【ドキプリ】まことアタック【ありまこ】

・ｗ・）　脳内で、まこぴーへの変換が進みつつあります
　　　　まだ６０％程度ではありますが、これでもう少し甘い話をかけるかもしれません
　　　　映像とは呼べず、MMDレベルなのが残念ですが


とりま、まこぴーがイケメンになりつつある話をUPです

　わたしは、答えを得られぬままに、日々を過ごすことになりました。考えても浮かんでくるのは、自らの良くないところばかり、真琴さんの光り輝くところばかり。

　落ち込んだりもしました。元気のない様子を見せ、心配をかけてしまいました。

　定期的に開いていたはずの、２人でのお茶会。それも随分と久しぶりとなった気がします。

　ただ、もう逃げないと決めたのです。目をそらさないと、わたしだけでも勝負に出ると、そう決めましたから。

　

まことアタック

　

　逃げることを止め、自らの弱さを受け入れることにしました。その上で出来る、本当に小さなことだけが、わたしの力なのでしょう。小さくて、弱くて、情けない力。

　彼女が与えてくれる、幸せには遠く及びません。釣り合いなんて取れるはずもありません。

　ただ、これ以上待たせることも出来ず、未完成のまま彼女とのお茶会を迎えてしまいました。

　もちろん、真琴さんとお会いできることは、それだけで嬉しいことです。わたしの心を満たしてくれる、わたしの日常を彩ってくれる、そんな大切な時間です。だからこそ、自身の小ささは際立ち、嫌になってしまいます。彼女と一緒にいられる喜びの裏に、後ろめたいことをしているような居心地の悪さを感じてしまっています。

　なんと、失礼なのでしょう。彼女も楽しみにしてくれている、この時間に居心地の悪さを感じているなんて。笑顔で塗り固めた、その裏で怯えているだなんて、本心をお話しすることが出来ないなんて。とても、フェアとは呼べませんわ。

　ただ、そうしなければ向かい合うことは叶わず、この怯えは消せ差ないものであると、わたし自身が１番分かっているから。分かってしまっているから、どうしようも出来ないのです。

「ありす、元気ないね」

「そうでしょうか？　わたしは、いつも通りですよ？」

　指摘されても、認めるわけにはいかないのです。自らが弱っていることを、認めるわけにはいかないのです。

　今日は、真琴さんへ報告をする日ですから。いつもの報告に加え、わたし達の関係を改めることになるかもしれない、わたしの弱さを報告する日なのですから。

　自らの弱点を晒すと、そう決めたはずなのに。関係が変わるかもしれないことに、ナイーブになっているのかもしれませんね。

「ありすが言うなら信じるけど、辛くなったら教えてね」

「あら、わたし信用されてませんわね」

　焼き付けばの化粧では、彼女の目を誤魔化すことは出来ません。目の下に出来てしまっている、大きなクマは隠せていないのでしょう。それも理解しています。

　ただ、何があってもこの場から退く訳にはいかないのです。彼女と恋人でいられる、最後かもしれないこの席から、退く訳にはいかないのです。

　わたしの口から、ちゃんと報告をするまでは、頂いた時間で考えた、その結論を伝えるまでは、わたしはここでねばります。

「真琴さん、以前お話した痛みのことを、覚えていらっしゃいますか？」

　抽象的であり、本題を隠したままの疑問。わたしの本心を見せない為の、卑怯な質問。

　それを、彼女は覚えてくれているでしょうか？

「もちろん、覚えているよ。あたし達２人が一緒にいることで、恋人になったことで抱えてしまう痛みや、恐怖のことでしょ？　あたし達の未来を思って、ありすが考えてくれたことだよね？」

「未来のことを考えてだなんて、そんな立派なものではありませんわ。あれはただ、まだお話しすることの出来なかった、本当の問題を覆っていたものに過ぎませんから」

　将来のことを考え、まだ見ぬ先のことを考え、そして問題を抱えてしまった。その一部を抽象的に、分かりにくい形として質問しただけです。

　わたしが出来ることを考え、恋人でいられるのかどうか。そう悩んだだけの話に過ぎません。

「真琴さん、わたしが今までみなさんをフォローしていられたのは、ひとえに四葉の力があったからに他なりません。真琴さんの役に立つ情報を手に入れられているのも、ただ四葉の力に頼っただけの結果です」

　わたしは、四葉財団の中でも、いくつかの役割をこなせている。それ故に、手にしている権限があり、それが役に立っているだけです。それを、手足のように扱っていたとしても、結局は誰かに頼っているだけなのです。

　わたし自身が見つけたものなど、殆どないのです。

「わたしは、生まれた時から四葉の者であり、今後どのような形になったとしても、わたしに付きまとうものでしょう」

　四葉の家に生まれ、四葉の者として育つ。そこに疑問を抱いたことも、何か特別な感情を抱いたこともない。ただ、当然のこととして受け入れ、当たり前のこととしてこなしてきました。

　だからこそ、四葉の力の大きさを知り、四葉の者としての義務を負っています。これは、わたしが死ぬか、財団が解体されるまで消えることはないでしょう。

「しかし、その四葉と呼ばれる財団の力なしでは、わたしに出来ることは殆どありません」

　四葉ありすという、個人の力は小さなものです。わたし個人としては、何も持っていません。

「わたしには真琴さんの恋人であり、真琴さんに選んで頂いた者だという、わずかな誇りしか残りません」

　わたしが持てるのは、その気持ちだけです。真琴さんとの思い出ですら、その傍には財団の力が見え隠れしているのですから。

　もし、その力が敵意を持ってわたしに向けられたら、有無を言わさず真琴さんを巻き込んでしまう形となるでしょう。

「真琴さんは、わたしに多くの幸せを送って下さいます。受け止めきれないほどの、大きな幸せをプレゼントしてくれます」

　それなのに、そんな危険性をはらんでいるわたしに、真琴さんは沢山のものをくれました。抱えきれなくなってしまいそうなほどの、大きな気持ちを頂きました。

「ただ、わたしはそれに応えることが出来ません。わたしだけの持つ小さな力では、真琴さんと釣り合うことがありません」

　恋人は対等であるべきだと、その用に考えているにもかかわらず、わたしには達成できそうもありません。一方的に、受け取るだけになってしまいます。

「ごめんなさい、こんなにも幸せにして頂いているのに。わたしが捧げられるものは、この身と心しかありません。このように、紅茶を淹れて差し上げるのが、精一杯ということになってしまいます」

　真琴さんが喜んでくれるのは、真琴さんの笑顔を見られるのは、このお茶会の時間だけとなるのかもしれません。

　わたしが唯一して差し上げられるのは、お茶を淹れるだけになってしまうかもしれません。

「それでも、わたしを恋人と呼んで頂けるでしょうか？　わたしは、真琴さんの恋人でいられるのでしょうか？」

　わたしは何も出来ないに等しい、弱い存在です。お荷物でしかありません。

「ワガママだとは分かっています。対等でないことも理解しています。ただ、それでも、わたしは真琴さんの恋人でいたいと、将来に期待してご一考頂けないかと、そのように思います」

　今は何も出来なくても、いつかは必ず、真琴さんの為に何かが出来るようになります。諦めずに努力を重ねます。無力な自分から、目をそらしません。

「いずれは真琴さんにふさわしい、そんな恋人になりますから。このまま恋人でいて下さいませんか？」

　わたしは、幸せを手放したくありません。真琴さんの恋人でいたいのです。

　

　

　　　　　◇

　

　

　お互いの呼吸音のみが全て。そんな静寂な空間を破ったのは、真琴さんの困ったような声でした。

「えーと、ごめんね。ありすが一生懸命考えてくれて、夜も悩んでくれたのは知っているんだけど」

　真琴さんは、わたしの話をそのまま受け止めてくれたのでしょう。口をはさむこともなく、意識を他にやることもなく。

　わたしの情けない話を、ずっと聞いて下さいました。

「どうして、そんなことに悩むの？　どうして、別れるような話になってるの？」

「わたしは、真琴さんにふさわしい恋人ではありません。それだけの魅力を、今持ち合わせていませんわ」

　わたしはわたしの想いを、ワガママを全てぶつけました。ここからは、真琴さんの疑問を解消し、審判を待つ時間となるでしょう。

　自分の情けなさは理解しているつもりです。どのような答えになったとしても、逃げたりはしません。

　だって、それが事実なのですから。

「どうして、そんなふうに思うの？　あたしには、それが分からないよ」

「真琴さんは、わたしに幸せを送って下さいます。わたしを笑顔にして下さいます。離れていても寂しくないように、声を届けて下さいます」

　わたしは恋人なのだという実感だけではありません。隣にいられない時でも、真琴さんは幸せを届けてくれるのです。

　わたしの一時の寂しさすら、幸せで包んで下さいます。

「けど、わたしにはそれが出来ません。真琴さんから幸せを頂いているだけです」

「歌も気持ちも、受け取ってくれる人がいないなら、意味がないわ。ありすは、ちゃんと受け止めてくれてるでしょ？　あたしが気付かないような、小さなことも受け止めてくれているでしょ？」

　毎日、少しでも多く真琴さんと触れ合っていたい。そう願ってしまっている、わたしの心には全てが伝わってきます。

　小さな変化も、大きな変化も、好きな人のことだから見逃せません。ただ、それだけのことです。

「ただの自惚れかも知れないけど、ありすはあたしの恋人だから。気付いてくれてるのは、知ってるよ。あたしのこと、ずっと見ててくれてるでしょ？」

「その、ご迷惑だったでしょうか？　真琴さんのことを少しでも多く知りたいと、そう思ったので」

　真琴さん自身ですら気付かないような、小さなことも見逃さないようにと、ずっと目を見張っていました。口調、表情、ちょっとした癖のようなもの。その全てから、真琴さんを感じ取ろうと、必死になった時期もあります。

「そんなわけないでしょ？　恋人として、ありすにはもっと知って欲しいし、あたしもありすのことが知りたい」

「許して頂けるのですか？」

「あたしには、ありすが必要。ありすにも、あたしが必要なんでしょ？　なら、当然のことをしているだけじゃない。それに、あたしが幸せになる為にも、ありすの笑顔を見る為にも、すぐ傍にいて欲しいってワガママを言っているだけよ？」

　真琴さんのワガママですか？　えーと、わたしも一緒にいたいのに、真琴さんのワガママになるのですか？

　ちょっとだけ、納得出来ません。

「あたしは、ちょっとくらいワガママでも良いと思うの。迷惑をかけても、それが幸せの為なら、それで良いと思うの」

　確かに、わたしは幸せになる為にしていたことですが。よろしいのでしょうか？

　わたしのワガママを、認めて下さるのですか？

「ありすの幸せに、あたしは必要？　あたしといることで、ありすは幸せになれる？」

「もちろん、幸せになれますわ。ただ、求めてばかりで、心苦しいものがあります。わたしも真琴さんを幸せにしたいと、そう願っていますのに」

「どうして？　あたしがありすを求めているから、一緒にいるんだよ？　どうして、ありすだけが求めているような、そんな話になるの？」

　わたしのワガママが、いつの間にか真琴さんのワガママになっていませんか？

　真琴さんは、それでよろしいのでしょうか？　わたしのワガママではないと、そう言い切ってしまわれるのですか？

「あたしだって、ありすにあげられるものが少ないのは一緒だよ？　あたしがアイドルになったのは、王女様を探す為。その歌を聴いて、アリスが幸せになってくれるのは嬉しいけど。あの歌は、ありすの為だけに歌えていないから、あたしとしては複雑なの」

　真琴さんの歌、まこぴーの歌は、わたしを幸せにしてくれます。寂しい時に温めてくれ、辛い時にも励ましてくれます。

　わたしの為に歌われていない、歌です。王女様を探す手段としての、歌かもしれません。

　それでも、わたしは幸せになれます。真琴さんの声で愛をささやいて頂けるのであれば、幸せになってしまいます。それは、仕方のないことです。

　真琴さん自身は複雑でも、わたしにとっては大切な頂きものです。

「それに、ありすの身も心も、あたしのものなんでしょう？　なら、それ以上のものなんて求めないよ」

「どうしてですか？　わたしには、この２つしかないのですよ？」

　わたしの身と心だけでは、真琴さんの助けになれません。情報を集めることだって、難しいでしょう。プリキュアとして戦えても、王女様を見つけられないかもしれません。

「ありすを独り占めしてるのに、これ以上求められるものは、何もないよ。あたしの両手は、それ以上のものを抱えられないよ」

　わたしを独り占めですか？　間違ってはいないかもしれませんが、それは真琴さんを独り占めしているということにもなります。

　そのようなこと、嬉しいですが、ワガママが過ぎます。

「あたしが欲しいのは、ありすだから。ありすがくれる幸せは、ありす自身が持っているものだよ。四葉だからとか、プリキュアだからとか、きっかけは関係ない」

　きっかけは、関係ないですか。わたしが四葉の者であることも、プリキュアであることも、真琴さんにとってはわたしの一部に過ぎないということですね。

　ふふ、随分と大胆な告白をして頂きましたね。

「それに、ありすがイヤがっても、あたしが離さないよ。勇気を出して告白したから、ありすを離したりしないよ。ありすは、あたしだけの恋人なの。他の誰にもあげない」

「本当に、わたしでよろしいのですか？　わたしは、何もして差し上げられませんよ？」

　真琴さんに求めて頂けるのは、わたしでなければイヤだと、そう言って頂けるのは嬉しいです。

　しかし、本当にそれでよろしいのでしょうか？　後悔、しませんか？

「ありすが良いんじゃないよ。ありすでなきゃ、イヤなの。何度も言わせないで」

　これは、疑問を挟む余地もなさそうですね。真琴さんは、いつも真っ直ぐで、眩しいです。

「それに、悲しいことも言わないで。聞いてるこっちも辛いよ」

「申し訳ありません。真琴さんを悲しませるつもりはなかったのですが、どうしても自分に自信が持てなくて」

　自分自身のことだけを責めれば、恋人である真琴さんを責めることにもつながってしまう。

　そのような単純なこと、どうして気付けなかったのでしょうか？　最もやってはならない、行為だというのに。

「ねぇ、ありす。２人でいるんだから、どうせなら幸せになることを探そう？　傷を増やしても、良いことなんてないよ」

　そうです。わたしは幸せを求めていたはずでした。真琴さんと２人で笑っていられる、そんな未来を探していたはずです。

「あたしが信じられないなら、誰にでも笑顔を振りまく女に見えるなら、直すよ。ありすだけに、本当の笑顔を見せてあげる」

「ふふ、そこまでは欲張れませんわ。まこぴーとしての真琴さんも、わたし、好きですから」

「むー、ありすには真琴としての、あたしを見て欲しいけどなぁ」

　素直な真琴さんも、可愛らしくて素敵です。

　けど、本当のことですから、許して下さいな。

「まぁ、良いわ。どちらもあたしであることに変わりはないし、まこぴー以上に真琴を愛してもらえるよう、あたしが努力すればいいだけの話よね」

「これ以上努力されたら、わたしの心が持ちませんわ。既に、真琴さんからの愛で溢れてますのに」

　溢れてしまっている愛。こぼしてしまっている愛。それをこれ以上にするわけにはいきません。何か、早急に手を打つ必要がありますわ。

「大丈夫よ。ありすなら全部受け止めてくれるって、あたし信じてるから。もっと、あたしの気持ちを受け止めてもらうわよ？」

「あらあら、強気な真琴さんも素敵ですわ」

　真琴さんの気持ち、その全てを受け止められるでしょうか？　彼女の愛情を逃すことなく、手にすることが出来るでしょうか？

　やはり、未来に向かっての努力は、日々行うべきなのでしょう。のんびりしていられませんわ。

「だって、今回ありすが悩んじゃったのも、結局はあたしのせいでしょ？　あたしがちゃんと、愛を届けられていなかったから、ありすは悩んでたんでしょ？」

「えーと、わたしはただ自信をなくしてしまっていただけなので、真琴さんのせいではありませんよ？」

　今回の騒動は、わたしが勝手に終わらせようとして頂け。自らの未熟さに抗えず、心を折ってしまっただけです。

　真琴さんには、何も過失はありませんよ？

「それでは、あたしが納得出来ないわ。恋人を不安にさせてしまうなんて、あたしが自分を許せないの」

「それでしたら、どうされますの？　わたしはもう、大丈夫ですよ？」

「ありすが大丈夫でも、あたしが大丈夫じゃないの。まだ、自分を許せないわ」

　真琴さん、自分に厳し過ぎます。ちょっと心配になるくらい、厳しいですわ。

「だから、その、ちゃんと証拠を残したいの。ありすが不安にならないように、あたしが自分を許せるように」

　証拠、ですか？　まだ、何かを頂くことになるのでしょうか？

「あたしがありすのもので、ありすはあたしの恋人だって言う、そんな証拠を残したいの」

　恋人である証拠。わたし達が恋人であると、２人が納得できる証拠。

　それは、幸せになれる名案ですわ。

「うふふ……真琴さんが望まれるのであれば、わたしはいつでも受け入れる準備は出来ていますわ」

「ありす、初めてなんでしょ？　あたしで良いの？」

　そういったことを聞くのは、マナー違反だと思いますが。これも、真琴さんが素直だからでしょう。

　うふふ、さっきまで凛々しかったはずですのに、今度は随分と弱気ですのね。

「あら、真琴さんは経験がおありですか？」

「あるわけないでしょ？　こんな気持ちになったの、ありすが初めてなんだから。こういうことするのも、初めてに決まってるでしょ？」

「まぁ。それは、素晴らしいですわ。お互いの初めてを交換するのですね」

　真琴さんの初めての相手を、わたしが務めさせて頂ける。真琴さんの初めてを、わたしが頂いてしまう。

　なんとも言えぬ、禁断の響きにクラクラしそうです。

「そんなふうに言われると恥ずかしいけど、そういうことよ」

　赤くなって、恥ずかしがっている表情。正直なことを言ってしまって良いのであれば、様々な手順を飛ばし、押し倒したいですわ。

「で、良いの？　それとも、イヤなの？」

「嫌がる理由はありませんは。わたしを、真琴さんで満たして下さいませ」

　ただ、ここは待ちの一手です。折角勇気を出して下さったのですから、ここで踏み出す必要はありません。

　彼女から頂ける、極上の幸せを心待ちにしましょう。

「前から思ってたけど、ありすの言葉遣いって反則よね。なんだか、奪ってしまいたくなるよ欲求に駆られるわ」

「どうぞ。真琴さんでしたら、大歓迎ですわ。いつでも鍵を外して、お待ちしております」

　この身と心は、真琴さんのものだと、これしか差し上げられないと告げたはずです。それを受け取って下さるのであれば、何も悩むことはありません。

「そ、そこまではやならないわよ。あたしには、まだ早いわ」

「そうですか？　そこに愛があるのであれば、一緒に育むのも、幸せな時間になるはずですよ？」

　キスは、まだ早いのでしょうか？　それとも、さらに先のことを想像されたのでしょうか？

　ここで分かったつもりになるのは、危険かもしれませんわね。

「とにかく、今はダメ。そんなことしたら、あたしが壊れちゃう」

「真琴さんが壊れてしまうほどの愛、それもまた一興ですわね。今から楽しみですわ」

「……ありす、すっかり元通りだね」

　いつまでも、心配されているわたしではありません。真琴さんの恋人らしく、胸を張って立ちますわ。

「だって、まことさんが教えて下さいましたから。わたし、もう不安を抱えたりはしませんわ。自分の出来ることで、自分のやり方で、真琴さんを愛していくと、ここに決めましたの。そして、真琴さんの愛も全て受け止めてみせますわ」

　真琴さんに教わったこと、幸せの為に教えて頂いたこと。その１つだって、無駄にしたくありません。わたしの心に刻み、幸せへと昇華させてみせます。

「そう、なら遠慮はいらないのね」

　ゆっくりと近づいてくる顔。良く見れば既に真っ赤で、倒れてしまわないかと心配になりそうです。

　わたしの好きな人。わたしを愛してくれる人。世界を渡り、出会った恋人。

　絶対に、離しません。必ず、幸せになりましょう

 

――あなたは全力で愛する為に、わたしは変わります