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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
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らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


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yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
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そーいや、都産祭のチケがきません
どーしましょ?

(・w・) 送り先岡山県なんだけどなー

すずアリ テーマ:やきもち

 


赤色から藍色へと、世界が姿を変える。
それに従って、大学の雰囲気も賑やかさが薄れていく。
「正に冬が来たって感じよね」
1人で歩く廊下は寂しく、どこか冷たい。その上、音が消えてしまえば――まるで1人だけ取り残されてしまったようだ。
「ふぅ。余計なこと考えずに、すずかを迎えに行きましょうか」
面倒な会議の後ということもあり、すぐにでも会いたい。
その為か、自然と独り言が増えてしまう。気をつけないとね。
疲れも不安も、あの子は察してしまうから。
こちらが恐縮してしまう程、気を使ってくれるから。
笑顔で迎えに行き、楽しい時間にしなければ意味がない。アタシは幸せなのだから。
「本日はありがとう御座いました」
そんなアタシの耳に聞こえるのは、愛しい人の声。どれだけ聞いても、飽きることのない声。
柔らかく、アタシの心に染み入る声。
「いえ、こちらこそ助かりました」
……この声には覚えがないわよ。
どう聞いても男性の声よね? 少なくとも、すずかでないことは明白だわ。
問題は、その男性とすずかが話しているのかということ。
すずかは誰にでも優しいし、綺麗だから声をかけられていることは珍しくないんだけど。そんな感じじゃないわね。
楽しげに会話を弾ませ、仲良さげに話している。
「どうして……」
えーと、このタイミングで割り込むのは、マナー違反よね?
ええ、間違いなく良くないことだわ。
だからこうやって、隠れたまま聞いているのは問題ないわよね?
アタシはただ、邪魔しないように気を使っているだけなんだから。
「それでは月村さん、また今度」
「ええ。またよろしくお願いします」
会話は終わったみたいね。それ自体は良いけど、また会うような約束してなかった?
どうしてすずかが? いや、そもそも相手は誰よ?
なんで、アタシのすずかと楽しそうに話しているわけ?
楽しそうに、嬉しそうに話しているの?
「お待たせ、アリサちゃん」
「うわっ! ……お、お疲れ、すずか」
考えてみれば当然よね。会話が終われば、こっちに歩いてくるわよ。
いや、そもそも考え込んでいたんだから、気付かなかったのよ?
なら考えてみれば当然なんて、おかしくない?
ここは、予想すれば当然みたいな方が、自然かしら?
それとも、もっと別の表現の方が正しいのかしら?
「あのー、アリサちゃん?」
「OKOK、大丈夫よ。別に、ゴビ砂漠なんかには行かないわ」
「えーと、何の話してたのかな?」
――何やってるのよ、アタシは!
すずかが目の前にいるのに、何やってるのよ。
「別になんでもないわよ」
素直に答えられる筈もなく、結局はこうなってしまう。
すずかは悪くないのに、何拗ねているのかしら?


     ◇


「ごめんね。本当は私が迎えに行くはずだったのに」
「別に良いわよ。たまたま早く終わっただけだから」
あのままじっとしていても仕方ない。
そう判断したアタシ達は、とりあえず商店街へと移動。特に買う物もなくて、ぶらぶらしている。
「ところで、すずか。さっきの誰?」
「さっきの?」
大した時間も経っていないのに、忘れられている。その程度の存在なのかしら?
すずかにとってはその程度の存在なのかもしれないけど、アタシはソレだけでは終われない。
アイツとすずかがどんな関係なのか、どうして楽しげに話していたのか、それを知るまでは安心出来ない。
「さっき話していた男性よ」
「え? 佐藤さんのことかな?」
佐藤さん? いや、苗字としてはありふれているし、どこかで聞き覚えがあったとしてもおかしくはないわね。
「随分と仲が良さそうだったじゃない」
「うん、図書館で一緒に勉強したりしてるよ」
「な、なんですって!?」
すずかと勉強? 一緒に勉強しているですって?
アタシじゃなくて。その佐藤さんと一緒に勉強しているの?
「もうスグテストだから。今回の機械工学難しいし、少し教えてもらってたの」
「ま、まさか2人きりだったりしないでしょうね?」
すずかですら分からないような問題を、教えられる人間。それはそれで凄い事だとは思うわ。
だけど、アタシが納得できるかどうかは全く別の話。
「どうして? だって、図書館で勉強しているんだよ?」
図書館でも人目につきにくい場所とか、人気のない場所ぐらいあるでしょ?
そんなところに、すずかと佐藤さんが2人きりで……。想像するだけでも恐ろしいわ。
「図書館って専門書も揃っているから、勉強には向いているよね」
「それはそうだけど」
こんなにのほほんとして。もし、間違いがあったらどうするつもりなのよ!
アタシの愛しいすずかが、どこの馬の骨とも分からないやつの毒牙にかかったりしたら!
心配になってきた。どうすれば良いの? アタシはどうすれば、すずかを守れるの?
「あの、アリサちゃん。どうして頭を抱えてうなっているの?」
「大丈夫、大丈夫よ。アタシがちゃんと考えるから」
すずかを守る。すずかの笑顔を守っていく。
それはアタシの義務。世界で1人だけ、アタシだけに許される権利。
彼女を守る為なら、笑顔の為になら、全力を出しても良い筈よ。
「話が見えないよ。どうしたの?」
「すずか、貴女を傷付けるよなやつはアタシが許さないわ。絶対に守ってあげるから、安心しなさい」
「えーと、それは嬉しいんだけど、ね。私の話を聞いてくれると嬉しいな」
こんなにも優しいすずかを。アタシの大切なすずかを……もう、なりふりなんて構ってられないわ。
パパにお願いして、少しSPさんを貸してもらえば良いのよ。そうすれば、すずかの身を守れるわ。
それから、アタシも会議を極力減らせば良いのよ。アタシが傍にいれば、アタシ自身の手ですずかを守れるわ。
誰かに頼って不安になるよりも、そっちの方がアタシらしいじゃない。
「そうね、そうすれば良いんだわ」
アタシが出席しなければ進まない会議。アタシが決定をしなければいけない会議。
選別してリスト化すれば、かなり削れるはずよ。
アタシは一介の大学生なんだから、そんなに責任のある役職にはついてないわ。
「明日からの会議を減らすわ。そうすれば、もっと一緒にいられるわよ」
「えーとね、私の話聞いてる?」
「安心しなさい。アタシが傍にいる限り、すずかに指一本触れさせないわ!」
これで完璧ね。別に排除しなくても、すずかの安全は保てるわ。
それに、傍にいられる時間も増えそうだし、良いことずくめじゃない。
「あのね、佐藤さんには勉強を教えてもらっているだけだよ? 本当に、それ以外は何もないよ?」
「ホント? ホントに何もないの?」
どうして、そんなに慌てているの? アタシがホント何かするとでも思っているのかしら?
まぁ、何かが起きてしまう可能性があるのなら、遠慮なくやるけどね。そうでないのなら、何もしないわよ。
アタシは、すずかを信じているから。
「うん、図書館で勉強を教えてもらっているだけだよ」
「お茶に誘われたり、手を繋いだりしてないの?」
「あはは、佐藤さんも彼女がいるから。そういうことはしないよ」
すずかにはすずかの基準がある。その中で安全な人を選んでいるのなら、アタシが口を挟む必要はないだろう。
「けど、ちょっと納得いかないわね」
「どうかしたの?」
ただ、納得行かない物は納得行かない。
「だって、すずかと一緒にいるのよ? 間近で勉強を教えているのよ? それなのに誘いもしないだなんて」
「アリサちゃんとしては、誘われていた方が嬉しいの?」
「……だって、何だか悔しいんだもの。すずかが傍にいるのに、誘いもしないだなんて」
誘えとは言えない。だけど、誘われていないのは何だか悔しい。
すずかは可愛いのよ? 街に出れば、すぐにナンパされるような上玉よ?
それなのに、どうして声もかけないの? その鈴木さんの目は、節穴なわけ?
「けど、誘ったりしていたら、アリサちゃんどうするの?」
「まぁ、状況によるわね。なのは式にお話を聞かせてもらっても良いし、フェイトみたいに苛烈に責めるのだって悪くないわ」
「トラウマになるから、駄目だよ?」
それくらいで丁度良いわ。
誘わないのは気に入らないけど、誘っているなら苛烈でも反応してあげないと。勘違いしたら困るものね。
「それに、佐藤さんは良いお友達だから、私としても止めて欲しいな」
「どーゆう意味よ?」
「お互いの彼女を自慢する。惚気話に花を咲かせる。そんなお友達だよ」
互いの彼女を紹介し、惚気話に花を咲かせる。そんなお友達?
いや、それは友達なの? アタシが知っている友達とは、随分違うような気がするけれど。
「えーと、それは……」
「佐藤さんは私達の仲を知っているの。初めは驚いていたけど、おめでとうって言ってくれたよ?」
「そうなの?」
アタシとすずかの関係。女の子同士の恋人。
世間的に認められることはなく、それなりに辛い思いもしてきた。
だからこそ、アタシ達を認めてくれる大らかな人に、敵意を向けたくはない。
「そうだよ。今度ダブルデートしないかって誘われたぐらいなんだから」
「えーと、それはなんで?」
「んー、私がアリサちゃんの話ばかりするから、興味を持ったみたいだよ。それに、他の恋人達がどんなデートをしているのかも気になるんだって」
興味を持ってくれていること自体は嬉しいけど、バカップルとしての自覚がある今、正直他人に見せ付けるのはどうかと思う。
女の子同士のカップルだって言うのも、随分とネックには成るはずだし。ダブルデートは正直、勘弁して欲しいわね。
「まさか、その話受けてないでしょうね?」
「うん、断っちゃった。アリサちゃんに相談していなかったし、私は2人でいられる方が嬉しいから」
「そ、そうなんだ」
すずかが望むのなら、別に受けても良かったんだけど。すずかなりに、アタシの事を考えてくれた結果なのよね?
「あれ? もしかして、アリサちゃん」
「何よ」
「やきもち?」
うっ……。割と攻め過ぎた感じがあったけど、すずかの琴線に触れてしまったみたいね。
下手すれば、このまま1日くらいはいじめられてしまうわ。
「べ、別に良いでしょ。少しくらい妬いたって」
やきもちくらい。何よ別に問題はないでしょ?
「その、最近時間も取れてないし、寂しい思いさせてるって自覚はあるし。すずかは綺麗だから誰かに声かけられても仕方ないのかなって。けど、それを仕方ないで済ませられないアタシもいるわけで……あー、もうっ! 仕方ないでしょ、好きなんだから!」
「ありがとう、アリサちゃん。私も大好きだよ」
好きだから仕方がない。好きだから心配してしまう。
その思いを伝えても、お礼を言われたり、好意を伝えられてちゃ意味がないじゃない。
少しはこう、アタシにやきもちを妬かせた事を、反省して欲しい物だわ。
「お姫様からの熱烈アピールは嬉しいけれど、もうちょっと場所を考えないと大変なことになりそうだよ」
「……善処するわ」
そう、ここは商店街。いくら人の波が引いているとはいえ、何人かはこちらに注目している。
もう少し、声を小さくした方がよさそうね。
「大丈夫だよ。私はアリサちゃん一筋だから。アリサちゃんと一緒に歩くこと、それが私にとっての未来なんだから」
「違うわよ」
アタシはすずかのことが好きで、すずかはアタシのことが好き。
それはずっと変わっていないことだというのに、何で不安になってしまったのかしら?
まったく、アタシもまだまだね。
「アタシ達にとっての未来でしょ? そこんとこ、間違えないでよね?」
だから、時々で良いから、こんなふうに確認させて欲しい。
アタシ達の考えがズレていないことを。アタシ達の心が寄り添っていることを。
同じ未来を目指す為に、すずかの想いを教えて欲しい。

――さぁ、帰るわよ

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