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2月14日 Stバレンタイン
そんな訳でバレンタインSSをUPです。今回は3本w
他の皆さんよちょっと早いかもしれませんが、はやて師匠に怒られないように頑張りましたよ~。
「フェイトちゃん、あーん・・・」
笑顔で差し出されるケーキ。
「あ、あーん・・・」
口の中にふんわりと広がるチョコレートの香り。ガトーショコラと呼ばれるそれは甘過ぎず苦過ぎず、ちょっと甘い不思議な味する。喫茶翠屋の2代目と目されていただけあって、なのはの作るケーキは絶品。
「はい、フェイトちゃん、あーんして」
恋人になったらやりたかったんだと、そうなのはは告げた。
食べさせてあげたり、食べさせてもらったりすれば幸せを感じられるはずなんだと。
「・・・あーん」
おそらくなのはの主張は正しいのだろう。
先程から、その・・・あーんてして食べさせてもらっていると胸が温かくなるように感じる。これがきっと、なのはの言っていた幸せなのだろう。
ただ、1つ問題があるとすればこの行為は非常に恥ずかしい。幸せだし、嬉しさでいっぱいになれるけど、外では出来ないね。
「まだまだあるからね。はい、フェイトちゃんあーんして・・・」
「あーん」
パクリ、と私が食べるたびになのはがとっても嬉しそうな顔をする。
いつもの笑顔とはまた違って、何だか優しい笑顔を見せてくれるのだ。
私達は恋人になったけど、まだまだお互いに知らない部分がある。今日のなのはの笑顔だって昨日までは知らなかった。きっと明日にはまた違った笑顔を見せてくれる。
そして私は、新しいなのはを見つけるたびに恋をする。なのはの事をもっともっと好きになる。もう、2度と離れられないぐらいに・・・。
ところで、私もなのはに食べさせてもらうのは嬉しいし、とっても幸せな事だ。
でもね、なのはの手作りケーキと、なのはにあーんして食べさせてもらうのと、なのはの笑顔が目の前にある。この三拍子が揃ってしまうとすぐにお腹がいっぱいになっちゃうから、1ホールも食べられないからね。
◇
多分、事の始まりは多分1週間前だったと思う。ちょうど私がなのはへの想いを書いた次の朝だったはず。
我が家の中でも料理上手なエイミィに先生役をお願いして、私はチョコレート作りの特訓に励んでいました。リンディさんも上手なんだけど、ちょっとね・・・。
お菓子を作るのは意外に難しく、湯銭やテンパリングなど聞いた事も無いような手順が待っていた。頑張れば美味しくできるよとエイミィは応援してくれたけど、中々上達しない。なのはの為にと意気込んでいた私だけど落ち込みそうになっていた。
そんな私の元にタイミング良く、可愛いなのはから電話が入った。
内容を要約すると、2月14日の学校帰りに翠屋に来て欲しいって事らしい。
勿論、なのはのお誘いならいつでも予定を空けてみせるけど、その日は私も大切な用事があったので2つ返事でOKした。
電話が終わって外を見るともう暗くなり始めていたが、元気を取り戻した私は再び難題に立ち向かった。
・・・お菓子作りを放り出して3時間ほど話し込んでしまい、エイミィを呆れさせてしまったのは別の話。
そして2月14日、学校でアリサやすずか、はやて達にチョコレートを渡しているなのはを見ながら内心ドキドキしていた。用事って何かな?
「フェイトちゃんの分は今日遊びに来てもらったときに渡すね」
なんて笑顔で言うのだから、ドキドキするなという方がおかしい。
それに、はやてが語るところによると、バレンタインは女の子が勇気を貰う日であり、恋人の日。
だから、女の子同士で恋人のなのはと私は今日何があっても許されるんや、と力説されてしまった。
その後は真っ赤になっている私の前で、いつも通りアリサが突っ込み、すずかが微笑んでいた。こうなる事が分かっていても主張するはやては大物なのかもしれない。。
ただ、いつもなら私と一緒に赤くなっているなのはが、今回は私を見て微笑んでいたのが印象に残った・・・。
そして学校からの帰り道、翠屋についてなのはのチョコを見たら怖くて渡せなくなると判断し、私はチョコレートを渡した。
「にゃはは、ありがとうフェイトちゃん」
渡すのにちょっとだけ勇気がいったけど、赤くなりながらお礼をの言ってくれたなのはを見ると、頑張って良かったなと思える。
◇
やっとケーキを食べ終わり、紅茶を飲みながら私はほっとしていた。あまりあの空間が持続するのは危険過ぎる。
昔と違って随分と我侭になってしまった私・・・なのはとキスをして以来いつ次のステップへ進むのかとドキドキしている。
「フェイトちゃん、貰ったチョコレート開けても良いかな?」
その手の上にあるのは私が贈ったチョコレートの箱。
「う、うん。どうぞ」
心拍数が急上昇していくのを感じながら応える私。その前で、嬉しそうに封を解いていくなのは。
リボンや包装紙を綺麗に取り外し、蓋をあける。それに合わせるかのように膨れ上がり暴れだす心臓の音。
なのはみたいに料理がうまくない私は1ヶ月程特訓をした。しかし、思った以上にお菓子作りは難しく、美味しいかどうか分からないチョコレートになってしまった。
でもね、なのはが大好きだって気持ちはいっぱいで、溢れるほどに込めた。だからそれを感じてもらえると嬉しいんだけどな。
「わ~、可愛いね」
そう言ってなのはが取り出したのは一口サイズのチョコレート。
ハートの形に固めてビターとホワイトを入れたけど・・・ちょっと歪んでいて正直可愛いかどうかは微妙。
「ごめんね、なのは。頑張って作ったんだけど・・・その・・・こんなのじゃなのはのとは釣り合わないよね・・・」
情けない事に最後の方はボソボソと言ってしまい、殆ど言葉にならなかった。うぅ、さっきとは別の意味で恥ずかしい・・・。
「そんなことないよ、フェイトちゃんが私の為に作ってくれたんだもん。それに私を想う気持ちがいっぱい詰まってて嬉しいよ」
そう言って、ふわりと私を抱きしめてくれるなのは。
もぅ、どうしてそんなに優しいのかな・・・。離れたくなくなっちゃうよ・・・。
「え?」
そのままずっと抱き合っていたかったけど、急になのはが離れてしまった。
思わず目の前の温もりを求めた私を制したのはなのはの手だった。
尋ねようと顔をあげると、真っ赤になってうつむいていた。
「あのね・・・フェイトちゃん。私ね、今でも十分に幸せなんだけど―――我侭を言っても良いかな?もっと幸せになりたいんだ・・・」
消え入りそうな声でつぶやいている。
いつも元気いっぱいに飛び込んでくるなのはだから、こういった表情をなかなか見せてくれない。
それに・・・
「大丈夫だよ。我侭だなんて言わないで。私になのはのお願い聞かせて欲しいな。出来る事なら何でもするよ・・・」
私は誓ったのだ。なのはを・・・私がなのはを幸せにしてみせると。だから、なのはのお願いを聞かないなんてありえない。
「で、でも、もしフェイトちゃんが嫌なら我慢するけど・・・」
「あはは・・・、まだお願いも聞いてないよ?」
我慢する必要なんてないし、どんな時でも前向きななのはらしくない態度だ。熱でもあるのだろうか?
「あ、あのね。その・・・チョコレートをね・・・」
「うん、チョコレートをどうするの?」
「フェイトちゃんにチョコレートをね・・・。食べさせて欲しいの・・・」
ちょっと、拍子抜けした。私より大胆ななのはの事だから、もっと・・・その大変な事をお願いすると思っていたのに。
それに、さっきなのはが食べさせてくれた時私も嬉しかったし、何よりも幸せを感ることが出来た。だから、私がなのはに食べさせてあげても幸せになれるはず・・・。
「それぐらいなら良いよ?さぁ、なのは口を開けて・・・」
◇
私の我侭を快く聞いてくれたフェイトちゃんはチョコレートを差し出してくれた。思っていたのとはちょっと違ったけど、嬉しい。
「はい、なのは、あーんして」
「あーん」
つい嬉しくなってパクンと口を閉じた時、勢いあまってフェイトちゃんの指まで食べちゃった。せっかくなのでそのまま舐めてみる。
頭から湯気が出てきそうなぐらいに真っ赤になっているフェイトちゃんには悪いけど、とっても美味しかった。
私より恥ずかしがり屋なフェイトちゃん。今は人前ではキスなんてさせてくれないし、抱きつくける事も少ない。フィトちゃんは満足しているみたいだけど、はっきり言って物足りない、私はもっと近くに居たいし、いちゃいちゃしたい。だから、今日はもう少し・・・後少しだけ我侭でいよう・・・。
決心を固めた私は、次のチョコレートを摘んで差し出そうとしたフェイトちゃんを遮って口を開く。
焦っちゃだめ、手順を間違えないように、タイミングがずれないように注意しないと。
「フェイトちゃん」
ちゃんと相手の目を見て―――
「なのはね、もう1個お願いがあるんだ」
自分の想いを口に出して―――
「あのね、チョコレートを」
きちんと伝えるんだ―――
「口移しで食べさせて欲しいな」
ボンッて音が聞こえたような気がする。私の我侭にフェイトちゃんは再び真っ赤になり俯いてしまった。
そのまま沈黙は続いてしまったけど、私は答えを促そうとは思わなかった。ここでもう一押しする事は簡単だけど、これは2人の意思で進まないといけないんだ。
私だけが先に行っても、フェイトちゃんだけが後ろに居てもだめ。2人で前を向いて一緒に歩いていかないといけないんだ。
「いいよ・・・」
「え?」
沈黙を破ったのはフェイトちゃん声。でも、私は一瞬何を言われたのか分からなかった。いいよ・・・?
「なのはの、お願いなら聞いてあげたいから、その・・・私がなのはを幸せにしたいから」
真っ赤でどこか落ち着きの無い顔。きっと今でも恥ずかしさと戦っているのだろ。
「わ、私が口移しで、なのはに食べさせてあげるよ・・・」
それでもちゃんと前を向いて、笑顔で私の目を見つめながら言ってくれた。
「フェイトちゃんっ」
そこで私の我慢に限界が来てしまった。もうダメだ、可愛すぎる・・・。
実は、気のまで夜遅く今日の為に、計画を立てていたのだけど―――やっぱりなのはも子供です。大好きな人の可愛い姿を前にしたらそんなのどこかに飛んで行っちゃいました。
「ちょ、ちょっとなのは。抱きついたら食べさせて上げられないよ?」
「ん~、フェイトちゃんが可愛すぎるのでチョコレートは後にします」
キスもいいけど・・・私はこうやって抱きついているのが一番好き。全身でフェイトちゃんを感じて、全身で大好きだよって伝えられるから。
「うぅ・・・私が必死に頑張ったのはどうなるの?」
「うん、だから頑張ってくれたフェイトちゃんにもご褒美です」
だけど、キスだって好きだから止めるつもりは無い。
「え?ご褒美ってな・・・んむ」
喋りかけていたフェイトちゃんの唇を塞ぐ。それからさっきまで口の中にあったチョコレートを流し込む―――。
「・・・ん・・・・ちゅ」
逃がさないようにしっかりと抱きしめて流し込んで、そのまま口の中を嘗め回する。歯や舌、ほっぺたの内側など触れた場所がビクッと反応して可愛いくて、愛おしい。そして、何よりもこうしている事が幸なんだ。頭の中だって何だかぼうっとしてくる―――
この後フェイトちゃんは気絶してしまって、翌朝帰宅するのことになっちゃいました。でも、一晩中恋人の温もりを感じられていたので、なのは的にはOKとします。
それから、フェイトちゃんに貰ったチョコレートはとても美味しかったです。
・・・でも、来年からチョコレートはいらないかもしれない。
だって、私にはもっともっと甘くて、愛おしい恋人がいるから―――
相変わらずグデグデですが・・・。
なのはとフェイトには幸せになって欲しいものです。うん、ハッピーエンドが一番だよねw