【ドキプリ】時にはお嬢様として【ありまこ】

・ｗ・）　夏の新刊、ありまこで出せたらいいな

そんな感じで、ありまこ　をUPです。もう、お嬢様が可愛くて、止まりません。
幸せになって欲しい。笑顔でいて欲しい。真琴さん、お願いしますっ！

　わたしのこの手は届かない。わたしだけの力では、この思いを届けることさえ出来ない。

　彼女の言葉は届いているというのに、わたしの心へと、彼女の思いは届いているというのに。どうしてなのでしょうか？

　世界的に見ても、わたし程ワガママの叶う、恵まれた環境にいる者は少ないでしょう。自らの欲望を叶えようとして、障害を排除出来るだけの力を持っている、そんな一般の外にいる者は少ないのです。

　しかし、それはわたしの力ではありません。四葉の力であり、財団の力でしかありません。

　わたしが、自身の力のみで、この身体のみで、何を成せると言うのでしょうか？　それとも、何も成すことは出来ないのでしょうか？

　

時にはお嬢様として

　

　真琴さんと恋人としての時間を過ごし、仕事へと送り出した後、わたしは１人で考える時間を得ました。

　無力である自分を見つめ、何が出来るかを見出す時間として、今を最大限に使わなければいせません。自宅へ帰るまでの、この道中で、わたしは自身を納得させるだけの、理由を見つけなければいけません。

　元々、この恋は叶わないものとして、いつかは忘れるべきものとして、心に留めておくつもりでした。誰かへ告げることもなく、告白することもなく、いつか治まってくれるのをのんびりと、待つつもりでいました。

　四葉ありすとしてなら、四葉の令嬢としてであれば、わたしには利用価値があったかもしれません。真琴さんは傍にいることによって、恩恵を受け取ることが出来たのかもしれません。この街の至るところに影響力を持ち、メディアとしてもそれなりのものを運営していますから。

　しかし、わたし個人としては、何か価値があるのでしょうか？　友人ではなく、恋人としての価値はあるのでしょうか？

　恋人でいたいと、そう思っていただけるだけのものが、わたし自身にあるのでしょうか？

「真琴さんは、わたしを選んで下さいました。だから、本来は考えるべきことではありません」

　彼女は、わたしを選んでくれた。何らかの理由があり、友人ではなく、恋人としての私を選んでくれたんです。

　それによって得られるものがあるのか、そういったことを考えるの自体が失礼に当たるでしょう。わたし自身が気付いていないだけで、真琴さんを惹き付けるものがあるはずなのですから、それを探すことだけに集中すべきです。

　しかし、本当にあるのでしょうか？　わたし個人としての魅力が、わたし個人として恋人でいられる理由が。

　真琴さんに尋ねたとして、お答えを頂くのは難しいでしょう。何よりも、これ以上情けない自分をさらすような、見捨ててくれというような行為は取れません。

　わたしが考えているのは、自身を責める為ではなく、真琴さんと別れる為でもありません。恋人としての魅力を見つける為に、真琴さんを愛する許可を自分に出す為に、自らを見つめ直すのです。

　しかし、そのようなものがあるのでしょうか？　わたし自身に、四葉とは関係のないところで、わたしに魅力などあるのでしょうか？

　わたしは優しいのでしょうか？　それは、独占欲の裏返しではないでしょうか？　嫉妬深いだけではないでしょうか？

　わたしといて、楽しいのでしょうか？　それは、わたしが与えている楽しさなのでしょうか？　相手が私である必要が、あるのでしょうか？

　真琴さんが一緒にいたいと、そう思っていただけるような魅力を、見つけられる自信がありません。真琴さんの恋人であることに、胸を晴れるだけのものが見付かる気がしません。

　それなのに、今の関係を続けていたいと、そう願うわたしがいることを、知ってしまっています。わたしは、自らのワガママで、真琴さんを振り回そうとしていると、そう理解しています。

　彼女の笑顔を、独占したいです。テレビで見れる、そんな笑顔ではありません。綺麗なだけの、可愛いだけの笑顔は、みなさんに向けても良いです。ただ、本当の笑顔は、顔を赤らめながら見せてくれる笑顔は、安心したように笑う時は、わたしの隣だけにして頂けませんか？

　彼女の心を、独占したいです。他の方のことを考えても、学校へと思いをはせても構いません。その奥に、１番深いところにわたしを置いて欲しいと、わたしへの想いを置いて欲しいと、そう願ってしまいます。

　自らの魅力を見つけることも出来ないのに、真琴さんへのワガママは溢れるほどに見付かります。傍にいて頂きたいと、何よりもわたしを優先して頂きたいと、その上でわたしが幸せにしたいと、相反するようなワガママすら見付かります。

　わたしは真琴さんを愛しているはずなのに、どうしてワガママばかりが見付かるのでしょうか？　彼女の幸せを願っているはずなのに、どうしてワガママばかり見付かるのでしょうか？

　分かりません。自身のことのはずなのに、制御することも、抑えることも出来ません。

　真琴さんへの気持ちと、ワガママでこの胸が破裂してしまいそうなのに、その中に自らの魅力を見つけることが出来ません。

　探しだして、早々に諦めるのは如何なものかと思いますが、見付からないのが事実です。今のわたしでは、真琴さんには不釣合いなのでしょう。彼女の隣にありたいと願うのは、今のわたしには過ぎた願いなのでしょう。

　それなら、どうすれば良いのか、どうあるべきなのか、そちらを検討しなければいけません。今のわたしで役不足なのであれば、未来のわたしが釣り合う様に、努力することで応えましょう。

　わたし個人として、真琴さんへの気持ちを口に出して伝えられるように、周りの方をも納得させられるだけの、魅力を身に付けるしかありませんね。

　人とは、常に成長することで、新たな可能性を見出せると言います。止まらない限りは、諦めない限りは、いつか叶うはずです。

　わたしの言葉が、わたしだけの気持ちが、彼女の心へと届くこともあるでしょう。

　そうであるなら、そうであるべきなら、今ここで諦める必要はありません。ダメなところは直せばいいのです。魅力となるものを、身に付ければ良いのです。

　そうすることで、恋人として応えましょう。

　

――明日のわたしは、きっと素敵になる