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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


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yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
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当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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タイトル考えるの難しいです
ついでに、格好いいまこぴーは、もっと難しいです

私に扱える代物ではなかったようですね。困ったものです。



 のんびりと流れる風がほほをなで、春の陽気を教えてくれる。なんでもない場所で、なんでもないように、あたし達のデートは繰り返されていた。
 マナの家である、ぶたのしっぽでのお食事会。六花の部屋にお邪魔しての、パジャマパーティ。四葉邸で開かれる、お茶会。
 そして、この公園でのデート。
 ほんと、特別と呼べる場所には行かず、普段の行動範囲の中で、あたし達はデートを繰り返している。新しさは何もない、そこにあるのはいつも通りの風景だけで、珍しいものだってない。時にはアイちゃんを連れてデートすることもあるし、完全に日常の中に溶け込んでいる。
 デートとは特別なものだと思っていたけれど、ありすが嬉しそうにしてくれるから、ありすが笑っていてくれるから、こういうのもアリなんだなって、気付かせてくれた。
 特別なことを求める必要はない。非日常に飛び込んで、楽しさを探す必要もない。あたし達は、手の届く範囲でのデートを繰り返す。小さな変化をつけながら、あたし達は今日を過ごしていく。幸せが日常に溶けるように、あたしの心へもゆっくりと溶けていく。
 急がなくて良い、焦らなくても良い。あたし達は、今を幸せだと感じている。忘れそうなほどにゆったりとして、欲張りになりたい時もあるけれど、この雰囲気を手放すのは惜しい。
 
 
白い雲と共に
 
 
 今日も今日とて、近場の公園でのデート。飽きることもなく、あたし達は顔を突き合わせて笑っている。
 もっとも、ありすに会えること自体に、喜びを感じているのはあたしだから。飽きるなんて、そんなのありえないけどね。
 ただ、こう毎日顔を合わせていると、小さな変化にも気付くようになってくる。ありすが隠そうとしてくれていることも、気付いてしまう。彼女の何気ない言葉から、色々なことを思い出すようになってしまった。
 それが良いことなのか、それとも悪いことなのか、あたしには判断出来ない。感じるものはどうしようもないし、無視出来るほど、恋愛に慣れているわけでもない。心にひかかる小さなトゲとして、残り続けていく。
 今だってそうだ。楽しいはずの会話の中に、以前のありすとの違いを見つけてしまった。彼女のことを、より多く知るようになったから、気付いて思い出してしまった。
「ねぇ、ありすは今のままで良いの? ありすは、こんなふうにのんびりと過ごすだけで良いの?」
 あたし達は付き合い出した頃から、お互いの意見が似ていることに喜びを感じていた。お互いに心を奪われていることが、嬉しかった。
 けど、お互いに求めていることは、恋人に求めていることは、意外なほどに離れたところにあり、少し戸惑ったのを覚えている。
「どうか、されましたか?」
 あたしは、忙しい生活からの、自らを追い詰めるような生活から逃げたいと、ありすに安らぎを求めた。あたしを助けてくれる、その強さに惹かれていたことは、弁明しようがない。
 そんなあたしに比べて、ありすが求めたものはずっと女の子らしいもの。恋愛という未知の体験に、普段味わえない刺激を求めていた。あたしといることで、新しい世界が見えることを、求めていたはず。
「ありす、前に言ってたよね。一緒にいられるだけでは、物足りないって。もう少し、刺激が欲しいって」
「あら、覚えていてくださったんですの?」
 一緒にいられるだけでは、少し物足りなさを感じてしまう。そんなふうに、彼女は寂しそうな顔をしていた。あの頃のあたしは、どうたら良いのか分からず、謝ることしか出来なかった。ありすが求めている言葉もかけられず、彼女の言葉の意味を考えることも出来ず、ほんと情けない姿をさらしただけ。
「好きな人の言ったことだよ? 忘れられないよ」
 ただ、そんな結果しか得られなかったからこそ、覚えていたとも言える。自分の力が及ばなかったことに、後悔したから。ありすの求めに、応じられなかったから。あの時の光景を、鮮明に覚えているのかもしれない。
 嬉しかった思い出、楽しかった思い出、それと同じくらい悔しかった思いでも大切。後悔したから、失敗したから、悲しい思いをさせてしまった。そのことを覚えているのは苦しいし、忘れてしまえば良いと思ったこともある。
 ただ、そう出来なかったのは、ありすが好きだから。次こそは笑わせてみせると、幸せになってもらうんだって、心に誓ったから。
「あたしはこうやって、ありすと2人なら良いかなって思ってた。場所がどことか、何をしたかとか、それよりも2人で長くいられる方が、嬉しいって思ってた」
 あたしの幸せが、ありすの幸せに繋がるだなんて、そんなのただの傲慢。あたしの幸せは、あたし達の幸せにも、ありすの幸せにも繋がらない。あたしの笑顔で、ありるは幸せになれるというけど、そんなのつまらないから。ありすを幸せにしたって、未来のあたしに胸を張れないから。間接的な幸せじゃなくて、直接的な幸せを届けるよ。
 ありすの望む形で、幸せにしてみせるよ。
「だから今の状況にも、満足している。忙しくても、ありすと一緒の時間があるから、あたしは頑張れる」
 あたしは幸せだ。ありすと一緒にいられて、幸せなんだよ。
 だから、今度はありすの番。あたしが、ありすを幸せにする番だよ。
「けど、ありすはどうなの? 一緒にいるだけで物足りない、ありすは満足しているの?」
「どうなのでしょうか? わたしには、はっきりとしたことは分かりません」
 ありすに伝えたいことが沢山ある。ありすに伝えたい言葉が沢山ある。ありすに知って欲しい、熱い想いが沢山ある。
 ありすに聞いてみたいことが沢山ある。ありすの口から聞きたい言葉が沢山ある。ありすに教えて欲しいことも、沢山あるんだ。
「自分のことなのに、分からないの?」
「そうですね。自分のことだから、分からないのかもしれません」
 あたしの前では、お嬢様を止めて欲しい。四葉家のありすではなく、あたしの恋人として自由に求めて欲しい。
 大丈夫、そんなことで嫌いになれないくらい、ありすが好きだから。どんなありすを見ても、好きになってしまう自信があるよ。
 だから、あたしに教えて。ありすがどうしたいのか、あたしに教えて。
「以前のわたしは、ただ漠然と、のんびり過ごしているだけでは物足りないと、そのような不満を持っていました。折角2人でいるのですから、もっと楽しいことを探しに行きたいと、思い出に残るようなものを探したいと、そのように思っていました」
 2人でいる時間を特別だと思っていたのは、あたしも同じ。2人の時間を大切だと思っていたのは、ありすも一緒。笑顔でいたいと願っていたのは、同じだったんだ。
「ただ、あの言葉は、わたしの本音を隠すものに過ぎません。わたしが本当に求めていたのは、恋人である証拠。わたしが、真琴さんの恋人である証拠が、何らかの形で欲しかったのです。わたしの夢や妄想でないことを証明して頂ける、わたしの不安を上書きして頂ける、そういったものを求めていただけなのです」
 恋人である証拠、あたし達が恋人である証拠。ありすが求めていたものが、どういった形のものかは分からない。物として欲しかったのか、思い出として欲しかったのか、今のあたしにも分からない。
 あたしが色々な人に囲まれているから、アイドルとしてみんなに笑顔を振りまいているから、ありすを不安にしてしまったのかも。スキャンダルになることを恐れ、人目を忍ぶように会っていたから、ありすの不安を大きくしてしまった。マナ達への報告すら任せてしまったから、ありすの期待に応えられなかった。
――全部、あたしが悪い。ごめんなさい。自分のことながら、恋人としてどうかと思うわ。
「恋人になったら、こんなことがしてみたい。恋人なら、こうしなければいけない。その思いを、ずっと引きずっていただけです」
 ありすのように強ければ、我慢をさせなくてもすんだのかもしれない。あたしの心が強ければ、ありすは素直になれたのかもしれない。彼女が素直になることを誰よりも望んでいるはずなのに、ありすが甘えてくれることを望んでいるはずなのに、あたしは望むだけで終わってしまった。ありすが素直になれる、そんなキッカケを作ることさえ出来ていなかったのだろう。
 だから、悲しませた。恋人なのに、ありすを苦しめてしまった。
「けど、もう大丈夫ですわ。わたしは、真琴さんに教えて頂きましたから。もう不安になることも、ありませんわ」
「あたし、ありすにそんなこと、伝えた覚えないよ?」
 どうすれば、幸せに出来るのだろう? あたしの手で、ありすを幸せに出来るのだろう?
 真剣に考えるのは今しかない。これ以上の失敗なんて、出来ないよ。
「なら、真琴さんは最初から分かっていただけかもしれません。幸せというのは、日常にしかないと。幸せは特別なものではないと、わたし以上に理解されていたのでしょう」
 ありすが分かってくれるのを、待っていてはいけない。ありすが合わせてくれるのを、待っていてはいけない。
 あたしが飛び込むんだ。ありすの望む幸せになるように、あたしが動けば良いんだ。
 今までみたいに悩んだりしない。ありすの幸せの為に、持てるもの全てを使えば良い。
「何より、真琴さんにこうして望んで頂けるのです、恋人としてこれ以上に嬉しいことはないと、そのことに気付けただけですわ」
 あたしが求めて、ありすが幸せになれる。それは、ありすが求めて、あたしが応えれば同じことだよね? ありすが幸せになれるって、そういうことだよね?
 受身でいるのは止めよう。幸せを掴み取っていこう。その為に、2人一緒にいるはずなんだから。後悔しても良いから、前に進むんだ。
「これからわたしの求めていく幸せは、日常の中にあるものです。こうして、真琴さんの過ごせる日々の中で、1つ1つ見つけていくことにしますわ。小さな変化を楽しめるよう、わたし自身が変わればいいのです」
 ありすが変わろうとしている。それなら、あたしのやるべきことは1つだけ。ありすの為に出来ることは、たった1つだけ。
「あたしじゃ、ありすを幸せにしてあげられないのかな? あたしは、ありすの望む幸せを送ってあげられないのかな?」
 彼女が望む形になるように、彼女が望んだ形が幸せであるように。本当の意味で、彼女を幸せにする。
 自己満足ではない。あたしの幸せを伝えることでもない。
「それは、違いますわ。私はもう、十分に幸せなのですから。真琴さんが悲しむことではありませんわ」
 ありすの言葉を、そのまま受け取ることは出来ない。お嬢様のままの言葉を、素直に受け取るわけにはいかない。
「なにより、わたしばかり幸せにして頂くわけにはいきませんもの。わたしは、真琴さんを幸せにすると、そう誓ったのですから」
「むー、あたしだって、ありすを幸せにするって、幸せにしたいって思ってるのに。勝手に誓うなんて、ズルいよ」
 ありすが遠慮をするのは、あたしを気遣ってのこと。自分のことよりも、あたしの幸せを優先しようとするから、遠慮するんだ。
 だから、あたしはワガママを言おう。ありすが幸せになれる、そんなワガママを言おう。それが、恋人として、あたしにしか出来ないこと。
「あら、ごめんなさい。このようなことで、機嫌を損ねてしまうことになるとは思いませんでしたわ」
「ありす勝手に決めちゃうもん。独りで悩むんだもん、怒ったりもするよ」
 ありすが独りで悩まなくて良いように、ありすがあたしに頼れるように。ワガママとして伝えていこう。追いつけるまで、そっとフォローしていこう。
「うふふ、そんな真琴さんも可愛らしくて好きですわ」
「そんな言葉で誤魔化されないよ? あたし、怒ってるんだから」
 ありすの恋人は、あたしなんだから。独りになんかしない、してあげない。寂しい時に、独りにしてあげない。泣きたい時に、独りにしてあげない。
 ずっとずっと傍にいる。ありすがどこにいても、どこへ行っても、必ず傍にいるよ。ありすのワガママにだって、ひるまないんだから。
「なら、埋め合わせを致しましょう。さぁ、真琴さん、わたしのひざの上へどうぞ」
「……抱っこ?」
 あたしの決意、すぐにでもくじけそうです。もうちょっと、ライトな感じなお願いだと嬉しいです。
 ありす、心が読めるんじゃないの? あたしが逃げ出すように、仕向けていたりしない?
「そちらも素敵ですが、ここでは膝枕で許して下さいな。公園は公共の場ですから。誰に見られるか、分かりませんわ」
「膝枕もダメな気がするんだけど?」
 ありすのワガママを叶えるのは大切だけど、騒がれることはしたくない。急にやり方を変えてしまって、加減を見誤っていては意味がない。それは、ありすも同じはずでしょ?
 誰かの目があるところでは、友達から逸脱した行為はしないって、2人きりになるまで我慢するんでしょ?
「大丈夫ですわ。わたし、眠たくなった真琴さんのフォローをしているだけですから。これくらい、友達同士でも普通ですわ」
 そうなの? それなら、平気なのかな? 友達同士でやることなら、騒がれないし平気だよね。写真を撮られたとしても、問題ないよね。
 けど、友達同士なら普通って。それは、誰かにしたことはあるってこと?
「マナや六花にもしたの? 友達なら、普通なんだよね?」
「ありませんよ? わたし達は3人グループですから、難しいです」
 なんだか、誤魔化されたような気がするけど。ありすが言うなら、何か難しいことがあるのかもしれない。
 友達がいなかったあたしには分からないし、ここは大人しく納得しておこう。
「どうぞ、真琴さん。何も気にせず、横になって下さいな。こうやって誘うのも、恥ずかしいですから。早くして頂けると、助かりますわ」
「ありすがそこまで言うなら……し、失礼します」
 ありすにだけ、恥ずかしい思いをさせるわけにはいかない。これくらい、出来なくて恋人だって名乗れるはずない。
 ここは覚悟を決めよう。
 
――幸せな悩みが沢山出来ちゃった
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