとは目出度くも、恋人関係になれたわけで。興味がないわけではない。
ただ、興味があるのと、実際に自分自身がその状況になるのは全く別の話しなわけで。そこら辺を、上手く言えるまでは大人しくしておくのが賢そう。
第一、アタシ達がそういった事をするには、まだ早い。もう10年くらい後であれば、普通のこととして捕らえられるのかもしれないけれど。まだ、小学生なのよ?
そういったことを知るにも、やるにも早過ぎるわ。好きな言い方ではないけれど、子供らしく健全な付き合い方を考える方がずっといい気がする。
「そもそも、知りたかっただけで。別にやってみたいとか、そういうわけではないんだから」
恥ずかし紛れに口に出した言葉が、1番正しい気がしてくる。
調べて、実情を知って、勝手に慌てているのはアタシだけ。すずかは、アタシが嫌がれば無理矢理するなんてことはないのに。何を慌てているのかしら。
確かに冷静でいられるほどのことではないかもしれないけれど、知らなくていいものではない。
いつかはその時を迎えるのだろうし、その時に慌てないよう、ミスをしてすずかをがっかりさせないように準備を怠ってはいけない。
「それにしても、姫初めとはうまく言ったものね」
元日である1月1日は挨拶回りなどで忙しく、大人達にもそういった余裕はないんでしょ?
それに、2日に設けておけば、新年1日目から疲れるのを防ぐことも出来るのだろう。
そう考えるのであれば、姫初めとは中々に合理的なイベントとして見ることが出来るのかもしれない。
最も、アタシ自身が経験するのはずっと先のことだろうし、今から心配する必要はないのでしょうけどね。
「そもそも、すずかとの関係だっていつまで続けられるか分からないんだから」
アタシ達はまだまだ子供だ。どれだけの知識を集め、大人を驚かせるほどの技術を手に入れたとしても、子供であることからは逃げられない。
大人の庇護下にあり、与えられた範囲での自由を楽しみ、将来という夢を抱ける。
そんな恵まれた状況にあるのに、子供じゃないもんなんて我侭は言えないから。
ただ、諦めるつもりはないし、いつかはパパ達にも分かってもらうつもり。いえ、分からせて見せるわ。
そこら辺は早めに手を打っておかないと、アタシにしろ、すずかにしろ周りを固められてしまう危険がある。高校生辺りになって、突然許婚なんて現れたら、ぶっ飛ばしかねないし。例え現れたとしても、入り込む隙間がないほどの関係を築き上げておけば、問題ないわけだし。
「ま、どうにかなるでしょ」
紆余曲折を経て結ばれたアタシ達なんだから、この先に少々の困難があったとしても気にすることなく乗り越えることが出来るんじゃないかしら?
最初が大変だったからこそ、その後が楽というのも良くはないのかもしれないけど、結果オーライよ。最終的に幸せにたどり着けるんなら、道中には少しくらい山や谷がる方が面白いでしょ?
すずかと一緒にいられるのなら、そこら辺を経験するのも悪くないし。2人の絆を深められるのであれば、ドンと来いよ。
アタシ達が始めた恋なんだから、アタシ達以外の意思で終わらせるなんて納得いかないし、そんな結果にはさせない。
ふふ、アタシもすずかも手強いわよ?
「……そろそろくると思ったんだけどなぁ」
無駄な思考を重ね、暇を潰す。それ自体はいつもやっていることだし、今は無駄でも将来役に立つことも少なくはない。
ただ、すずかの登場を待ちつつ思考している時は、あまり長くなりすぎるのは避けたい。
アタシが調べ物をしていること、あの子は知っているし。そろそろ、いつもの笑顔と共に現れてもおかしくはないはずなんだけど。
何か、あったのかしら?
こういったところを外さないのが、すずからしいと思っていたのだけど。
◇
「いつまでも待ってても仕方ないか」
別に約束をしているわけでもない。ただ、迎えに来てくれるんじゃないかなって、勝手に期待していただけだから。
1人で図書室にいても暇だし、他に生徒がいないのに居座っているのも居心地の良いものではない。
それに、いつまでも待っているのではなく、こちらから探してみるのもありかもしれないわね。
アタシはすずかと対等になることを望んでいるのだから、愛されるのを待っているだけでは、何の意味もない。
「……なんて、殊勝なことを考えたアタシがバカだったわ」
図書室と廊下をつないでいる扉。スライド式であり、これといって変わった装飾があるわけでもない。
ただ1つ、扉を開けた瞬間に笑顔のすずかがいたことさえ除けば。
アタシが出てくるのをずっと待っていたかのように、いつ出てきても迎えられるかのように。というか、絶対に待ってたでしょ?
「何やってるのよ」
「アリサちゃんの観察」
「そう、楽しいの?」
聞いたアタシはバカなのかもしれない。少なくとも、すずか相手には意味のない質問だとは理解している。
ただ、それでも確認せずにはいられなかった。
最近、冷え込んできたし、廊下が暖かいということはありえない。
そんな中で、笑顔のままアタシを観察していたのだと、迷いなく答えるこの子。どうしろってのよ。
そもそも、廊下にいたまま観察なんて出来るのだろうか?
「窓から丁度見える位置に座ってくれていたし、真っ赤になったり、恥ずかしさのあまりジタバタしたり、頭を抱えて悩んでいる姿なんて滅多に見れないし。もう少し、のんびりしててくれても良かったのに」
「誰もいないはずなのに視線を感じると思ったら、アンタだったのね」
別にコソコソしなくても、中に入ってくれば良いのに。いや、その状態では見れないようなものだったってことよね?
えーと、そこまで変なことはしてないはずよね? 準備室には司書の人、いたわけだし。完全な無人ではないもの。
「ふふ、アリサちゃん、可愛かったよ?」
「騙されないわよ。そこまで派手にはやってないはずだもの」
「さて、どうでしょう。アリサちゃん、時々周りが見えなくなるんだよ。知ってた?」
確かに、時々場所をわきまえていない様な行動には出てしまうけど。今回はそこまでのことはなかったはずよ?
どれだけ意味深なことを言われても、そこだけは譲れない。
「そうそう、アリサちゃん。この後時間あるかな?」
「どうかしたの? 別に予定はないわよ」
「ちょっとお買い物に付き合ってもらおうかなって」
正月商戦も一段落し、街の様子も随分と落ち着いてきた。今の時期なら、のんびりとショッピングも出来るでしょう。
「問題ないわ。すぐにでも行けるわよ」
すずかが何を欲しがっているのか、どこに行くつもりなのかは聞いていない。
ただ、一緒に出掛けられるというだけで楽しいのだから、確認する必要もない。
「うふふ、ありがとう、アリサちゃん」
積極的な態度に押され気味になることもあるけれど、アタシはやっぱりすずかが好きなんだと思う。
笑顔を見る度に、アタシの心がソレを教えてくれる。
――姫初めも、いつかは、ね