【ドキプリ】過去のわたしへ【ありまこ】

・ｗ・）　本日２本目です
　　　　　ごめんなさい、さっきのは昨日UPしたかったんです
　　　　　出来なかっただけなんです

ありまこ　過去のわたしへ　UPです

なんかこう、いまいち甘くしてあげられないCPなんですよね
筆力不足が悔やまれます

　彼女の告白を受け入れたあの日、わたしは何を思っていたのでしょう？　何を描き、彼女の想いを受け入れたのでしょう？

　それは、幸せな未来でしょうか？　２人で、笑顔でいられる、素敵な未来でしょうか？

　彼女への想いがあるから、自身について悩むとは思わなかったでしょうか？　幸せな部分のみを見つめ、苦しみは見逃してしまったのでしょうか？

　それとも、この苦しみさえも幸せの一部だと、そう捉えていたのでしょうか？

　

過去のわたしへ

　

　朝からの会議が終わり、必要な書類は一通り目を通しました。四葉の家に生まれたものとして、この作業が辛いと感じたことはありません。真琴さんには心配されたり、多少の同情を受けているようですが、それは間違っています。

　わたしは四葉の家に生まれたことを、この財団の一員としていることを、後悔したことなんてないのですから。心配はいりませんわ。

　何より、そんなことを後悔しても、何も始まりません。後ろばかりを見つめていても、暗い気持ちで過去を悔いても、何も生み出せません。わたしが求めているのは、幸せであり、そのような無意味な時間ではありませんから。

　過去を見つめて沈むくらいなら、デートプランを考える方が、建設的だと思いませんか？　素敵なお店を探し、真琴さんに喜んで頂ける茶葉を探し、そのように未来へと思いをはせていたいと願います。

　もっとも、それだけ、気持ちだけで全てを進められるほど、わたしも単純ではなかったようで、最近は真琴さんとの関係に影を落としてしまっています。わたしの為に、時間を確保して下さっていますのに、申し訳ありません。折角、一緒にいられる時間だというのに、心配をおかけしてしまい、申し訳ありません。

　ただ、この問題だけは、わたし達の関係を続けていく上で、避けられないこの問題だけは、なかったことには出来ないのです。

　真琴さんの隣で、笑っている為に、心からの笑顔をお見せする為に、わたしはこの問題を解決しなければいけません。真琴さんの負担とならない内に、解決しなければいけません。

　わたし自身の魅力を見つけ、恋人であることに自信を持たなければいけません。

　わたしが四葉のものであり、その一部とはいえ、大きな影響力を持っていることは承知しています。マナちゃん達を驚かせてしまうような、セバスチャンに仕えられているのが当然となっているような、そのような力を持ってしまっているのは理解しています。

　悪用するつもりはありません。そのようなこと、財団が許しませんから。

　乱用するつもりもありません。そのようなこと、財団が認めませんから。

　何より、認められたとしても、わたし自身が望みたくありませんから。そのような悪いこと、わたしの考えに反しますから。今のままでいられるのであれば、これ以上の力など重荷にしかなりません。

　しかし、その力を使わないのであれば、わたしには何が残るのでしょうか？　四葉ありすではなく、ただのありすとなってしまった時、わたしの手には真琴さんを幸せに出来るだけのものが、残っているのでしょうか？

　何度も繰り返してきた疑問です。未だ、答えを見つけられない疑問です。

　分かり切っていた問題です。いつか、悩むことになると理解していた問題です。

　それなのに、過去のわたしは真琴さんの告白を受け入れました。この問題が待っているのを、分かっていたはずなのに。雰囲気だけに流されたわけでもないのに、受け入れたんです。

　何故でしょうか？　未だに解決策を見つけられていないのに、何故受け入れたのでしょうか？

　真琴さんを幸せにしてこそ、恋人だというのに。恋人でいるには、わたし自身が真琴さんを幸せに出来なければ、資格がないというのに。今のわたしには見えていない何か、かすかに心にひかかるソレを、あの時のわたしは知っていたのでしょうか？

　何故、受け入れたのでしょう？　それとも、わたしが告白を促したのでしょうか？

　いえ、そのような覚えはありません。マナちゃん達の関係を見て、羨ましいと感じたことはありますが、あのようになれるとは思いませんでしたから。羨んでも、手に入らないと分かっていましたから。望んではいないはずです。

　なら、どうして？　真琴さんと恋人関係になることを、望んでしまったのでしょうか？

　わたしには、彼女を幸せにする為の術が、何もないというのに。彼女の傍にいることしか、ただそれだけしか出来ないわたしに、何が出来るというのでしょうか？

　確かに、真琴さんは傍にいられればいいと、わたしがいればそれで良いと、そのように仰って下さいます。

　しかし、それだけで満足出来るはずはありません。慣れてしまった幸せでは、いつまでも満足することは出来ません。

　わたしが望んでいるように、もっと先の関係を求める時がくるはずです。もっと深い関係をと、望まれる時が来ます。

　その時、この身しか差し出すもののない、それだけしか出来ない私は、恋人だといえるのでしょうか？　真琴さんを支えることも満足に出来ない、そんなわたしが彼女の傍にいられるのでしょうか？

　どれだけ考えても、どんなに考案しても、わたしにはこれしかありません。これで、満足して頂けるのでしょうか？

「ふぅ、もう限界なのかもしれませんね」

　どれだけ考えても、答えが出てこないということは、今の足りないこの答えこそ、わたしの取りうる手段ということなのでしょう。

　それなら、後は真琴さんに判断にゆだねるしかありませんね。あきれられたのなら、それまでということです。

　恋人でいることが、こんなにも難しいなんて。全然、知りませんでしたわ。

　

――真琴さん、ごめんなさい