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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
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らさ
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38
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男性
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1986/07/28
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SS書き・ステカつくり
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編集方法、間違えた☆

何はともあれ
ありまこ 心のスキマ をUPです。

公式で アンまこフラグ が折れかけてるっぽいですが、
それはそれとして、こちらも次の話くらいで王女様に王手をかけます

頑張れ、ありすさん。応援してます


 過去のあたしは、気になっても追及することはしなかった。深く関わろうとすることもなく、全ての疑問を知ろうとすることもなかった。
 他人の心が分からないのは当然であり、そこに何も感じない。
 聞かないほうが、幸せなこともあるから。知ってしまえば、仲違いの原因となるかもしれないから。
 そのように考えて、深入りすることを避けて、出来る限り笑顔で付き合えるように、心がけてきたつもり。周りから見た通りの、友達でいようとした。
 けど、マナに教わり、あたしの心境が変化するにつれて、どうしても気になってしまうことがある。聞きたいけど、聞けないことが増えてしまった。
 この気持ち、どうすれば分かってもらえるかな?
 
心のスキマ
 
 友達であった頃、四葉ありすは良く分からない子だった。自己を主張することは少なく、かといって存在感がないわけではない。
 そこにいるのが普通であり、気付けばみんなに道を示しているような、見守ってくれているような存在。笑顔を絶やさす、陽だまりのように暖めてくれる。
 四葉財団の令嬢であり、その力を使ってフォローしてくれる。友達以上に、あたしを助けてくれる存在。気付けば、ありすに依存してしまって。
 ただ、それ以外のことはほとんど分からなくて、彼女のことを好きになった時、彼女のことを知ろうとした時に、凄く苦労したのを覚えている。
 もっとも、恋人となった今でさえ、全てのことを理解するには至らない。ありすの心の内は、あたしには分からない。
 気にならなければ、それで良いのかもしれない。気にしなければ、悩む必要がなくなる。分からないものは、分からないと諦めれば良い。
 けれど、友達ではなく、恋人となった今、そのまま放置することのはあたしがイヤだ。ありすが理解者となろうとしてくれているように、あたしも彼女の1番の理解者でありたいから。彼女のことについて、分からないと諦めたくない。ありすのことを、本人以上に知っておきたい。
 知りたい。ありすの全てを、ありすに関わるすべてのことを。あたしの、この胸の内にある疑問を、そのままぶつけてみたい。
 けど、どれだけ親しい仲であっても、最低限の礼儀を持つのが大切だと、昔の人達は言葉を残している。踏み込んではいけないものがあると、ことわざとして伝わっている。
 今の関係を長く、永遠のものとしたいのであれば、嫌われる原因を増やすような、愚かな真似はしたくない。
「今日のお茶、お口に合いませんか?」
「え? そんなことはないけど。どうして?」
 彼女のように温かな日差しの中、あたしはどうやら考えに浸ってしまっていたらしい。お互いの貴重な時間だというのに、恋人としてあたしが望んだ時間なのに、他のことに消費してしまった。
 何よりも、彼女にこのような質問をさせてしまったことは失敗。普段の彼女しか見ていないのであれば、表面的なことしか理解していないのであれば、違和感がないのかもしれない。言葉通りにお茶の感想を聞かれ、それに答えている光景にしか見えないだろう。
 いや、あたしを気遣ってくれているという、根本的なところでは何も変わりがない。
 ただ、ありすがこのようにして訪ねてくる時は、本当の疑問を隠している時であり、同じように寂しさを感じている時が多いと、そのことに気付いている人はどれくらいいるのだろう? マナや六花ですら、全てには気付けていないのかもしれない。
 あたしが知っている、ありす。恋人である、あたしだけが知っている彼女。その特別感が、あたしを甘い世界へと誘う。
 いつもであれば、その感覚に身を任せて幸せに浸れば良いけど、寂しそうにしている彼女を前にして、まさか自分だけが幸せになるなんて、後で後悔しそうなことはしたくない。
 ここは、ありすが本当の質問を、聞きたかったことを口にしてくれるのを、ゆっくりと待つのが正解よね。
「何か、悩みごとがおありですか?」
 どうやら、待つ必要すらなかった様子。恋人としての信頼があるのか、あすりも随分とストレートに疑問をぶつけてきてくれるようになった。
 それなのに、あたしは質問の1つも出来ず、ありすを前にして悩んでしまう。聞いて良いのかと、躊躇している。お互いに対等であることを、望んでいるというのに。どうして、こんなにも違いが出てしまうのだろう?
 覚悟の差と言われてしまえば、それだけなのかもしれない。口では格好良いことを言っていても、心の中にいる臆病なあたしは動こうとはしない。ありすが頑張っているのを見て、自分も頑張った気になっているだけ。
 そんなので満足できるはずはなく、いつも自分を責める結果となってしまうけど。動かないのであれば、結果はなにも変わらない。自らが努力もしないのに、幸せを望むなんてただの贅沢でしかない。
 対等でありたいと、本当の意味で彼女の恋人でいたいと願えるのであれば、チャンスをもらえた今くらい、あたしが動くべきなんじゃないの?
「ねぇ、ありすは怖くなることはない? 将来のことを考えて、相手のことを考えて、怖くなることはない?」
「真琴さんともあろうお方が、怖いとは不思議なことをおっしゃいますね」
「あたしにだって、怖いものはあるよ。守りたいものも増えたし、それを失うのは怖いよ」
 ありすは、怖がらなくても良いと、そう伝えてくれているのかもしれない。あおるようなことを言って、あたしを元気付けようとしてくれているのかもしれない。
 けど、事実から目を背けるのは強さではないと、弱さを受け入れることでの強さを教えてくれたのは、ありすだよ?
 弱くても良い、今出来なくても頑張れば良い。その強さを見せてくれたのは、ありすなんだよ?
 その恋人であるあたしが、逃げられるはずないでしょ? 怖いものは、怖いで良いの。恐れずに飛び込んでいけるなら、怖くても良いの。
「知らないことが怖いんだ。ありすが知っていることも、あたしは知らない。ありすの力になれないことが、あたしは怖い」
 そして、何よりも聞くことが怖い。自分の中に抱えられるだけのものなのか、取りこぼしてしまわないか、失敗してありすを傷つけてしまわないか。それが、何よりも怖い。
 自分のことは良い。自分のことは、どうにか出来る自信がある。
 けど、ありすのことは、あたしの知らないありすのことは、全てを受け止められるのか、ありすの望んだままでいられるのか、分からない。
 聞いてみたいことはある。恋人になって、初めて知った顔も沢山ある。
 時々見え隠れしている、獣のようなありすだって気になってしまう。普段とは違う魅力に、惹かれているのを感じている。彼女があたしに何を求めているのか、どこまでのことを求めているのか、それも知りたいとは思う。
 けど、それは聞いても良いことなのかな? それを聞くのは、ありすを信用していないということに、恋人を信じられていないということに、繋がったりしないかな?
 あたしにはそれが分からない。恋愛の知識などなく、この世界での常識など知らず、ありすのことを全て知りえない、そんなあたしには分からない。
 聞いてみたい。この胸に溜まっている疑問を、答えを得られない不安を、全て解消して欲しいと思う。
 けど、それを聞くのが正しいことなのかな?
「真琴さん、少しよろしいでしょうか? わたしから、提案があるのですが」
「断りなんかいらないよ。ありすが考えていることを教えて」
 考え込んでしまう、あたし。悩みが出来るたびに、足を止めてしまうあたし。そんなあたしを、ありすが見捨てたことはない。あたしを置いていったりはしない。
 必ずどこかで、ありすを感じられる距離で待っていてくれる。あたしが答えを見つけるのを、あたしが前を向くのを、じっと待っていてくれる。助けてとつぶやけば、手を伸ばしてくれる。苦しいといえば、いつの間にか支えてくれる。
 そんな彼女に甘えてしまう自分がイヤで、けれど大切にしてくれることは嬉しくて。反対の感情が、あたしの中でぶつかり合う。どちらもありすの愛情を欲しているだけなのに、寄り添うには至らない。
「わたしは、まだまだ真琴さんのことを知りません。真琴さんのありのままの姿も、その胸に生まれている疑問も、わたしは知ることが出来ていません」
 そんなの、あたしだって一緒だよ。あたしは、ありすの望みを叶えてあげられない。彼女のように、気持ちを察することが出来ない。いつも自分のことで手一杯で、ありすを支えてあげることすら出来なくて、本当のことを言うと恋人としての自信だって、なくなってきそう。
 それでも、ありすが好きだから。ありすの隣で笑っていたいから。ありすが同じ気持ちだって、教えてくれたから。あたしは今、ここにいるんだ。
 全部、ありすのお陰なんだよ? あたしの悩みも、あたしの苦しみも、全部持っていっちゃうから。あたしの疑問を、全部持って行ってしまうから。
 今だって、そうしようとしているんでしょ? 鈍いあたしでも、分かっちゃうよ?
「分からないということに関しては、真琴さんも同じではないかと、そのように感じています」
「……合ってるけど、どうしたの、ありす? 今までなら、そんな形では聞いてこなかったよね?」
 今までのありすなら、全ては自分のせいだと抱えるような言い方しかしなかった。聞いているこちらに負担をかけない、けれど寂しさを感じさせる、そんな言い方しかしなかった。
 けど、今回はあたしを巻き込んでくれている。真琴さんも同じだと、巻き込んでくれた。
 その事実が嬉しくて、恋人として、近い立ち位置にいることを実感させてくれて、なんだか嬉しい。
「ふふ、以前にわたしは宣言しましたから。幸せになる為に、手加減はしないと。これからは、きちんと真琴さんも巻き込ませて頂きますわ。わたくしの想いを、悩みをしっかりと受け止めて頂きますわ」
 ありすの悩みを受け止められるのか、ありすの全てを受け入れていけるのか、正直なところは分からない。
 けど、受け止めて欲しいと言ってくれるのなら、あたしは全力で受け止める。無理とかそんなのは関係ない。あたしは、ありすの全てが欲しいから、ありすの悩みだって欲しいから。全てを受け止められるようになる。
「わたし達は惹かれあった、似た物同士ですから。わたしの感じている不安や恐怖は、真琴さんの心の中にもおありでしょう? どのようにして立ち向かうかは違っても、わたし達は同じように問題を抱えてしまっています」
「ありすにはお見通しだったのかな? あたしが何に悩んで、あたしがどうして悩んでいるかも」
「ふふ、全てというわけには、いきませんよ? ただ、相手に失礼にならないように、相手に嫌われないことを最優先に考えてしまい、聞きたいことも聞けないような、そんな表面的なものを大切にし過ぎているのは感じますわ」
 あたしは、少し分かりやす過ぎるのかもしれない。ありすは、少し察し過ぎてしまうのかもしれない。
 そんな2人だから上手くいくのかもしれないけれど、ありすだけに負担をかけているは、あたしが面白くない。恋人だと、胸を張れないのは悔しい。
「真琴さん。たまには、意見が割れても良いと、そのように思いませんか? 幸せになる為に、意見をぶつけてケンカするのも、また有意義だと思いませんか?」
「ありすは、それでも良いの?」
「多少、乱暴な意見であることは、承知しております。真琴さんが、争いごとを望まない、穏やかな方であることも承知しております。それでも、幸せになる為に、相手を幸せにする為に、公平な立場で争うのは楽しいと思いませんか? どちらが先に幸せにするか、その為のカードをそろえられるのか、競争してみるのも楽しそうではありませんか?」
 争うような形になってしまうのは、ありすとしても望みたい形ではない。それくらいは、あたしでも分かる。
 ただ、その上で言ってくれるのであれば、恋人として受けないわけにはいかない。あたしとしても大きなチャンスになるし、もっと深い関係になれるし、幸せしか待っていない。
「お互い、秘密にしなければならないこともあるでしょう。答えられないこともあるでしょう。分からないことだって、あるかもしれません」
 恋人だからと言って、全てを話せるわけではない。その事実は変わらない。
 恋人だからこそ、伝えられないこともある。その事実も変わらない。
「けれど、答えられることまで、知って欲しいことまで聞かれないのは、寂しいですわ。それは礼儀でも、遠慮でもありません。ただ、恐れているだけです。わたしの知らない、新しい真琴さんを見ることに、恐怖を抱いているだけです」
 ありすの新しい表情を見つけること、それまで知らなかった顔を見ること。それは楽しみでもあり、今まで知ることが出来ていなかったことを悔いることにも繋がる。そこまで、あたし達は一緒だったんだね。
「今までのわたしであれば、その恐怖に逆らうことはしませんでした。言い訳をして、真琴さんへの質問を躊躇ったでしょう」
 踏み込み過ぎては迷惑になる。こんな質問をしたら、嫌われてしまうかもしれない。恋人として信用しているなら、いつかは分かるはず。
 言い訳だけなら沢山出てくる。自分を思い留めるための、悲しい言葉は山のようになっている。
 ただ、それに阻まれたといても、気持ちは止まれなかった。知りたいという気持ちが消えることはなかった。
「けれど、そのような関係では足りないのです。わたしはもっと深いところまで、真琴さんを知りたいです。その為に、2人で変わりませんか?」
 今のままでも、それなりの幸せに離れたのかもしれない。言い訳が出来る程度には、幸せになっているのかもしれない。
 けど、そんなのは望みたくない。一歩踏み出して、得られるものがあるなら、それをつかんでみたいと思う。
「はぁ、あたしってホントにダメだね。告白だけは出来たのに、その後の大切なことは、全部ありすに任せてしまっている。自分に自信がなくなっちゃいそう」
「ふふ、真琴さんが導いて下さるので、わたしはここまでこれたんですよ? お互い様です」
「ありがとう。それなら、ありすの提案を受けさせてもらうわ。あたしも、知りたいことが山のようにあるもの。答えられることだけでも、教えて欲しいわ」
 ありすが呆れるほど、質問をしてしまうかもしれない。あたしの知りたいことが、ありすと一緒だとは限らない。
 けれど、そうだったとしても構わない。あたし達は別々の人間であり、分からないからこそ楽しめるのだから。
 知らないことも、知ったことも、両方楽しめるようになれば良いだけの話。
「なら、日を改めて、お茶会の日を設けましょう。その場で幸せの為に、一緒に踏み出して下さいませ」
「あたしは、このままでも良いよ? 聞きたいことは、いくらでもあるから」
 質問なら、いくらでも沸いてくる。今この場で始めても、なくならないくらいにはある。
「真琴さん、焦ってはいけませんわ。わたし達のお付き合いは、刹那的なものではありませんから。悩みを抱えて、相手を思い過ごす夜も、報われる日が来る約束があるなら、美しい思い出となるでしょう」
「うーん、難しいことは分からないけど、それはそれで幸せかな? やっぱり、ありすは凄いね。あたしの知らないことをいっぱい知っている」
「幸せになることに、欲張りなだけですわ。あまり、褒めないで下さいませ」
 ありすが何に悩み、何を思っていたのか今までは知る術がなく、知るだけの勇気もなかった。
 けれど、今度からはちょっと踏み込むだけで、教えて欲しいとお願いするだけで、その望みが叶う。ありすとの距離を、ぐっと縮めることが出来る。
 そのことを想像して、ありすがどう答えてくれるのかを想像して、夜を過ごすのも悪くはないのかもしれない。ちょっと賑やかになりそうだし、ダビィには迷惑をかけるかもしれないけれど、治まりそうにないな。
 
――幸せの形を探しにいこう
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