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はい、どうも らさですw
久しぶりの更新となります
(待ってた人は居ないと思うけど)
うん、お仕事に目処がついたのですぉ☆
消えろっ! 消えろっ! 消えてしまえ!
何度倒しても消えることのない強敵……くっ、どうしたらいいんだ?
出来るだけの手は尽くした。
それなにの、胸にわだかまったもやもやしたものも、頭に血が上りそうな感覚も消えてくれはしない。
考えるな! 何も考えちゃだめだ!
頭ではそう分かっているのに、僕の体はいうことを聞かない。
いや、シグナム副体長は綺麗だし、これが正常なのかもしれないけど……こんな事考えて良い筈ないんだ。
「ん? どうしたエリオ。そんな隅の方に行かずにこっちへ来たらどうだ?」
「あ、いえ……ぼ、僕はここが良いんです……」
「そうか? ……なら仕方あるまい、私がそちらへ行こう」
僕の言葉を聞いたシグナム副隊長は、事も無げに言ってこっちへと進んでくる……って、待って、こっちへ来ないで下さいよ。折角離れたのに。
あぁ、もう! 一歩進むたびに揺れていて、ぷかぷかと浮かんでいるそれが僕を惑わせているんです!
湯船の中にタオルを入れてはいけないのは分かりますが、少しぐらい隠してくださいよ。僕だって一応男なんですよ?
やっぱり、止めとけば良かったのかなぁ。
「お前も不思議なやつだな。こんな広い浴槽で、何もそんな端の方で小さくならずとも良いのに……」
「そ、それは分かっているんですけど……そ、その、えーとなんて言うか……」
清掃中と言う立て札さえなければ……いや、それ以前に僕がちゃんと断れていれば、こんなことにならなかったのに。
「ふぅ……お前もテスタロッサと同じなのか?」
「え? な、なんの事でしょう?」
さっきまでの穏やかな雰囲気とは違い、刺すような視線が僕を縫い止める。それに、フェイトさんと一緒って……?
「自分は普通に生まれていないから、自分はみんなと違うから……そんな事を気にして小さくなっているのではないのか?」
「べ、別にそんな事は……」
えーと、確かに僕はフェイトさんと同じようにプロジェクトFで作られたけど、今はそんな事気にしていない。
みんな良くしてくれるし、僕を避けたりしない。
一緒に行こう、一緒にいようって、笑顔で誘ってくれる。
「ふむ、違うのか。なら、なぜそのような端の方に、私から逃げるようにしているのだ?」
えーと、どう説明したら良いのかな? どう説明すれば誤解を招かなくて済むのかな?
素直に言っちゃえばいいのか、それともごまかさないといけないのか……僕には分からない。
で、でも素直になんて、シグナム副隊長のおっ……胸が気になって近寄れないなんて言えませんよ。
僕だって一応男なんです。
フェイトさんもキャロにも、スバルさん達すら未だに一緒にお風呂入ろうって言われるもんなぁ。そんなに頼りないのかなぁ。
「ふむ……折角だから筋肉のつき具合や、疲労の状態を確認しておきたかったんだが……だめか?」
「あ、えーと……はい、お願いします」
僕は何を1人で舞い上がってたのだろう。
相手はあのシグナム副隊長だ。いつでもまじめなこの人が、僕の考えているような馬鹿な事をするはずがない。
少し恥ずかしいけど、僕はシグナム副隊長と正面から向き合った。見てはいけないと分かっているけど……大きいなぁ。
「……ふむ、偏る事もなく平均的に鍛えられているな。スタミナは年の事もあるし、後々ついてくるだろう」
「は、はい。ありがとうございます」
褒められた。きっと今のは褒められたんだ。
日頃、厳しい訓練をつけてもらっているだけの成果が出てきているのかと思えば、自然と声が弾んでしまう。
「あくまでこのまま続ければ、の話だ。途中で投げ出さずに継続しろよ」
「了解しました」
そのままペタペタとあちらこちらを確認されるが、どこも問題はないのか満足そうにしてくれる。
怒られない事も嬉しいが、訓練をうまく吸収出来ている感じがして、僕は嬉しかった。
「ふむ……やはり悪くないな。私のやり方はただ打ち合っているだけで、何も教えられていないからな。剣と槍という違いもあるし、少し心配していたんだ」
「いえ、いつも僕なりに学ばせていただいています」
「ふん、生意気を言うな」
言葉とは裏腹に嬉しそうなシグナム副隊長、そんな様子に僕も嬉しくなってくる。
「ん~、あとはそうだな……すこし胸と背中の筋肉を鍛えるか」
「胸ですか?」
「そうだ。剣にしろ槍にしろ腕や手の力だけで持つのではなく、体全体で、肩や胸、背中などの筋肉で維持するものだ。スタミナに通じるところもあるが、長時間の戦闘にも耐えられるよう、鍛えるべきだ」
大きな事件は起きていないけど、これから何が起こるのかは分からない。JS事件を解決したからといって平和にはならない。
ちょっと寂しい気もするけれど、何が起きても大丈夫なようにしておくのは大切だろう。
「ふむ、戦いのスタイルもそろそろ確立しておくべきか……いや、変に型にはめてしまっては視野が狭まる危険性もあるし……」
これからの鍛錬に向け、気合を入れている僕の目の前ではシグナム副隊長が悩んでくれている。
ただ打ち合っているだけなんて言ってたけど、しっかりと僕の事を考えてくれていて何だか温かい気持ちに包まれる。湯船の中だし、上せてしまいそうだ。
それにしても、戦いのスタイルか……。
重たい一撃とか、複数人を相手にするのはあまり得意じゃないけど、スピードになら自信がある。僕の今出来ることとあわせて考えれば、一撃離脱と素早い突撃に絞る形になるだろう。
その上でスタミナも鍛えるんだろうから、結構大変だなぁ。
「僕に出来るかなぁ……」
でも、みんな頑張ってるんだ。僕だってやれるはずだ。
「槍のリーチを活かすのも大切だ。いや、だがリーチに頼ってスピードを殺してしまっては本末転倒。……ふむ、なんとか両立できないものか?」
シグナム副隊長、まだ悩んでくれているんだ。
初めなんて、届く位置まで行って斬れなんて言われたのに……ある程度教われるところまで成長できたって思ってもいいのかな。
――それにしても大きいなぁ。もしかしたら、フェイトさんよりも大きいかもしれない。
胸を抱えるようにして考え込んでいるし、かといって変に目をそらすのも変だし……どうすればいいんだろう?
ヴァイス陸曹ぐらいになれば気の聴く言葉でもかけられるんだろうけど、僕にはムリだ。
目の前で悩んでくれているシグナム副隊長を置いて、出るわけにも行かないし……その、こんなチャンスめったにないと思うし。
考え込んでいて気づいていないんだろうし、そもそも気にもしていないんだろうな。
それに、僕から誘ったわけじゃないし、女性を目の前にして目をそらすのも失礼なはずだし……失礼なんだよね?
後少しでピンク色のモノが……。
「エリオ!」
「は、はい! べ、別に変なことなんて考えていません!」
バレた!? もしかしてバレちゃった?
「ん? 自分の型について考えるのは変な事なのか?」
「あっ、い、いえ。その勝手なことしちゃダメかなぁって……」
どうやらバレてはいないみたい。
そもそも隠しもしていないんだし、見えたとしても不可抗力ですよね?
「変に意識してしまえば動きが鈍るが、戦闘においては有効となるだろう。まぁ、誰かのように勝手に暴走しない限りは問題ない」
「りょ、了解です」
思い出されるのはピンク色の光で撃墜されるティアナさん。シグナム副隊長だったら、レヴァンティンで斬りそうだし、あんなこと怖くて出来ないなぁ。
「まぁ、良い。ある程度の方針は決まった。明日からの訓練は少し厳しく行くぞ」
「はい、よろしくお願いします」
どのようなやり方で行くのか、その場で説明を受けたはずなんだけど、僕の頭には届いていなかった。
それを思い知ったのは訓練でボロボロになった後だった。
――あんなの反則ですよ