アリサさんの事情 - 雨の降る日に

「わ、私とフェイトちゃんは･･･こ･･･恋人になりました！」
みんなでお弁当を食べ終わり、今日は何を話そうかと悩んでいたらなのはが真剣な顔をして立ち上がった。
大事な話があるからみんなで屋上に来て欲しい･･･そう言われて着いていった第一声がコレだったりする。
真っ赤になりながら報告するなのはと手を握ったまま俯いているフェイト。
今まで何度か仲が良すぎる事はあったけど･･･まさか正式につきあっていたとは侮れないわね。
「おめでと、なのはちゃん、フェイトちゃん」
「いや～、いつ発表するんか楽しみにしとったで～」
素直に祝福するすずかに待ちかねていた様子のはやて･･･って知ってたなら教えなさいよね。
「ま、とりあえずおめでと」
２人とも幸せそうだし、女の子同士という事を差し引いてもお似合いのカップルだと思う。
でも、だからといって･･･
「な、なのは。そんなに大きな声で言ったら恥ずかしいよ･･･」
「え･･･でも･･･みんなに知っておいて欲しかったんだもん。フェイトちゃんは私のものだよって･･･」
「なのは･･･」
「フェイトちゃん･･･」
ここは学校で今は昼休み、当然ながら他にも屋上には人が居る。
その注目を浴びながら見詰め合うのは止めなさい、見てるこっちが恥ずかしいから。
ちょっと羨ましいけど･･･。
「なのはちゃんもフェイトちゃんもここで熱うなったらあかんで、まだお昼や。お楽しみは夜までとっとき」
「は、はやてちゃん私達別にそんなつもりじゃ･･･」
「そ、そうだよはやて。それに夜って･･･私達まだ小学生だよ？」
更に真っ赤になって照れているなのはとフェイト。
はやて突っ込むところ間違えてるわよ･･･。
「何言ってんのや、愛し合うのに年齢は関係ないで？そやから２人ともきにせず」
「どっかのエロオヤジかあんたは！」
さっきので終わりだと思った私が甘かった。とりあえず叩いておいたけど･･･まだ油断なら無いわね。
「はやてちゃん、大丈夫？」
「放っときなさい」
「で、でも･･･」
まったく、そんなはやてなんて心配しなくて良いのに･･･まぁ、そんなすずかも可愛いけど。
「そのうち起きてくるわよ。ほら、２人もいつまでも赤くなってないで戻るわよ」
私は床とキスをしているはやてを放置して校舎へと戻る。
ちょっとだけ気になったから後ろを見てみたら、慌てて追いかけてくるすずかと手をつないで嬉しそうに駆けて来る恋人達の姿があった。
何だか悔しい･･･。

　　　　　　◇

ちなみにはやては休憩時間が終わる頃にひょっこり帰ってきた。丈夫な子だ。
「でも、なのはちゃんもフェイトちゃんも幸せそうだったね～」
でも、現在私を悩ませているのはあの２人の事ではなく、もちろんはやてでもない。
「はぅ･･･いいなぁ。もうキスとかしたのかな。ね、どう思うアリサちゃん？」
目の前の夢見るお姫様のことだった。
どうにもあの２人に感化さえてしまったらしく、昼間からずっとこの調子だ。
「あれだけで赤くなる２人にはまだ無理でしょ。ほら、すずかぼ～っとしてないで行くわよ」
「ま、まってよアリサちゃん」
塾の前に空き時間ができて２人で買い物、それなのになのは達のことばっかり。何だか釈然としないわね。
「急がないと塾の時間になるわよ。･･･仕方ない、ちょっと手だしなさいよ」
「え？手つなぐの･･･」
「何？すずか嫌なわけ？」
「そんなことは無いけど･･･ちょっと恥ずかしいかなって」
昼にあんな光景を見せられたせいか、いつもよりも緊張して無愛想だったかもしれない。
それに、この表情だ。すずかのこの恥ずかしそうにはにかむ顔が私をダメにする。
私をどんどんすずかから離れなれなくするんだ。
でも、私にはなのは達と違って告白する事は出来ない。
今のこの関係で満足している、満足するしかないんだ。
「アリサちゃん、ちょっと早いよ」
いつまでもすずかの手を引いてあげることは出来ない。
だって、２人とも親が経営者だし、お金もある。
女の子同士だと結婚は出来ない。どんなに努力しても変わることはない。
それにすずかは王子様を待っているお姫様なのだ。
だから、すずかに王子様が現れたら笑って祝福してあげなくてはいけない･･･親友としておめでとうって言わなければいけない。
そして、私はその時に初めて失恋することが出来るだろう･･･。
すずかがもし私を好きで居てくれたら･･･いや、止めておこう。未来を変えることは出来ないのだ。
でも、今は･･･せめて今だけは手をつないでいたい。

いつか来る別れの時まで、この夢の中に居させて下さい―――

アリサのしゃべり方が変だ！と思われた方いましたら拍手からでも指摘お願いします。私にはコレで限界でした(他力本願
さて、次はなのフェイがいけるはず～。

そろそろキスでもしてもらいますか・・・相談役、そこのところどうでしょう？
「うちに聞くな！」　　　　Σ(￣д￣ノ)ノ　ｵｺﾗﾚﾀ

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