リンクフリーです。
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本年も、らさ 雨の降る日に 共々よろしくお願いいたします。
そんな感じで新年です。
お正月です。
SSなのです(謎
八神家より、はやて&ヴィータでお送りします ><
「はやて~、もう良いか?」
外では雪が降っているが、中はポカポカ。
そんな八神家では、末っ子ともいえるヴィータがおきがえの真っ最中だった。まぁ、ホンマはあたしよりずっと年上なんやけど、そこは気にしたら負けや。
「お~、よう似おうとうやないか」
1月1日ということもあり、折角だからと初詣に出かける予定を立てた。まんまり機会があるもんやないし、行ける時にいっとかな・・・ミッドに移ってからやと遅いやろ?
まぁ、残念なことにシグナムは管理局で事務処理、シャマルは急患が出たとかで医局へと飛んでった。ザフィーラはさっきまでいたんやけど、アルフにさらわれ雪合戦を興じているらしい。
そんな訳で、八神家に残っているんは、あたしとヴィータの2人だけ。
どうせなら家族全員でおまいりしたかったんやけど、それぞれの用事もあるし、別に今年行かなあかんてもんでもないしな。
「はやてがアタシの為に買ってくれたんだしな。たまにはちゃんとした格好しねーと・・・」
そう言って照れている彼女の服装は、いつもの元気いっぱいのは違い、着物だった。
ホンマならオレンジとか、赤とか彼女の髪の色に合わせても良かったんやけど・・・今、ヴィータの着込んでいる振袖はピンクと白の振袖。ふわふわした肩掛けも、小物もバッチリで、中々可愛らしく決まっている。これはこれで普段とのギャップがええかんじや。
それにしても、ヴィータのこんな姿を見れるなんて・・・なけなしのお金をはたいて買った甲斐があったわ。
「ヴィータ、ちょうこっちきてや」
だけど、そんな殊勝な思いも束の間。あたしの悪い癖が頭を出してもうた。でも、こんな可愛い子を前にして遠慮している方が失礼というものやろう。
「ん?なんだよ、はやて」
ピョコピョコとアホ毛をゆらし、警戒心ゼロで近づいてくる彼女。う~ん、少しは疑うことを教えたほうがええんやろうか?あんまりにも素直すぎるんも考えもんやな。
一瞬そんなことが頭をよぎったが、彼女を抱きしめた瞬間に吹き飛んでしまった。
いつもとは違い、うっすらと化粧をしているその顔。ヴィータのみずみずしい肌を隠してしまうんは少し抵抗あったけど、これはこれでお人形さんみたいな可愛さが出ている。くぅ、そんな愛くるしい瞳であたしをみんといて~。
そして、ふわりと香る匂い。あぁ、ヴィータの優しい匂いがするなぁ。
「ちょ、ちょっとはやて!そんなに抱きしめたら着物がずれちゃうよ」
「崩れてしまったらまた着させてあげるから、気にせんでええよ」
「いや・・・気にしなくていーってさ、アタシがやったんじゃないんだけど?」
くぅ、そんな拗ねた表情をみせたらあかん。第一級指定品並に危険や!
ヴィータの何気ない行動に、あたしの欲望は理性を焼ききらんばかりに暴走していた。くぅ・・・なんて恐ろしい子や。
「まぁ、はやてが喜んでくれるならアタシはいーけどさ・・・あんまりぎゅってされたら、苦しいよ」
どんな時でも、あたしと一緒に居てくれるといった彼女。いつでも、守ってくれるといった彼女。
夜天の書の守護騎士として、八神家の一員として。―――あたしだけの騎士として。
そんな彼女と一緒に初詣。なんて幸せなんやろうか。
◇
長い階段を上りやっと見えた社。そこはあたしらと同じように初詣に来ている人でごったかえしていた。
どこを見ても人、人、人・・・一体何人ぐらいおるんやろ?
「すげー人だな・・・」
「そうやね~」
車椅子で生活していた頃は、テレビで見ていただけやったし・・・初詣がこんなすごいもんやとは思ってなかった。この場に立ってみて初めて分かったけど、どう考えても危険だ。
「ヴィータ、はぐれたらあかんから、手を離したらあかんで?」
この人ごみの中、はぐれてしまったら落ち合うのは難しいだろう。こっちの世界では念話は使いたくないしなぁ。
「う、うん・・・分かった」
流石の彼女もこの人波には圧倒されてしまったらしく、少し逃げ腰になっている。
「そんなに怖がらなくても大丈夫やよ。あたしがついとるからな」
「べ、別にこわくなんかねーよ!」
「そっか・・・。なら、お参りにいくで~」
彼女の手をしっかりと握り、人だかりの中へと突入していく・・・って、あら?
「どうしたの、はやて?」
「いや、もっとこう、なんていうか・・・人とぶつかりながら、もまれながら行くもんやと思ったんやけど」
あたしの予想に反し、誰かとぶつかることもなく、みんな大人しく整列して進んでいく。よ~見たら、あっちこっちにおまわりさんが立ってるし、去年なんかやってしもうたんかもな。
「ふ~ん、まぁ楽に進めるならいいじゃん」
「それはそうなんやけど。なんやがっかりしてしまうわぁ」
別に人にぶつかりたいとか、痛い目に合いたいとは思わない。だけどこんだけの人がおるんやし、少しぐらいそんなイベントがあってもええと思うんよな。
「よくわかんねーけど、はやてをいじめる奴がいるならアタシがブッ潰してやるからな」
「あはは・・・ありがとなヴィータ」
こんなささいな事でも気にしてくれる。守ると言ってくれる。
そんな優しいこの子に心配をかけないためにも、あたしはもっともっと強くなるんや。誰にも負けない、何も奪われないだけの力を身につけてみせる。
でも、その前に八神家の一員としてしっかりと神様にお願いしとかんとな。
あたしが望むのはただ1つや。
笑顔。
みんなで笑って暮らせる日々を守れるような、そんな主になりたいと願うだけ。
神様、頼むで~。あたしと家族をいつまでも仲良くいさせてや―――