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ここは「魔法少女リリカルなのは」の2次SSをメインとしています。 ※ 百合思考です。 最近は、なのは以外も書き始めました。
ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
プロフィール
HN:
らさ
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/07/28
趣味:
SS書き・ステカつくり
自己紹介:
コメントを頂けると泣いて喜びます。
リンクフリーです。
ご報告頂けたら相互させて頂きます。


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yakisoba_pan◇hotmail.co.jp
◇を@に変えて下さい
当ブログ内のSSは無断転載禁止です。 恥ずかしいので止めて ^^;
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クリスマスだーイヴらしいけど、かんけーねー!
未だに違いが分からない、そんな私です
はい、理解するつもりがありませんね☆]
 
それは良いとしてクリスマスSSのうpですよ
今回は けいおん! 梓×紬 であります
意外と苦労しましたYO

言葉で伝える想い行動で伝わる気持ち
貴方の大切な人に、伝えましょう

「メリークリスマス、梓ちゃん。今日はきてくれてありがとう」
「メリークリスマスです、むぎ先輩。本日は、お招き頂きありがとうございます」
色鮮やかに飾られた店々。どこを向いても、賑やかで楽しそうな雰囲気。季節は冬で、雪が舞うことさえあるのに、街は活気に溢れている。
そんな中、私とむぎ先輩にもクリスマスが訪れていた。
それ自体は珍しくはなく、いつも通りだけど。ただ、いつもの違うのは、軽音部のみなさんも、家族もいないこと。
むぎ先輩と2人だけ。恋人だけで過ごす、クリスマスであることです。
「うふふ。私、今日が楽しみで眠れなかったの」
「楽しみにしてくれたのは嬉しいですが、ちゃんと寝て下さい。その内、倒れちゃいますよ?」
笑ってくれるのはいつものことで、私を困惑させてくれるのもいつものこと。
ほんと、むぎ先輩は不思議な人だなぁ。
優しくて、温かくて、傍にいると安心出来て。
それなのに、全てを知ることは出来ない。傍にいるのに、分からなくなってしまうことがある。
「大丈夫よ。だって、倒れたら梓ちゃんが看病してくれるでしょう?」
前は、その分からないことに恐怖を覚えた。
好きな人のことが分からない。むぎ先輩が何を考えているのか、分からない。
それに恐怖を覚え、私自身が混乱してしまった。
「それは、そうですけど。私は、むぎ先輩の身体が心配です」
分からないの自体は今も変わらないし、少しだけど恐怖も残っている。
けど、それでも良いと思えるようになったから。分からないところも、不思議なところも、全てむぎ先輩の魅力だから。
少しずつ引かれながら、もっと好きになれば良い。
「梓ちゃんの傍にいられるなら、ちょっとくらいの無理は平気よ」
大好きな人の傍にいられる。一緒の空間にいて、一緒の時を過ごして、お喋りしてる。
それが1番大切なことなんだって、気付けたから。
「私は傍にいますよ、むぎ先輩の隣にいますから。だから無理はしないで下さい」
隣にいて、むぎ先輩を支えていけば良い。
隣にいて、むぎ先輩に知ってもらえば良い。
「うふふ、冗談よ。梓ちゃんが悲しむようなことはしないわ」
「……そういう問題ではありません」
考え方を改め、分かっていたはずなんだけど、むぎ先輩は難しい。
本気で言っているのか、冗談なのか区別がつかない。
「それに、私って意外と丈夫なのよ? 力だって強いし、ね?」
本気ですね? 今の、本気で言いましたよね?
むぎ先輩が倒れたなんてなったら、当然看病はしますよ?
早く良くなる様に、少しでも元気付けられるように努力しますよ?
「もぅ、倒れてからでは遅いんです。お願いですから、もう少し自分を労わって下さい」
けど、そうなる前に頼って欲しいです。助けてって、呼んで欲しいです。
むぎ先輩は1人じゃないんです。私がいるんですから。
「今日だって、こんなにご馳走を……」
何度言っても、聞いてくれませんね。
私は、むぎ先輩と一緒に何かをしたいのに。呼んでくれない。
私は、むぎ先輩だけに苦労して欲しくないのに。呼んでくれない。
「安心して、全部手作りだから。梓ちゃんに出す料理を他の人に頼ったりなんてしないわ」
「むぎ先輩、私の話聞いてました?」
それが、優しさであり、先輩の気遣いであることは知っています。
知っていて、それでも望んでしまうんです。助けたい、お手伝いがしたいって。
「聞いていたわ。大丈夫よ、無理なんてしていないから」
「けど、これ全部1人で作られたんですよね?」
「下ごしらえはしてあったから、3時間程で作れたの」
ほら、やっぱり。1人で、そんな無理をしたんですね。
むぎ先輩1人だけで、料理をしてしまったんですね。
「その、凄く嬉しいんですけど。今日は2人のクリスマスですよね?」
先輩と後輩ではなく、部活動の仲間でもない。
私達は、恋人として今日を過ごすのに。
「そうよ。だから、私が準備してみたの――もしかして、口に合わなかった?」
「そ、そんなことはありません。とても、美味しいです。美味しくて、温かくて。愛されているなって、伝わってきます」
先輩の優しさは嬉しくて、胸に染み込むようです。私の心に響いて、温かい気持ちにしてくれます。
それに甘えてしまいたい。先輩に甘え続けたい私がいるのも、事実です。
「うふふ、それは良かった。料理している間もずっと、梓ちゃんの笑顔を思い浮かべていたから。美味しいって、こんなふうに食べてくれる姿を想像していたから」
「それは嬉しいんです。嬉しいんですけど……」
それでもやっぱり、望んでしまいます。
むぎ先輩の隣に立っている私を、2人で笑いながら料理をしている光景を。
「私にも、手伝わせて欲しかったんです。2人のクリスマスだから、私も一緒に用意したかったんです。むぎ先輩と一緒に買い物して、一緒に料理したかったんです」
むぎ先輩、ズルいです。1人だけで作ってしまうなんて。
私だって楽しみにしていたのに。一緒に作って、一緒に食べるのを夢見ていたのに。
「あら、それはごめんなさい。私は、梓ちゃんに喜んで欲しかっただけなんだけど。1人で勝手に盛り上がっていたのね」
「そんなことはないんです。むぎ先輩がこうやって用意してくれたのは、確かに嬉しいんです」
少し、言い過ぎてしまったかな。
私自身の苛立ちを、むぎ先輩にぶつけてしまった。
そんなことをするよりも、先にすべきことがあるのに。何やってるのかな、私。
「けど、その、なんと言いますか。私はむぎ先輩の傍にいたかったんです。1人で待っているよりも、好きな人の傍で一緒に料理をしたかったんです」
「ごめんなさいね、梓ちゃん」
単純に喜んでいるだけでは、駄目。
我侭を言って、むぎ先輩を困らせているだけでは駄目。
この次につながるように考えて、幸せになれるように行動しないと。
「今度料理する時はお願いするかもしれないけど、良いかしら?」
「はい、喜んで。いつでも、呼んで下さい」
私も、むぎ先輩も、2人が幸せになれる未来を選ぶ。
そのお手伝いなら、私でも出来るはずだから。


     ◇


「むぎ先輩。ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした。おなか、いっぱいになった?」
むぎ先輩の手料理は、いつ食べても素晴らしいものばかり。
熱の強さや時間、そういったことにまで細かく気を配っているのでしょう。
一緒に料理をしたいなんてお願いしたけど、ちょっとだけ怖くなってしまった。
「はい、それはもう」
「そう、なら、良かったわ」
憂にお願いして、料理を教えてもらおうかな?
協力はしてくれそうだし、お菓子作りも教えてもらえるだろう。
そして、むぎ先輩に振舞えるだけのウデになって、びっくりさせたい。美味しいって、笑って食べて欲しいな。
「あ、そうだ。梓ちゃん、ちょっと待っててね?」
「え? あ、はい、どうぞ」
そんな想像をしている内に、テーブルの片付けが終わってしまっている。
うーん、せめて片付けだけでも手伝おうとおもったのに。
「はい、梓ちゃん。これ、クリスマスプレゼントなんだけど、受け取ってもらえるかしら?」
食後のまったりした時間。
確かに、プレゼントを渡すには最適のタイミングかもしれないけど、交換をするにはちょっとだけ待って欲しいです。
「ありがとうございます。えーと……はい、むぎ先輩。私からもクリスマスプレゼントです」
目当ての小箱をカバンから取り出し、何とかプレゼント交換をすませる。
ふぅ、こんなことなら最初から準備しとけば良かったなぁ。
「ありがとう梓ちゃん。とても嬉しいわ」
むぎ先輩に頂いたプレゼントは、一目で分かるほどの高級感が漂っている。
私だって結構頑張ったけど、どうしても見劣りしてしまう。
「いえ。その、気に入っていただけると嬉しいんですけど――あ、開けて見て貰っても良いですか?」
この箱を開けた後に、私のプレゼントを見てもらうのは、ちょっと無理。
むぎ先輩は気にしないのかもしれないけれど、私が無理。
「これは、ブローチかしら?」
「はい。むぎ先輩のイメージに合いそうな、明るい感じの物を選んでみたんですけど。如何でしょうか?」
私自身が感じている、むぎ先輩のイメージ。
それに合いそうな物を探して、お店を巡った。
アクセサリーを扱うお店では、いまいちイメージに合うものがなく。宝飾品店では、あまりの金額に逃げ出しそうになった。
あんな金額、絶対に無理です。いち高校生には出せません。
あちこち歩き、探し回った。少しでもイメージに合う物を、むぎ先輩に喜んでもらえる物を。
そして、手作りも考えていた時に、アンティークショップで見つけた。
「綺麗……」
ひまわりのような形をして、全体的にオレンジ色で彩られている。派手ではなく、それでいて地味でもない色使い。
じんわりと暖かくなれそうな、むぎ先輩のイメージに合うブローチ。
「その、ですね。むぎ先輩は私にとって、太陽みたいな人なんです。温かく包んでくれて、沢山の愛情をくれて。私を元気にしてくれる。そんな存在なんです」
暖かくて、優しくて、柔らかくて。私を包んで安心させてくれる。
そんな先輩には、このブローチが似合うはずだから。
「だから、むぎ先輩がもっと綺麗になるお手伝いができたら嬉しいなって。そう思って選んでみたんです」
「ありがとう、大切にするね」
この笑顔だけで、私は幸せになれる。さっきまであった緊張感もなくなり、先輩の笑顔を真っ直ぐに見ることが出来る。
喜んでもらえて、良かった。
「そうだ。私のプレゼントも、開けて見てもらえるかしら?」
私のプレゼントが終われば、次はむぎ先輩の番。
包装紙のデザインまで凝っていて、ちょっと緊張するなぁ。
「はい、失礼します。えーと、ネックレスですよね?」
「ええ、梓ちゃんにとても似合うと思うわ」
シンプルなのに、地味さはない。宝石がはめ込まれているみたいだけど、目立ち過ぎることもない。
曇ることも、鈍ることもなさそうな輝き。
うーん、流石むぎ先輩。センスが良いです。
「そう言って頂けるのは嬉しいですけど。私、子供っぽいところがありますから。まだ似合わないかもしれませんよ」
「そんなことはないわ。つけてみて、きっと似合うはずだから」
このネックレスに合うだけの、魅力が今の私にはない。私自身は、そんなふうに感じているのに。
むぎ先輩は、似合うはずだって言ってくれた。
うーん、言ってくれるのは嬉しいんですが、期待を裏切る結果になりそうで怖いです。
「どう、ですか? やっぱり、似合いませんよね?」
大人の女性こそが似合いそうな、ネックレス。やっぱり、私には早い気がする。
「うふふ、イメージ通りにぴったり。とても綺麗よ」
「あ、ありがとうございます」
似合っているのかな?
見劣りすることなく、私に似合うのでしょうか?
「ねぇ、梓ちゃん。その宝石の石言葉、知ってる?」
「やっぱり、宝石なんですよね」
簡単に買える物だとは思っていませんでしたが、やっぱりそうですか。
どうしよう。これ、傷付いたりしないかな?
「一応、ダイヤモンドよ」
「あぅ、そんな高価な物よろしいんですか?」
むぎ先輩にとっては、珍しい物ではないかもしれない。
けど、私にとってはどうすれば良いか、分からなくなる様な代物だ。
「私は梓ちゃんに似合いそうな物を選んだだけよ」
私に似合うのかな?
不安も大きいけど、むぎ先輩が似合っていると、そういってくれているし。これで良いのかもしれない。
それよりも、石言葉……何か、聞いたことある気がするけど。
「ダイヤモンドの石言葉ですか? えーと、勝利や純潔ですか?」
「うふふ、そうね。石言葉といっても沢山あるから、難しかったわね」
高そうで、輝きの強いダイヤモンド。
私の記憶が正しいなら、こんな感じの石言葉もあったはず。
「私から、梓ちゃんに送りたい言葉は『永遠の絆』よ」
「永遠の絆ですか?」
「そう、私の送りたい言葉。私から、梓ちゃんへの誓い」
永遠の絆。それは、この関係がずっと続くと思っても良いのでしょうか?
私は、ずっとむぎ先輩の側にいても良いのでしょうか?
「私は、梓ちゃんに恋をしています。大好きです、愛しています」
私も、むぎ先輩が大好きです。ずっと一緒にいたいです。
辛いことも多いかもしれませんが、それでも側にいさせて欲しいです。
「ずっと傍にいたい。抱きしめたいって、そんなふうに思っています」
「……面と向かって言われると、恥ずかしいです」
「うふふ。ごめんなさい」
むぎ先輩も、私も互いを思っている。だからこその言葉。
けど、恥ずかしいものは恥ずかしいですよ。
勿論、嬉しいですけど。真直ぐに先輩の顔を見れません。
「これから先、私達はどうしても離れなくてはいけない時期が来るわ」
さっきまでの雰囲気とは違い、辛い話をしている先輩。
その表情は硬く、先輩自身が受け入れたくないのが見て取れる。
けど、現実を見て、受け止めなければいけない。
これから先の関係の為にも、私達は逃げてはいけない。
「私の受験、大学への進学。梓ちゃんの将来の為の準備」
受験が迫れば、勉強だけの時間が増えてしまうでしょう。
デートは勿論、会うのだって控えないといけない。
それは分かっているし、私のせいでむぎ先輩が苦しむのは嫌だから、我侭は言いません。
「勿論、連絡は入れるわ。会える時は会って、デートしたいから」
先輩の大切な時期には、私が支えになれば良い。恋人なんだから、フォローさせてもらえば良い。
勉強を教えたりすることは出来ないけど、何か力になれることはあるはずだから。
「それでも、離れている間の寂しさは誤魔化せないと思うの」
「大丈夫です。私、むぎ先輩を信じてますから」
私は、信じ抜けば良い。
先輩は私を愛してくれている。私の愛を、受け止めてくれる。
そう信じていれば、寂しさなんて平気だから。
「不安になることもあるし、困ってしまうこともあると思うわ」
「困ってしまうこと?」
不安はつきものだし、慣れてしまえば良い。
けど、困ってしまうことってなんだろう?
「梓ちゃんは可愛いから、誰かから告白をされても不思議はないでしょ?」
告白? 私が?
可愛いから、告白されるの?
「えーと、褒めて頂けるのは嬉しいんですけど、複雑です」
そのシーンを想像しようとしたけど、無理。
むぎ先輩以外に告白されるのは、ちょっと遠慮したい。
「私だって嫌よ。梓ちゃんの恋人は、私なんだから」
むぎ先輩の恋人は私だけで、私の恋人はむぎ先輩だけ。
そんな当然のことが、ちょっと嬉しい。
「ごめんなさい。話がそれたわね」
けど、今はそんな話はしていない。
むぎ先輩の贈ってくれたペンダント。それに誓われる言葉。
その愛も、誠意も、重みも。全部、私が受け止める。
「傍にいられない私の代わりになるか、それは分からないけど。そのペンダントに私は誓うわ」
そして、同じように誓いたい。
言葉に出せなくても、言葉に出来なくても。私も誓いたい。
「私と梓ちゃんの絆は、永遠になる。私の心は、いつも梓ちゃんの傍にある。私の心は、梓ちゃんだけのものだって」
「そんな大切な約束。良いんですか?」
「当然よ。だって、私は梓ちゃんの恋人なんですから」
さらっと、重大な発言をしてくれる先輩。
えーと、私の想像よりも、ずっと大きくて思い約束ですよね?
――それ、プロポーズって言いませんか?
「なんだか私、むぎ先輩に貰ってばかりですね」
あまりにも大きな出来事に、私の頭は大混乱。ぐちゃぐちゃになってしまっている。
どう返事をすれば良いのか、どうやって応えるべきなのか、考えることも出来ない。
「恋人なのに、対等の関係になろうと思ったのに。いつも甘えてしまってごめんなさい」
それでも、むぎ先輩を求めている心は、とても穏やか。
少しだけ揺れたけど、私自身が驚く程に静かだ。
「そんなことないわよ。私は梓ちゃんから色んなものを貰っているわ」
「むぎ先輩はそう言ってくれますけど、このままは駄目だと思うんです」
きちんと応えなければいけない。
むぎ先輩の言葉に。むぎ先輩の愛に。私はきちんと応えたい。
「今日だって、恋人と過ごすクリスマスにして頂いたのに……料理はむぎ先輩任せ、プレゼントだって到底釣り合いが取れるとは思えません」
応えたい。応えたいけど、今の私では足りない。
むぎ先輩の思いに応えるには、今のままではいけないんだ。
「私、悔しいんです。甘えてばかりで何も出来ない、何も返せていない自分が嫌なんです。私だって、むぎ先輩を幸せにしたいんです。もっと笑顔でいてもらえるように、その為の努力をしたいんです」
変わらなきゃ。もっと素敵になるんだ。
変わらなきゃ。むぎ先輩の隣に、私は立つんだ。
「――っ、むぎ先輩」
格好悪くても良い。むぎ先輩が笑ってくれるなら、私はそれで良い。
「無理を言っているのは分かっています。迷惑にしかならないかもしれないのも、分かっているつもりです」
むぎ先輩を幸せに出来るのなら、それが私の幸せだから。
「それでも、お願いします。私に何か出来ることはありませんか? むぎ先輩を幸せに出来ることは何かないでしょうか?」
教えて欲しい。願って欲しい。
私に出来ることを。私だけに出来て、むぎ先輩の為になることを。
「私は、梓ちゃんが笑っていてくれるなら、それで嬉しいのだけど……」
嬉しいではなく、幸せにしたい。
中野梓が、琴吹紬を幸せにするんだ!
「うーん、そこまで言ってくれるなら、1つだけいいかしら?」
「はい、何でも言って下さい」
むぎ先輩の為に、我侭を言って欲しい。
私自身の為に、願いを叶えてあげたい。
「名前で呼んで欲しいの」
「名前、ですか?」
……そんなことで、良いんですか?
名前を呼ぶだけで、良いんですか?
「ええ、むぎ先輩じゃなくて、紬って呼んで欲しいの」
「先輩じゃダメですか?」
先輩は先輩だから、そう呼ばせてもらっていたけれど、嫌だったのかな?
みんなと一緒だから、嫌なのかな?
「ダメってことはないの。嫌ではないのよ?」
ダメではない。嫌ではない。
それでも、名前で呼ぶことに意味があるのかな?
「けど、先輩って呼ばれるよりも、名前で呼んで欲しいの。世界で1人だけ、私の恋人である梓ちゃんに名前で呼んで欲しいの」
どうして、こう恥ずかしいことを平気で言えるんですか?
私は、好きです、大好きですって言うだけで、真っ赤になってしまうのに。
「駄目かしら?」
「そんなことはありませんけど、良いんですか?」
「私が、そう呼んで欲しいの。梓ちゃんに、名前で呼ばれたいの」
それに、私は後輩なんですから呼び捨てはちょっと。
2人きりの時は良いかもしれませんが、学校では無理ですよ?
「えっと……つ、紬……さん」
「うふふ、ありがとう梓ちゃん」
むぎ先輩から、紬さんへ。ただ呼び方が変わっただけなのに、こんなにも違うんだ。
少し前に進んだような、なんとも言えない感覚がある。慣れるまで、時間かかるかなぁ?
「もぅ、そんなに笑わないで下さい」
「だって、さっきの梓ちゃん可愛かったわよ? ますます好きになっていくわ」
「うぅ……」

――やっぱり、紬さんには敵いませんね。

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