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雨が降ったり、やんだり
仙台はそんな天気でした
(・w・) 面倒ですなぁ
すずアリ テーマ:寝起き です
夢から覚めて、また夢の中へ。眠っていても、起きていても夢の中にいる。
そんな、不思議で幸せな生活は、何年続いているのだろう?
目を開けば大好きな人の寝顔、目を閉じれば今までの幸せな記憶が迎えてくれる。
ちょっとだけ早起きして、こっそりとアリサちゃんの寝顔をうかがうところから、私の1日は始ります。
カーテンの隙間から洩れる光だけでは不十分で、暗がりの中でアリサちゃんをみるチャンス。
アリサちゃんの部屋に染みついている甘い匂いは、私の鼻をくすぐりつづけ、幸せな気分へと導いてくれる。
私と彼女の居場所。抵抗なく私を受け入れてくれる場所。
「幸せだね……」
思わず口からこぼれたのは、素直な感想だった。
前ほど騒がしくなることもなく、危機感すら薄れている現状。それは良い状態なのか、悪い状態なのかも分からない。
ただ、アリサちゃんが私の為にと、身を引こうとすることがなくなったのは、大きな変化かな?
私達は2人共がそれなりにお金を持っている家に生まれた。
我儘が許されて、それでいて必要なことを教え込まれる環境。人の上に立つこと、人を率いる立場になること、他人の人生にまで責任を持つこと。
正直なところ、ちょっと重たいなって思う部分もある。別に私が継がなくてもどうにかなる、なんて思ったこともある。
だけど、それは間違いだったの。
私達は家族の稼ぎで生きてきた。
子供だから気にしなくて良いとか、まだ早すぎるなんて言われても、それは事実だから。
それに、この関係を続けようとすれば、必ずぶつかってしまう壁だから。
だから、私達は早めに考えることにした。
このまま2人でいられる方法を。恋人として、居続けられる方法を。
時には逃げ出したくなることもあった。
幸せになれる方法を探しているはずなのに、幸せになる為に努力しているはずなのに。探し当てる結果に、明るいものはなかった。
10年や20年なら良いのかもしれない。それくらいの時間であれば、確保する手立てはいくらでも見つかった。
だけど、結婚というものを考えた時、それが現実となりそうな年齢になった時。私達にはどうやって対処すれば良いのか分からなかった。
私はアリサちゃんの恋人で、アリサちゃんは私の恋人。友達として付き合うのなら、結婚もなにも関係ないのだけど。
――もう1人、誰かを愛さなくてはいけない。
私達は同姓で、女の子。
重くのしかかる現実は、払いのけることが出来なくて、私達の心を圧迫し続けた。
アリサちゃんと私は愛し合っている、だけどそれだけでは許されない。
愛し合っていても、他に好きな人がいなければいけない。
感情の伴わない、愛のない浮気を強制される状態。
それを突き付けられた時は、2人して泣いたんだ。私達が一緒にいられない理由に、2人で泣いた。
傍にいて、触れられる距離にいたのに、お互いの心が遠く感じられたの。
打開策が見つからなくて、重たい気持ちを引きずる日々だけが続いたある日、私達は気づいた。
私達が結婚を迫られる状況というのは、世間体によるものであって、私達の心が離れてしまった結果ではないと。
結婚という選択肢を打開するのは難しいけれど、選択肢自体を消してしまうのは難しくないって。
私達がどれだけ愛し合っているのかを、見せつければ良い。
誰かが入り込む余地なんてないと、思い知らせれば良い。
その上で、反対する人が現れないように、節度を持って綺麗な付き合い方をすればいいんだって。
ちょっと疲れるかもしれないけれど、これが最大の妥協案だと思うから。私達が考え付いた最善の策だったから。
いつまでも傍にいる為に、必要な努力であれば私達は惜しまない。
それが幸せになる為の手段でもあり、幸せであることの証でもあるのだから。
私も、アリサちゃんに負けないように頑張るからね。
――もう少し、眠ろうかな