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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
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らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
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書いては、いたんです。3月中旬くらいっぽいんです。
忘れてましたー

あ、そういえば、先にガマンできなくなったのは、千代田さんですが。意外と常識人っぽい感じがします
千歳さんは襲われた側のはずですが、病み具合はやばそうです。底がみえないの~




 幸せは掴むものであると同時に、手放すものである。あるはずのものは突然なくなり、なかったはずのものも突然に訪れる。
 努力することで引き寄せることは出来ても、作り上げることは非常に困難で、感じ続けていくためには膨大ともいえるエネルギーを消費する。
 私は、幸せの中にいた。それを自覚していたし、手放したくないと願っていた。
 私は自ら幸せを手放した。幸せのためのアプローチが、間違っていたから零れ落ちた。
 今の私はどっちなんだろう? 幸せの中にいる? 幸せの外にいる?
 
 
     邂逅する未来
 
 
 暗闇が覆い尽くし、何も見えない世界。それなのに、そこにいることだけが分かってしまう。
 夜の海というのは、想像以上に闇に染まる。星の光を反射するのも、月の光に照らし出されるのも、海面だけ。海の中は何も見ることは出来ず、不安をあおる材料しかない。
 何より、そこにいることだけ隠さないのに、私のことを狙っているのは、突き刺すような視線で教えているのに、姿を隠さない相手が恐ろしい。
 視線だけで破損することはない、戦闘不能に追い込まれたり、轟沈することもない。そう理解していても、殺気というのはなれないもの。どうすれば、ここまで憎むことが出来るのかしら?
 沈む為に出て来たはずなのに、怯んで退きそうになってしまう。私の意志とは無関係に送り込まれてくる、どうしようもない感情が、突きつけられている、焼き付けられるような感じが、私の心を折りそうになる。
 怖い。素直にそう思う。単機での出撃なんて、普通はありえない。夜戦もできないのに、艤装すら取り外し、私はこの場に立っている。
 少しでも迷惑をかけないために、私情による損害を減らすための行動だったけれど、こんなにも長い間苦しめられるのであれば、挑発できる程度に持ってくるべきだった。
 軽空母が1隻だけで航行しているから、警戒されてしまっている。私がおとりであり、どこかに本隊が控えていると、警戒を与えてしまっている。確かに、鎮守府に部隊は存在するし、いつかはこの海域だって取り戻せるでしょう。
 ただ、その心配をする頃には、私は海の底にいる。何も考えない、何も言わない。そんな鉄くずになっている予定だから。出来れば警戒せずに、魚雷を撃ち込んで欲しいな。
 回避も、反撃も、私は行動に移さないから。早く、千歳ねぇが意識を取り戻す前に、千歳ねぇの温もりが消えてしまう前に、私を海の底へと連れて行って欲しい。
 水中から上がってくる泡は、普段であれば隠しているはずのもの。発射管への注水を知らせる、自分の位置を教えてしまう、危険なもの。
 大丈夫、警戒しなくても良いの。私は反撃しない、攻撃の手段を持ち合わせていない。ついでに言ってしまうのであれば、通信手段すら持ち合わせていない。ここに立っているだけの存在に過ぎない。
 普段から恐怖を与えている潜水艦として、私を屠れば良い。スコアが増えるだけで、あなたが損するようなことは何もないから。
 ズレていたはずの射線が修正され、照準が合わさっているのを感じる。普段からこれだけの勘が働いているなら、私は千歳ねぇの陰に隠れなくて良かったのになぁ。
 水面を目指し、あがってくる魚雷。白い帯を引いているそれを見て、普通なら回避行動をとる。それが艦娘として正しい行動であり、生き抜くための術であったはず。
 けれど、死を望み、沈むことを選んだ私の足は、動くことを知らない。先端が、雷管部が分かってしまいそうな、のんびりした動きで近づいてくる。一撃必殺の威力を誇り、私を水底へと連れて行ってくれるであろう、片道切符。
 もっと早く撃ってくれれば、色々と考えなくて済んだものを。無駄に時間を取らせてくれたわね。
 一筋しか放たれなかったのは、威嚇のつもりか、それとも弾切れなのか――一瞬だけ考えられことも、お腹への熱と、目の前が真っ白になるほどの衝撃でどこかへと行ってしまう。
 息が詰まるような、身体をつぶされているかのような感触。それでいて、痛みだけは正確に伝えてくれて、意識を失うのを妨害している。音が聞こえてくるのはこのタイミングで、耳から身体を揺さぶられているよう。
 立っていられない。そう判断するまでにかかった時間は、どれほどのものだったのだろう? 痛みを感じて、色を感じて、音を聞いて。長いようで、きっと一瞬であったはずの時間。
 無駄なことをのんびりと考えながら、自分の身体が破壊されていくのを感じる。
 艦娘として過ごした時間が、私の身体を守ろうとするけれど、魚雷の威力を前にして、それは無意味というもの。今更身体をひねろうとも、回避動作に移ろうとも、既にもらってしまったダメージは逃がさない。私の身体に入り込み、末端を目指して駆け抜ける。
 四肢が千切れそうなほど伸び、それなのに身体をつぶされるような衝撃が、前からも下からもやってくる。
 沈む為にきたというのに、随分と忙しいわね。こんなに騒がしくしなければ、海の底も目指せないの?
 胃からのぼってくるような、吐き気には逆らわない。衝撃が突き抜けている口は、閉じることもなく、そのまま熱いものを通してしまう。
 吐血しているのか、それとも汚いものを撒き散らしているのか。暗闇以外のものを見てしまっている両目には、口を通過したものを認識することは出来ない。見えているはずなのに、それが何であるかを理解できない。
 今更だけれど、魚雷の威力ってすごいのね。みんなが怖がるのも、納得できるわ。
 靴の裏が海面を離れ、空を滑っているのが分かる。下に落ちるのではなく、後ろへ、上へと落とされる感覚。何かに引かれるように、吊り上げられているかのように、宙を舞っている。
 走馬灯というべきなのか、一瞬の出来事がすごく長く感じられ、若干飽きてきた。
 私は、沈む為に来たのであって、そのほかの出来事は出来る限り短くして欲しい。過去を惜しむ時間すら必要ないというのに、どうしてこんな無意味な時間を過ごさなければいけないのか。まったく、人間というのも不便よね。
 ただの兵器であるのなら、今回の失態もなかったのにね。
 宙を舞い、背中から海面へと落ちる。沈み込む、そんな私を優しく受け止めてくれる。押し返し、私の望みを妨害しようとする。
 それは温かく、水面とは思えない動き。浮力ではなく、ただたに沈まない、事実がそこにある。
 
 
      ◇
 
 
 夢から覚めて、安堵する時。どんな顔をすればいいのかしら? 笑顔? それとも、自分がいることを感謝すればいいの?
 手を握っていてくれた感触はあるのに、手のひらに残るぬくもりは確かなものなのに、私の求めている人はそこにいない。
 とんでもないカミングアウトをして、私の想いを受け入れてくれた姉の姿は、今ここにはない。
 眠っていた間に見たものは、私がとった馬鹿な行動の結末。沈むことすら出来なかった、そんなな避けない瞬間をリピートしているもの。
 結果的に私は沈まず、沈まなかったからこそ、千歳ねぇの側に帰ってこれて、そして両思いであったというとんでもない事実を知ることになる。嬉しかったと、どう返して良いか分からない感想までもらってしまった。
 我が姉ながら、我が姉だからこそ、訳が分からない。常識の範疇に修まる気のない、困り者。願いがかなったはずの今ですら、どうすればいいのかが分からない。
 千歳ねぇは今後の展望があり、色々なことを望んでいるみたいだけれど、私としてはどうすれば良いか分からないというのが素直なところ。
 普通に考えると、襲った上に願いがかなうなんてありえないでしょ? 謝罪を断られた挙句に、頭を下げられてお礼まで言われたのよ? どうしていいのか、どうするべきなのか、何を考えればいいのか。その全てにたどり着く前に、固まってしまうに決まってるじゃない。
 これが姉と妹の差だといわれるのなら、私は一生理解できなくて良い。好きな人のことだけれど、理解しようと思えない。
「どうしてなの?」
 それなのに、嬉しいと、今のこの状態がただ嬉しいと、そう思ってしまうのは妹だから? とんでもないことをして、情けない結果を残して、それでもなお抱きしめてもらえる。甘えるとか、わがままとか、そんな優しい言葉で収まるようなものではない。何がどうなれば、今の状態に繋がってくるのか、正確に把握しているわけではないけれど、やっぱりあえ利得ないというのが一番納得できる。
 実のところは既に海の底に沈んでいて、私は息絶えるまでの短い夢を、理想の中を過ごしていると考えるほうが正しいはずなのに。おなかから伝わってくる痛みと、千歳ねぇの残してくれた温もりが、現実であることを教えてくれる。
 世界の何を疑っても、それは私の勝手だと言い切ることが出来る。上層部をうらもうが、提督を羨もうが、それは私の勝手。
 けれど、千歳ねぇの言うことを、私の大好きな人が言ってくれることを疑うほど、妹を辞めた覚えはない。姉が妹の迷惑に振り回されることを当然として受け入れるのであれば、妹は姉の言うことを疑わないのが当然。それこそが、自然な流れのはずだから。
 千歳ねぇが私のことを好きだといってくれるのであれば、襲ってくれて嬉しかったというのであれば、それをそのまま、言葉のままに信じる。失敗したと思うのであれば、繰り返さなければ良いだけの話。私は千歳おねぇの妹なんだから、それくらい出来るわ。
 今考えるべきは、いかにして傷を早く治し、千歳ねぇの願いを叶えるかということ。少しばかりただれた生活になりそうだけれど、私達であれば、問題はないでしょう。今まで通り、大きく変わることはなく、姉妹であることに加えて恋人になるだけ。他人に与えられた形だけではなく、私達の決めた関係が増えるだけ。
「なんて、簡単にいけば良いんだけどね」
 千歳ねぇが少々面倒な性格をしており、開放的な正確であることは理解しているつもり。隠すところは隠すけど、それも他の事実に埋もれさせて見えなくしているという、そんな方法しかとらない。秘匿し続けるには、意外と向かない。
 だから、好きであることを隠すはずはなく、下手するとみんなの前ですらいちゃつこうとするかもしれない。提督は笑ってみなかったことにするでしょうし、不知火さんはすさまじい視線で伝えてくるだけでしょう。執務室なら許可が出てしまうような、そんな事態になったとしても余り驚けないのが嫌だなぁ。
 それ以前に、進んで風紀を乱すような行為をすることを、私は望まない。自沈しようとした艦娘が何をといわれそうだけど、あれとこれとは話が違う。自分の起こした不祥事の責任を取ろうとした行動と、風紀を乱す行為を一緒にされたくない。
 何か対策を考えないと、私の体が確実に持たなくなる。慣れる前に、必ず問題が起きる。
 寝不足による居眠り、寝不足による指示ミス、寝不足による衝突。全ては千歳ねぇが求めてくれた結果だけど、素直に受け入れていては空母は勤まらないの。私はこの鎮守府に所属する、軍に籍を置いているものとして、この戦いを乗り切る責任がある。
 投げ出した命だからこそ、無駄に消費しない。怯むことなく、勇敢に戦い続けることが、私の償いであり、私を助けてくれた姉への感謝だから。勝手に死ぬようなまねは、もう許されない。
 千歳ねぇが満足するまで、心に出来てしまった大きな器を満たすために、私の日々は再度始まる。
 夢ではない現実で、残酷な真実と向かい合いながら。なんて、大袈裟過ぎるのかしら?
 
――今度は、私の番だから



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