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涼香さん、局ラジファイトですよ~☆
やっと更新です
(´;ω;`)ウッ…
すずアリに「足跡2つ」を追加~
ほのぼのを目指したんですが…あれ?
お暇な方はどうぞ~
「うぅ・・・寒いわ」
今日はアリサちゃんとお買い物。しっかりエスコートしなきゃと意気込んでいたけど、彼女の一言でこけそうになった。
これから出発って時にそれはないよ~。
「えーと、手袋はどうしたのかな?」
寒そうに手をこすりあわせている彼女。だけどその手には手袋をしていなかった。なくしちゃったのかな?
「慌てて出てきたから忘れたのよ。何よ、文句あるの?」
恥ずかしそうにそっぽを向きながら言う彼女。・・・少しご機嫌斜めみたいだね。
「別にのんびり出てきても良かったんだよ?」
そんなに慌てなくても良いのに。私、待つことにはなれてるから。
「遅刻するなんてみっともない真似、このアリサさんには出来るわけないでしょ」
「みっともなくなんかないよ?アリサちゃん寒そうだし、取りに帰った方が・・・」
「良いのよ!今から取りに戻るなんて、面倒だわ」
も~、鼻のてっぺんまで赤くして、必死にならなくてもいいのに。・・・トナカイさんみたいだよ?
「それなら、私の手袋を貸してあげるよ」
このままじゃ見ている私が寒いし、ちょっとでも温かくして欲しかった。
「・・・いい。いらない」
そう思って提案したんだけど、あっさりと却下されちゃった。
「温かいよ?」
何で、遠慮するのかな?
両手が真っ赤になっちゃってて、とっても痛そうだよ?
「だって、アタシが使ったらすずかが寒いじゃない」
「でも、このままだとアリサちゃん風邪引いちゃうよ?」
王子様がぬくぬくとしてて、お姫様が寒い思いをしているなんておかしいよ。それに、アリサちゃんが寒そうにしてると、私もなんだか寒くなってくるの。
「ふん、アタシが寒くても、すずかは寒くないんだからいいでしょ?」
「えーと、確かに私は寒くないけど・・・」
そういう問題じゃないと思うんだけどなぁ。私が温かくても、アリサちゃんが寒かったら意味ないよ。
「アリサちゃんの手、真っ赤になっちゃってるし、見てる私も痛いんだよ」
薔薇のように綺麗に染まっているけど、鑑賞している場合じゃないよ。もしかしたら、霜焼けになっちゃうかもしれない。
「寒いのを我慢しなくてもいいのに・・・」
「べ、別に我慢なんかしてないわよ。今日は手袋をしたくない気分なのよ」
こんな寒い日に手袋をしたくないなんて、そんなわけないよ。どんなに元気でも、どんなに頑張っても、寒いものは寒いんだから。私の前でまで、無理しなくていいよ。
「良いの!アタシは冬の寒さなんかには負けないわ!」
・・・失敗しちゃった。あせちゃったのかなぁ。こうなったら、私の言うことなんか全然聞いてくれないって分かっているのに。
「アリサちゃんがそう言うなら良いけど・・・大丈夫?」
結局私は心配することしか出来なくなる。
今日は風も強いらし、時々突風みたいなのが吹いている。
手袋をつけていない私でも、指先がしびれるような感じがするのだから、彼女は痛みを感じているかもしれない。
それを物語るかのように、彼女の綺麗な顔が歪んでしまっている。これ以上は見ていられないよ!
「アリサちゃん、どうしても手袋つけてくれないの?」
「何度も言っているでしょ?」
「でも、寒そうだよ・・・」
私から隠すように、見えないようにしているけど、その手は冷え切ってしまっているはず。冷たくて痛くて・・・辛いはずなのに。
私と一緒に居るのに、アリサちゃんが我慢しちゃってる。これは、見逃すわけにはいかないよ。
「どうしてもダメなの?」
「何度も言わせないでよ。アタシは寒くないの!」
意地っ張り・・・。
「ん~、それなら私も手袋外そうかな」
彼女が意地を張り続けるというなら、私はそれを崩そうと努力するだけ。負けないからね、アリサちゃん。
手に触れる風の冷たさに驚いたけど、両手から手袋を外す。すぐにでもポケットに入れて暖めたいけど、それじゃ意味ないよ。
「な、何してるのよ!」
「アリサちゃんとお揃いになっただけだよ」
自分が耐えるのは平気なくせに、私がこんな行動に出るとすぐに動揺する。心配してくれるのは嬉しいけど、それだけじゃ駄目だよ。
「やっぱり寒いね」
当然の事を今更のように確認し、彼女の心配をあおる。
本当はこんなやりかたしたくないんだけど、アリサちゃんがどうしても言うことを聞いてくれないなら、やるしかないよね。
「わざわざ寒い思いをして馬鹿じゃないの?」
アリサちゃんが少しだけ笑ってくれた。ただそれだけなのに、私の心にかかっていたカセが外れ、ちょっと大胆な行動にも出たくなる。
「うふふ・・・アリサちゃん1人、冷たい思いをしているのは可愛そうだもん。それにこうすれば2人共寒くないよ」
彼女の手を包み込み、素早く自分のポケットへと導く。これでいい感じ。
「ね?これで2人共温かいよ」
アリサちゃんの手はまるで氷のように冷たいよ。も~、こんなになるまで我慢してちゃ駄目だよ。
「な、なにするのよ!」
「駄目だよ、アリサちゃん。ちゃんと入れておかないと寒いでしょ」
じたばたと暴れるアリサちゃん。彼女が動きまわるたびに、隙間から風が入ってきて、ちょっと冷たいなぁ。
恥ずかしいかもしれないけど、絶対に離してあげないよ。
「アリサちゃんの手が外に出ちゃったら、私が寒いの。だから、少しアリサちゃんの手を貸して欲しいな」
私の我が侭。
そうすれば、アリサちゃんだって大人しくしてくれるはずだよね。
「そうなの?だったら仕方がないわね。すずかが寒いなら、アタシの手を貸してあげるわよ」
「ありがとう、アリサちゃん」
―――大成功だね。アリサちゃんの顔が赤いけど、熱でもあるのかな?
それとも・・・
「・・・りがと」
「アリサちゃん、何か言った?」
風が吹いてて聞き取れなかったけど、彼女の口が少し動いていた気がする。
「な、なんでもないわよ。もう、寒いんだからしっかりと握ってなさいよ!」
「うん、分かったよ」
雪が降る街。白く彩られた道を2人で歩く。
寄り添うのはアリサちゃんと私。向かう先は暮れる空と、地上の輝きが響きあうコンサートホール。
ちょっとビルが邪魔かもしれないけど、とっても素敵な雰囲気。風がピューピューと吹いていてとっても寒いけど、私達2人は気にしない。
心と心がつながっているような、そんな温かさが伝わってくる気がしちゃう。ほんわり、ふわふわ・・・今にも飛ばされちゃいそうな柔らかさ。
でも、このまま歩いていけるんだ。つないだ手を離さずに、ずっとずっと隣で、彼女と一緒に・・・。
アリサちゃんて温かいな―――
・・・舌を噛んでしまって痛いです