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らさは溶けそうです
真夏が心配です ><)
この前UPした
けいおん! 【梓×唯】黒い衝動
元はこんなのでしたw
ってのが今日のUPです
あずにゃん……変わりすぎw
「今日のおっかしはなぁにかなぁ♪」
ノリウム張りの廊下。騒がしい喧騒。
その中を抜けながら、私は上機嫌。
ムギちゃんの持ってきてくれるお菓子を食べて、みんなで練習して……これから始まるのはそんな放課後。楽しくないはずがない。
あずにゃんからちょっと早めに来て欲しいと、お願いされている以外いつも通り。
「……あずにゃんか」
憂と同級生で後輩の女の子。ネコミミが似合って、私よりギターの上手な女の子。
初めは意地を張って頑張っていたけど、最近ではあずにゃんに教えて貰ってばかりいる。
ミュートやビブラード、私の知らない音楽用語を沢山知っている彼女は、頼りになる先生。
とっても頼りになるのに……抱きしめると温かくて、柔らかくて、良い匂いがする。
なでなでしたらはにゃーってなるし、一生懸命な姿も可愛い。
「私、どうしちゃったのかなぁ」
ここのところ、暇さえあればあずにゃんのことを考えている。
何してるのかなぁとか、コレあずにゃんにも食べて欲しいなぁとか――
いつでも、どこでも、あずにゃんの笑顔を見ていたくなる。
「ううん、それは違うよね」
私はずにゃんの笑顔が見たい。でも、同じぐらいに困っている顔だって見たい。
泣いている顔だって見たいし、怒っている顔だって見たい。
笑っている声だって聞きたいし、涙も見てみたいような気がする。
あずにゃんの全てが見てみたい。でも、何で見たいのかが分からない。
「そっか、あずにゃんに聞けば良いんだ」
あずにゃんのことで悩んでいるんだし、きっと相談に乗ってくれるよね。
「よっし、そうしよう♪」
軽くなった心を躍らせ、私は階段を駆け上がった。
◇
「あずにゃん、来たよー」
勢い良く音楽室の扉を開け、私は中へと入る。
部屋の真ん中には、なんだかそわそわしているあずにゃんが1人。長い髪を揺らしながら待っていた。
「あっ……唯先輩、呼び出したりしたりしてすみません」
私に向かってペコっとツインテールが下がる。
ん~、なんだかいつもと様子が違う?
「そんなの気にしなくて良いよぉ。ところで用事って何かな?」
『放課後お話したいことがあります。早めに音楽室に来てください。』
授業中、珍しくあずにゃんから届いたメール。そこにはお願いが1つだけ書かれていた。
――あずにゃんがメールをくれた。
その嬉しさに、何も考えないままOKと返信。話の内容が何かもまったく考えていなかった。
だからかな?
あずにゃんの言葉が分からなかった。
「私を受け入れてくれますか?」
思いつめたような表情で聞いてくる彼女。
でも、受け入れるって何をだろう?
あずにゃんを受け入れる? どんな風に受け入れるの?
「唯先輩! 私、もう我慢できないんです!」
受け入れる? 我慢できない?
あずにゃんは何を言っているのだろう?
そんなこと言われても、どうすればいいのか、どうしたらいいのかが分からないよ。
「唯先輩!」
「え? きゃっ!」
胸に走る衝撃と、背中に走る衝撃。
あれ? 何であずにゃんに抱きつかれているの?
意外に強く抱きつかれていて、結構痛い。
でも……
「んっ……止めてください」
やっぱり頭を撫でてしまう。
すぐ手の届くところにあるし、気持ち良いから仕方ないよね?
「唯先輩……」
私をじっと見ているあずにゃんの顔が赤い。もしかして、熱でもあるのかな?
だから、いつもと様子が違ったのかな?
「私、唯先輩が好きです」
真っ赤な顔で何を言うのかなと思ったら……ホント、あずにゃんは可愛いなぁ。
「私もあずにゃんの事好きだよ?」
きっと彼女が求めているのは、コレ――花が咲いたような笑顔を見せてくれるはずだったのに。
「やっぱり、そうなんですね」
それなのに、見せてくれたのは涙。
あれ? どうしちゃったのかなぁ。
「やっぱり、唯先輩は好きって言ってくれるんですね」
「うん……私、あずにゃんのこと好きだし……」
混乱している私を置いて、腕の中に居るあずにゃんの目が厳しくなってくる。
うーん,なにか悪いこと言っちゃったかなぁ。
「唯先輩が好きって言ってくれるのは嬉しいです。でも、嬉しくありません」
嬉しいのに嬉しくない?
「唯先輩の好きは、皆さんが好きなんです。私だけを見てくれていません。私は特別ではありません」
あずにゃんだけど見る……。
あずにゃんだけが特別……。
「私は唯先輩だけなんです。唯先輩だけが好きなんです」
難しいよ。誰か1人だけを特別扱いするなんて。
無理だよ。あずにゃんだけを見続けるなんて。
「なんで分かってくれないんですか!? なんで私だけを見てくれないんですか!? 私はこんなにも好きなのに!」
涙を流しながら訴えてくる彼女。
小さな体から発せられているとは思えない叫び。
そして、何よりもまっすぐな言葉が私を貫く。
「どうして!? なんで私じゃ駄目なんですか!? 私は、私は……」
「あずにゃんもう良いよ。もう良いよ。もう、良いんだよ!」
見ていられない。こんなに傷ついた彼女を、見ていられない。
そう思った時には、私は彼女を抱きしめていた。
「あずにゃんが私を好きになってくれて、それ苦しんでいるのは分かったよ。分かったから、もう、自分を傷つけるのは止めて!」
悲しいよ。何であずにゃんが苦しまなきゃいけないの?
苦しいよ。どうして泣いているあずにゃんの姿は私を苦しめるの?
「唯先輩……」
腕の中のあずにゃんは震えている。
彼女を慰める言葉は分かるけど、それは本物なのかな?
私はあずにゃんを……梓ちゃんだけを愛せるのかな?
「分からないよ」
あずにゃんのことは好き。
だけど、それはみんなと違う好きなのかな?
みんなのことも好き。
あずにゃんだけが特別なのかな?
「ごめんね。私、バカだから」
「唯先輩?」
告白の返事だとしたら、最悪。きっと、人としても駄目なんだと思う。
でも、仕方ないよね?
だって、分からないんだもん。
「私、分からないんだ。あずにゃんのことを愛しているのか、分からないんだ」
呆れられるかな? 怒られるかな?
あずにゃんの返事が怖くて、私は耳を塞ぎたくなった。
怖いよ――
◇
「仕方……ないですね」
「え?」
「唯先輩がこんな人だと知ってて、私は好きになっちゃったんですから。まぁ、それぐらい我慢します」
あずにゃんの言っている意味が分からなくて思わず聞いてしまう。
「怒らないの?」
「怒ってすむ問題でもないですし、怒りませんよ」
怒られると思っていたのに、私を見つめているあずにゃんは笑顔だった。
「でも、勘違いしないで下さい」
うわ、あずにゃん顔が近いよ。
それに、息がかかって少しくすぐったい。
「私は諦めませんから。絶対に振り向かせてみせます」
「え? ええっ?」
振り向かせるって……私を!?
「覚悟して下さい。可愛い後輩の告白を保留にしたこと絶対に後悔させてあげますから。片時も私から離れられないぐらい、メロメロにしてあげます」
もしかして大変な事になっちゃってる?
あずにゃん、凄い迫力だよ。
「だから、その時は……唯先輩が私を好きになってくれた時には……」
その時には?
「唯先輩の好きを私だけに下さい」
「あ……うん、良いよ?」
壮大な告白の要求にしては小さなもの。
それに、あずにゃんのことを好きになってしまったら、他の人は見えなくなっちゃうよね~。
「ぷっ、あはは」
私の言葉にあずにゃんは笑い出してしまった。どうしてかな?
「もぅ、だめですよ唯先輩。嬉しいですけど、そんなこと簡単に約束しないで下さい」
そして怒られちゃった。
う~ん、あずにゃんは難しいなぁ。
「先輩の許可も貰えましたし、これからは遠慮なくいかせて貰います。だから……」
言葉とともに2人の距離はゼロとなる。
触れ合うのは唇と唇。
何者にも汚されていないそれは間違い無くファーストキスだろう。
「今日はこれで許してあげます」
彼女達の未来に光あれ――