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にゃー
そんな感じで らさです。
なのパは参加してません! 千葉で引きこもってました。
まぁ、そんなことはどーでも良いのです
ルーキャロに 「笑顔の隣」 を追加です
笑顔でいる為に、努力をする
努力すれば、笑顔でいられる
そんなふうに、信じてみたくもなります
「失礼しました」
時空管理局本局。通称「海」。
私達が以前に敵対し、私が現在監視下に置かれている組織。
影響力は底が見えないほどに大きく、軍事力としても敵に回したい相手ではない。
「別に悪いことしてないし、恐れる必要ないけど」
そう、無駄に恐れる必要なんてない。
私は私の為に組織を利用するし、管理局は管理局の都合で私を利用するだろう。
表に出せる清く正しい仕事から、闇に葬られる汚い仕事まで……。
幸い、今はそんなことの為に呼び出されたわけではなし、随分と気が楽。
何よりも、先ほどの面接で決定された内容が、私の心を軽くしていた。
『異世界への移動許可申請許可書(条件付)』
長く、分かりにくく書いてある1枚の書類。
吹けば飛び、燃やせばなくなってしまう書類。
でも、私はこれを手に入れる為、今まで頑張ってきた。
勿論、私1人で成し得たことではないし、協力いただいた方々にはどんなにお礼を言っても足らないだろう。
まぁ、協力してくれた方々は、私に恩を売るようなことは一切しなかったけれど……。
「当然のことをしたまで、か」
犯罪者である私の為に時間を割き、上層部に申請を出し、許可をもぎ取る。
言葉にしてみればこれだけのことだけど、実際にやるとなれば命がけに等しい。
それなのに、あの人達は何でもないの一言で片づけてしまった。
「あんな大人になれるかな?」
優しくて、暖かくて、格好良い。困った人を助けても、お礼すら求めない。
そんな人達の部隊だったから、私は助けられ、ナンバーズは一部を除いて更生施設に入り、アギトはシグナムさんの所へ行った。
敵対していたはずのドクターですら、笑って話を聞いているらしい。
まぁ、ドクターの考えていることなんて分かるはずないし、例外と言えるかもしれないけど。
「あの、もしかしてルールー?」
「ん? あら、こんにちは」
考え事をしながら歩いていた私。
その前に現れたのはエリオだった。
以前見た時よりも身長が伸び、雰囲気も随分と男の子らしくなっている。
「良かった、間違っていなかったんだね。随分と変わっているから、びっくりしたよ」
「そう? エリオだって随分変ったわね」
事件の時、私を止めに来てくれたエリオとキャロ。
2人は事件の後も友人として、手紙等でのやり取りが続いている。
んー、本局に訪れることを書いた覚えはないから、偶然かな?
「前の手紙で条件付の外出が出来るかもって書いていたけど、もしかしてその絡みかな?」
「うん、詳しくは言えないんだけど、最終確認みたいなものがさっきあったの」
私の処遇に関わっていた人々。想像していたのよりも随分と大勢がいた。
その人達に、もう犯罪は起こさないこと、管理局の監視下に入り従事することを誓ってきた。
フェイトさんや、はやてさんがいた分、誓約書を書かされたりするよりも効果は大きい。
「そっか、キャロも会いたがっていたし、喜ぶと思うよ」
「うん、ありがとう」
キャロが合いたいと言ってくれている。その事実が何よりも嬉しい。
私は彼女に伝えたいことがあるのだから。
「立ち話もなんだから、そこでお茶でも飲まない?」
機動六課に所属していたエリオ。
地上本部を襲った一味にいた私。
廊下で立ち話をしていると、自然と人の目を集めてしまうようだ。
「そうだね、ちょっと寄って行こうか」
普段、大勢の人に注目されることもないので、ちょっと落ち着かないし。
それに、話をするならゆっくり出来そうな場所が良いって、本に書いてあったから――
◇
「それにしても驚いたよ。後何年かは出られないと思っていたのに」
「フェイトさん達が頑張ってくれたから……」
私自身も頑張れるところは頑張った。
けど、それよりもフェイトさん達が働きかけてくれている部分の方が、大きいはずだ。
「ねぇ、それよりも2人のことを教えてよ」
私の話ばかりしていても、仕方がない。
それよりも、私は2人のことが知りたかった。
「他のみんなと違って、その偏狭世界にいるから、手紙以外の情報が殆どなかったの」
私を助けてくれた2人。私を友達と呼んでくれた2人。
そんな2人が何をしているのか? 何を感じて、どう思っているのか?
それが知りたい。
「良いよ。そうだね、何から話せば良いのかな?」
私の求めに応じて、最近の出来事や、任務での出来事。
そんなことをエリオは話してくれた。
「へぇ、そんな毎日を過ごしているんだね」
お母さんと召喚虫以外、触れ合う者のいない私の世界とは大違い。
偏狭とは言っても、人々の暮らしが存在する。ちょっと複雑な世界。
「ところで、キャロって好きな食べ物あるの?」
戦う相手でなく、友達として、好ましい相手として付き合いたい。
そう思うのであれば、好みや趣味を知りたいと言っても、不自然ではないはず。
自然な感じで、このままキャロのことについて詳しく知りたい。
「うーん、そうだね。嫌いな物がなくなったのは知っているけど、何が好きなんだろう?」
「一緒にいるのに知らないの?」
仲が良い相手の好みを把握しているのは、普通のことではないのだろうか?
それとも、私がそう感じているだけで、余り聞かない方が良いのかな?
「あはは、ごめんね。でも、昔嫌いだったニンジンも食べれるようになったし、それで良いかなって思うんだ」
「ニンジン、だめだったの?」
そっか。エリオ自身で料理することがないのかもしれない。
自分で料理をしないのなら、相手の好みはあんまり関係ないのかな。
「うん、僕と出会った頃はダメだったね。けど、機動六課にいる間に頑張ったみたいだからね」
「キャロ、頑張ったんだ」
戦闘だけではなく、日常生活でも強くなっているんだね。
ただ1つのことにこだわり続け、彷徨っていた私とは大違い。
「そうだね、やっぱりフェイトさんに教えてもらったことが大きいかな?」
「フィとさんに?」
2人は、私よりも先にフェイトさんに出会った。
その関係は姉とも、母親代わりとも聞いている。
やっぱり、大切な人の言葉は心に響くのかな?
「食事を得られること。その当たり前が幸せで、どれだけかけがえのないものか教えてもらったんだ」
「難しいね」
フェイトさんらしいといえば、フェイトさんらしいのかもしれないけど。
私達はそれを体験してしまっているから、良く分かる。
「そうだね。でも、大切なことだし、当時の僕達にとっては印象に残ることだったんだ」
「そう、大変な日々を経験したのね」
部族からおわれたキャロ。研究施設で生活していたエリオ。
そんな2人にとっても、食事とは大切で大変なものだったに違いない。
「それなのに、私に優しくしてくれるなんて。2人共凄い」
「僕達は自分がしたいことをしているだけだよ」
そんな2人に助けられた私。助けられてしまった、私。
どうすれば御礼をすることが出来るのかな?
「でも、ありがとう。お陰で私も頑張れたから」
「そっか、それなら良かったよ」
彼らは私を責めないし、謝罪を求めることもない。
けど、お礼なら受け取ってもらえるよね?
「2人共元気にやっているんだよね?」
「うん、そうだね。殆どのところは手紙で伝えているとおりだし、キャロも楽しそうだよ」
自然保護隊にいれば、沢山の動物達と触れ合う機会がある。
動物達と話せる特技を持つキャロにとって、楽しい環境に違いない。。
「ルーからの返事を楽しみに、仕事をこなしている感じだね」
「本当? そうだったら嬉しいな」
「毎日手紙がきていないか確認しているみたいだし、返事を書くのにもとても丁寧だからね。間違っていないと思うよ」
キャロが、私との手紙を楽しみにしてくれている。
私は、僅かでもキャロの役に立てているんだ。
それが、私には嬉しい。
「教えてくれて、ありがとう」
「なんで、ルーがお礼を言うの?」」
「教えてくれたから。その、キャロが楽しみにしてるって」
私を助けてくれた人の役に立てている。
離れていても、傍にいなくても、誰かの助けになることが出来る。
それを教えてくれて、ありがとう。
「よく分からないけど、ルーが嬉しそうならそれで良いや」
「そう」
けど、不思議。キャロを助けよう。キャロの為に何かしてあげようって、そう思ったわけではない。
ただ、お手紙のやり取りをしているだけだったのに。友達の力になれたんだ。
「キャロ、随分変わった?」
面影はあっても、分かれた時から随分と逞しくなっているエリオ。
年も同じくらいだし、もしかしたらキャロも変わってるのかな?
「ルーも、人のこと言えないと思うよ? でも、そうだね。成長期だし、随分変わったんじゃないかな?」
「変わったんじゃないかなって……一緒にいるのに、分からないの?」
一緒にいるのに、傍にいるのに分からないのかな?
それとも、エリオはそういったことに興味がないのかな?
「ごめんね。一緒にいるからさ、ちょっとした変化に気付くのは中々難しいんだ」
「そうなの?」
「けど、ルーが見たらビックリするかもしれないね」
成長期である私達は、急速に成長する。
体つきも変わり、中には性格が変化してしまうこともあるみたい。
「あ、でも、詳しく知っていたら怒るべきだったのかな?」
「詳しく知っていたら、僕怒られるの?」
――エリオ、本当に分かっていないんだ。
恥ずかしいし、あまり話したくはないけど。話をふっておいて、それは駄目だよね。
「成長期だから……その、胸も膨らんでくるし。あまり、男の子には知られたくないから」
やっぱり、恥ずかしかった。顔が熱いし、もしかしたら真っ赤になっているかもしれない。
もう、エリオももう少し気をつかってくれれば良いのに。
「そっか。言われてみれば、キャロも随分と女の子らしくなってるよ」
「エリオ、私の話聞いてた?」
優しいけど、ちょっと抜けている。エリオって、こんな感じだったかな?
直接話すのが久しぶりだから、忘れているのかな?
「もう、言ってる傍からそんな話をするなんて、酷いよ」
「ごめんね、そんなつもりじゃなかったんだけど……」
悪気がないのは分かっている。分かっているから、困るんだよ。
怒るわけにもいかないし、どうすれば良いか分からないよ。
「そういえば、キャロにはもう連絡を入れたの? 出れるようになったんだよね?」
「まだ。けど、迷惑にならない?」
私とは違い、既に局員として従事している彼女。
忙しくて、楽しい毎日を送っているキャロ。そんな彼女に、私の都合で連絡を入れるのは迷惑にならないかな?
「そんなことないよ。この前だって凄く嬉しそうにしていたよ」
「そうなんだ、ありがとう。けど、どんな服を着ていけば良いのかな?」
私の連絡を楽しみにしてくれて、その上会うのも楽しみにしてくれている。
それ自体はとても嬉しいことだけど、どんな服装で会えば良いのかな?
「うーん、ごめん僕そういうのはダメなんだ。可愛い物が好きってことぐらいしか、分からないよ」
「私も分からないし、お相子だよ」
私が分からないことで、エリオを責めるのはおかしい。
ただ、ちょっとだけ残念だな。
「せめて、キャロの服装だけでも分かれば、合わせられるんだけど」
「普段は、部族の服装に近いと思うよ。フードを被っていたり、ワンピースを着ていることが多いから」
「ありがとう。少しでも情報があるのは、ありがたい」
何も知らないよりは、少しでも知っている方が良い。
想像するにも、考えるにも、情報は必要だから。
「ほら、地下道で会った時とかに着ていた服だよ。バリアジャケットも近い感じするしね」
「優しい感じのワンピースだったね」
白とパステルピンクを基調とした、淡い色合い。
キャロ自身の雰囲気も合わせて、とても柔らかいイメージに仕上がる。
「うん、合わせられる様に頑張ってみる」
イメージは掴めたから、後は私が頑張るだけ。
折角会えるのだから、キャロに好きになってもらえるような、そんな服装で行きたいから。
「帰ったら、タントさん達にも聞いてみるよ」
「うん、ありがとう。そろそろ、いこっか」
あまり長く引きとめてしまっては、迷惑になる。エリオだって、用事があって本局に来ているはずだし……。
それに、私だってやらなければいけないことが多いから。
――キャロに会えるの、楽しみ