その名の示す先にあるもの

うーん、短くなってしまったというよりは、間が抜けてしまった感じがします

（・ｗ・）　こんなのばっかりだなぁ

　東せつなと、イースという２つの名前。私の持っている、２つの名前。

　私が真に名乗るべきは、どちらの名前なのだろう？　どちらの名前が、本当の私を表しているのだろう？

　桃園家の一員として暮らしている今、イースト呼ばれるのはウェスターと対峙した時くらいのもので。みんなは、せつなと呼んでくれる。

　逆に、この町に着たばかりの頃。ラビリンスの尖兵として侵略行為を続けていた時には、イースであることを自分自身に言い聞かせてきた。

　東せつなは偽の名前で、イースこそが真の名前であると。国民番号で区分されている私が手に入れた、唯一のものだと信じ込もうとしていた。

　信じて全てを忘れ、そうすることで痛みからも、恐怖からも逃げ続け。いつしか、自分を見失っていったのも事実。

　私は、何をしたかったのだろうか？　何が正しいと思い込み、侵略行為に及んでいたのだろうか？

　メビウスの思想が正しいと、争いをなくすことこそが至高だと。それを信じていられたのだろうか？

　確かに、私が変わるきっかけをくれたのはラブだ。彼女と出会い、彼女の心に触れたからこそ、私はここにいる。桃園家の一員として受け入れられている。

　ならば、ラブに出会わなければどうだったのだろうか？　ラブが、プリキュアになれなかったらどうなっていたのだろうか？

　意味の無いことだとは、分かっている。どれだけ悩んでも無駄にしかならず、現実は動かないことを嫌と言うほどに、知っている。

　それでも、想像せずにはいられない。恐怖を伴うものだと理解しても、想像を止めることは出来なかった。

　どこかのパラレルワールドでは、私はラブに出会えないのだろう。似たような世界でありながらも、私は今もイースを続けているのだろう。笑顔を知ることも無く、幸せを知ろうとすることも無く。ただ、悲鳴と不幸を集める為に、傷を増やし続けているのだろう。

　そんな別の私の為に、私が出来ることなど何もない。助けに向かうことも、止めることも出来ない。ただ想像して、少しでも気持ちを共有することでしか、私は彼女のことを知ることは出来ない。

　もっとも、向こう側は知りもしないだろうけれど。

「結果を求めてはいけないわ」

　結果が伴うものですらないというのに、私はどこまで我侭になってしまったのだろう。今ここにいられることの幸せ、それを受け取るだけで両手いっぱいなのに、何が出来るというのだろう。

　エゴだとは理解している。意味の無い妄想であることも理解している。

　だけど、ラブのくれた幸せを忘れない為であれば、この苦しみも愛しさに変わるはずだから。私は、私の為に努力をしなければいけない。

　私の中に眠っている、イースの為にも。記憶の中にしまいこんだ、番号で呼ばれていた頃の私の為にも。東せつなは、幸せになる。

　あなた達に頑張ってもらった分だけ、いえ、それ以上に私は頑張るわ。

　あなた達に涙だけではなく、笑顔を届けられるように、温かい想いを届けられるように、私は一生懸命頑張る。

　ラブの隣で、美希と笑いあい、ブッキーと手を取り合いながら。未来へと歩を進めていく。

　かつての私を受け入れられるだけの強さを得る為に、かつての私を包み込めるだけの優しさを手にする為に。かつての過ちを正す為の勇気を探しに。

　その途中でなら見つけられるかもしれない。その道中でなら、気付けるのかもしれない。

「やっぱり、せつなは最初からいたんだね……か」

　ラブが私にかけてくれた言葉の意味。ラブが私にかけてくれていた思い。ラブが私に伝えようとしていた、大切な気持ち。

　全てを理解できなかったとしても、今の私ならやり直せる。何度でも、彼女の隣で立ち上がることが出来るから。彼女の力になることも出来るから。私は、諦めない。幸せを投げ出したりしない。

　ここで輝く為に、あなたの隣にいる為に。この力に磨きをかけるわ。

　

――だから、もう少しだけ待っていて。